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1章:出会い
始まりの日 3話
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朱亞は扉を閉めて、桜綾に駆け寄る。先程の会話が聞こえていたのか、桜綾はすぐに自分の服を脱ぎ始めた。
「急いで着替えるわ。手伝って、朱亞」
「もちろんです」
桜綾の指示に従い、彼女の服を取りだす。群青色に染められた服を渡すと、素早く着替えた。髪を整え、化粧をするまでに三十分もかかっていない。その間に朱亞は寝台を整え、床に置かれた服を丁寧にたたみ、寝台の上に置く。
そうしている間に、桜綾の準備ができたようで、朱亞に声をかけた。
「扉を開けてくれる?」
「はい」
扉に近付き、朱亞はそっと開いた。ずっと待ってくれていた蘭玲に「どうぞ」と笑顔で口にすると、彼女はすっと足音を立て似ずに部屋に入る。
朝食を置いてから桜綾の前に跪き、左の拳に右手をかぶせた。
「お初にお目にかかります。徐蘭玲と申します。梁燗流さまから、胡貴妃の護衛を任されました」
「ご、護衛!?」
思わず、というように朱亞が大きな声をだした。静かな室内に自分の声が響き、さっと片手で口元を押さえる。
「なぜ、燗流さんから?」
目を丸くして蘭玲を見つめる桜綾。蘭玲は顔を上げて真摯なまなざしで見つめ返し、口を開いた。
「宦官が護衛につくよりは、同じ女性である私が護衛についたほうが陛下も安心なさるだろう、と」
「そう。……あなた、強いの?」
「私の実力は燗流さまに認めていただいております。とはいえ、そう簡単に信じられないとも思います」
困ったように眉を下げる蘭玲に、桜綾は頬に手を添えゆっくりと息を吐く。
「そうね、いろいろあったから。……とりあえず、朝食をいただきましょうか。あなたも一緒にね」
「え?」
「一緒に食べましょう、と言いました。良いわよね、朱亞」
「はい、もちろん!」
桜綾の一声で、一緒に朝食を摂ることになり、蘭玲は戸惑ったようにふたりを見る。朱亞も桜綾も早速とばかりに蘭玲が持ってきた朝食を口に入れ始め、彼女はますます混乱したようだ。
「あの、信用していない人が持ってきた食事を口にして、良いですか?」
いたたまれなくなったのか、蘭玲がおずおずと尋ねる。朱亞は首をかしげて、
「美味しいですよ?」
と答えた。その言葉があまりにも意外だったのか、蘭玲は朱亞を見つめた。その様子を見ていた桜綾がくすくすと笑いながら食べている。
よく噛んで飲み込んでから、桜綾が口を開く。
「あなたも食べて毒なんて入ってないのでしょう?」
「それはまぁ、そうなのですが……」
「急いで着替えるわ。手伝って、朱亞」
「もちろんです」
桜綾の指示に従い、彼女の服を取りだす。群青色に染められた服を渡すと、素早く着替えた。髪を整え、化粧をするまでに三十分もかかっていない。その間に朱亞は寝台を整え、床に置かれた服を丁寧にたたみ、寝台の上に置く。
そうしている間に、桜綾の準備ができたようで、朱亞に声をかけた。
「扉を開けてくれる?」
「はい」
扉に近付き、朱亞はそっと開いた。ずっと待ってくれていた蘭玲に「どうぞ」と笑顔で口にすると、彼女はすっと足音を立て似ずに部屋に入る。
朝食を置いてから桜綾の前に跪き、左の拳に右手をかぶせた。
「お初にお目にかかります。徐蘭玲と申します。梁燗流さまから、胡貴妃の護衛を任されました」
「ご、護衛!?」
思わず、というように朱亞が大きな声をだした。静かな室内に自分の声が響き、さっと片手で口元を押さえる。
「なぜ、燗流さんから?」
目を丸くして蘭玲を見つめる桜綾。蘭玲は顔を上げて真摯なまなざしで見つめ返し、口を開いた。
「宦官が護衛につくよりは、同じ女性である私が護衛についたほうが陛下も安心なさるだろう、と」
「そう。……あなた、強いの?」
「私の実力は燗流さまに認めていただいております。とはいえ、そう簡単に信じられないとも思います」
困ったように眉を下げる蘭玲に、桜綾は頬に手を添えゆっくりと息を吐く。
「そうね、いろいろあったから。……とりあえず、朝食をいただきましょうか。あなたも一緒にね」
「え?」
「一緒に食べましょう、と言いました。良いわよね、朱亞」
「はい、もちろん!」
桜綾の一声で、一緒に朝食を摂ることになり、蘭玲は戸惑ったようにふたりを見る。朱亞も桜綾も早速とばかりに蘭玲が持ってきた朝食を口に入れ始め、彼女はますます混乱したようだ。
「あの、信用していない人が持ってきた食事を口にして、良いですか?」
いたたまれなくなったのか、蘭玲がおずおずと尋ねる。朱亞は首をかしげて、
「美味しいですよ?」
と答えた。その言葉があまりにも意外だったのか、蘭玲は朱亞を見つめた。その様子を見ていた桜綾がくすくすと笑いながら食べている。
よく噛んで飲み込んでから、桜綾が口を開く。
「あなたも食べて毒なんて入ってないのでしょう?」
「それはまぁ、そうなのですが……」
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