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2章:アシュリンと出会い。

アシュリンとお星さま。 4話

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「使い魔って、そんなことまで覚えているの?」
「生まれたときからずっと一緒だから、たいていのことは覚えてるにゃん」

 アシュリンはガツンとテーブルにした。あまりにも勢いよく突っ伏したので、すごい音がして、ラルフとルプトゥムが目を丸くして彼女を見る。

「だ、だいじょうぶ……?」
「だいじょうぶでだいじょうぶじゃない……」

 それはどっちだろう、とラルフがルプトゥムを見た。ルプトゥムは首を左右に振ったので、ラルフは眉を下げて椅子から立ち上がり、アシュリンに近付いた。

「そんなにショックだったの?」
「だって、わたし赤ちゃんの頃のきおく、ないよ……?」
「たいていの人はないよ。ぼくだって生まれたばかりの記憶はないし」
「そうなの?」

 こくりとうなずくのを見て、アシュリンは「よかったー!」とそのままテーブルの上でぐでっとする。

「おぎょうぎわるいにゃん」

 ペシッとアシュリンの後頭部を肉球で叩くノワールに、「はぁい」とテーブルから身体を離して座り直し、食事を再開した。もぐもぐと食べ始めるのを確認してから、ラルフはさっきまで座っていた椅子に戻った。

「ルプトゥムも、ラルフが生まれたときから覚えているの?」
「使い魔は覚えている。主人が生まれた日だからな」

 そうなんだー、と興味深そうに目を使い魔たちに視線をそそいでいると、ノワールもルプトゥムも呆れたように息を吐いてから、ノワールが口を開く。

「アシュリンが生まれたのは満月の日にゃ。とっても大きな満月で、さわやかな風が吹いていたにゃ」
「ラルフが生まれたのは新月の日だ。真夜中だったが、ミッチェルがずっと起きていたな。泣き声が聞こえるといそいでアグネスのところへ駆け寄り、ラルフを見て涙を流していた」
「え、本当に?」
「本当だとも。ワレに『息子をよろしく頼む』と深く頭を下げるほどにな」

 知らなかったことを聞いて、アシュリンとラルフは顔を見合わせた。やはりラルフの両親は彼のことを愛しているのだと感じ、彼女はにこにこと笑いながらサンドウィッチを食べる。

「……そっか」
「アシュリンは、アンディがお気に入りだったにゃ」
「お兄ちゃん?」
「ハイハイできるようになってから、ずーっとアンディを追いかけてたにゃ」

 ……まったく覚えていない。兄のことが大好きでかまってほしくて『いっしょにあそぼう!』と遊びにさそったことは覚えているが、ハイハイをしている頃の記憶なんてないので、ノワールの言っていることには首をひねるしかない。

「お兄ちゃん、いやがってなかった?」
「どちらかと言えばよろこんでたにゃ」
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