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2章:アシュリンと出会い。

アシュリンとラルフ。 4話

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 歩いているうちに日が暮れ、今日はこの辺で休もうという話になり、街道かいどうから少し離れた場所で野宿の準備をする。

「えーっと、これをこうして……」

 リュックからテントを取り出して、組み立てていく。家族でキャンプをしたことを思い出し、「わたしも旅立つって知っていたから、キャンプが多かったのかな?」とノワールに問いかけた。

「そうかもしれないにゃ。近くの森でキャンプ、楽しかったにゃー!」
『良いですねぇ、ご家族でキャンプ!』

 年に数回、近くの森でキャンプをしていた。幼いエレノアは母と留守番をすることもあったけれど、兄のアンディがとても手際てぎわよくテントを設営していたなぁ、とアシュリンは兄の姿を思い浮かべる。

(きっと三年前よりも背が伸びたんだろうなぁ。お兄ちゃん、今どこにいるんだろ?)

 アンディのことを考えながらテントを組み立てていると、ラルフが手伝いにきてくれた。彼はサクサクとアシュリンのテントを設営してくれた。

 その手際の良さに目を丸くしていると、「どうした?」と問われたのでそのまま口にする。

「ラルフはテントを張るのがうまいのね!」
「そう? ありがとう」

 ほめられたことに対して、ラルフははにかんだ。

 頬をかきながらちらりと辺りを見渡し、すっと自分のテントを指す。

「ぼくのテントはあっちだから、なにかあったら呼んで」
「うん! あ、ねえ、ごはんは一緒に食べよ!」
「そうだね」
「手伝ってもらったし、わたしのテントにご招待!」

 にこっと明るい笑みを浮かべるアシュリンに、ラルフは目を丸くした。彼女はそんなことを気にせず、ラルフとルプトゥムを自分のテントに招待し、中に入ってもらった。

「……広いねぇ」

 外観からは想像もできないくらい、彼女のテントの中は広かった。淡いピンク色の内装に、女の子だなぁとラルフは心の中でつぶやく。

「ちょっと待ってね」

 パチンと指を鳴らすと、テントの中に家具が現れた。

 テーブルや椅子はもちろん、ベッドまで出てきたのでラルフは感心したように息を吐き、それから肩をすくめる。

「すごいね、どういう仕組み?」
「わたしの魔力に合わせてもらったの。思い浮かべたものを取り出せる魔法なんだって! ……まぁ、このテントの中限定なんだけどね?」
「すごい魔法だなぁ」

 アシュリンが座るようにうながすと、ラルフはすとんと椅子に座った。

 しっかりとした椅子で、倒れる心配もない。背もたれに背を預けて、ラルフはそっとテーブルを撫でる。

「もしかして、家のテーブルや椅子?」
「うん! 想像しやすいからね。寝るときのベッドも、わたしが家で使っているものなんだ」
「……この魔法、誰が考えたんだろうね。便利すぎる……」
「えーと、おじいちゃんのお友だちが作ったって言ってたような……」

 祖父であるケヴィンの交友関係は広く、村までわざわざ訪れる人や手紙を送る人もいて、一度ケヴィンに『お友だちが多いんだね』と言ったことがある。そのとき、アシュリンの頭を撫でながら、『アシュリンさんにもお友だちがたくさんできますよ』と優しく微笑んでくれたのを思い出した。

「おじいさんも旅していたのかもね。そこで交友関係が広くなったのかも」
「それはあるかもね!」
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