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ものがたり
2話 化学の課題と曇り空
しおりを挟む「俺化学補習になったわ...」
「結局か」
4時間目が終わり、お昼の時間になった。
今日は私と人田の2人で机を囲んでお昼を食べている。
他にも友達はいるんだけど__みんな今日は彼氏と食べるんだって言っていなくなっちゃった。
「おい笑うなって」
「笑ってないよ」
「口角上がってんだよ!」
あれま、笑ってないつもりだったけど顔に出ちゃってたみたい。
「ごめんごめん。他に補習の人いるの?」
「にやにや笑いやがって...俺1人だわ!」
「1人?!」
ぶはっと吹き出してケラケラと笑ってしまった。
「おう1人だよ」
人田は少し不機嫌そう。
怒っているような、恥ずかしがっているような、複雑な顔をしている。
「ひとっ...!あはは!1人かぁ!」
「笑いすぎだろ...」
「ははっ...まぁあの先生怖いから忘れるの人田くらいでしょうねぇ」
何とか笑いを落ち着けて話す。
「くそ...。んま、どうせプリント1枚だからな。1時間もあれば終わるだろ」
人田は はぁーっとため息をついた。
「そうだねー。頑張れぇーい」
お弁当のミートボールを頬張りながら言う。
「神野今日誰と帰るん?」
「んーとりあえず1人かなー。瞳も沙紀も彼氏と一緒に帰るって言ってたし」
「ほぉーん」
人田は少し考えるような素振りをしたあと、唐揚げを食べた。
____
______
そんなこんなで帰る時間。
瞳と沙紀は彼氏の元へさっさと行ってしまった。
人田は補習の教室へため息混じりに向かって行った。
クラスメートが数人残っている教室で、私はスマホを見ながら考え事をしていた。
(今日、帰るの1人だし...ちょっと先輩の方行ってみようかな)
一緒に帰りたいとかそういう訳じゃないけど、先輩っていつも誰と帰るのかなーっていうのが気になった。
そういう訳で私は荷物を持って3‐1の教室の方へと向かった。
(先輩、もう帰ったかな?)
帰りのSHRから少し時間が経ったから、もしかしたらもう帰っちゃっていないかもしれない。
(ていうか多分居ないよね)
それでも一応、覗いてみることにした。
(___あっ いた!)
意外にも先輩は教室にいた。多分男女2人と話してる...?
教室には3人だけだった。
「っだはは!まじでー?!」
(うわ声でかっ!)
一緒にいる男の先輩の声がすごい大きかった。
(...何の話してるんだろ?)
「誠お前やべーな!女子泣くぜー?」
「誠の彼女カワイソ~!でもあたしだったら気づくけどねぇ?」
「彼女に対しては別に悪いことしてないでしょ?男子として普通だよー」
「ぶはっ!誠ひっでぇー」
「普通じゃないわよ~!誠ほんっとあれねー」
(___あ、そりゃ...そうか。
...あんなにイケメンなんだもんね。)
びっくりして、その場で立ちつくしてしまった。
すっかり忘れてた。そっか。
バカみたいだ、そこは考えてなかった。
(...そりゃ彼女いるよね)
3人で色々話していたが、全然頭に入ってこなかった。
『彼女』
そうだ。なんで彼女がいるか考えてなかったんだろう。
彼女がいる人を好きでいるのは...神としてダメだと思う。
(...帰ろ)
と、帰ろうとしてスマホを取り出そうとしたら
(...?あれ、あれ?)
カバンをいくら漁ってもスマホがない。
(嘘落とした...?!どこ?)
必死で最後に見たところを思い出す。
えっと...3‐1の教室来るまでにはあったっけ...?
(...あっ。教室かも)
最後に見た記憶はそこしかないし...
ってあ、そういえば机の中だ。
(取りいかないと)
そうして教室へと歩き出そうとして____ふと立ち止まった。
「......」
ちらりと3‐1の教室を見る。
先輩たち3人は変わらず楽しそうに話していた。
...まぁ。
彼女持ちだったし。
...もういいや。
____
______
いつの間にか、空は黒い雲で覆われて
今にも雨が降り出しそうだった。
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