天候を司る神様JK

オリゴ糖

文字の大きさ
上 下
3 / 5
ものがたり

2話 化学の課題と曇り空

しおりを挟む





「俺化学補習になったわ...」
「結局か」



4時間目が終わり、お昼の時間になった。
今日は私と人田の2人で机を囲んでお昼を食べている。

他にも友達はいるんだけど__みんな今日は彼氏と食べるんだって言っていなくなっちゃった。


「おい笑うなって」
「笑ってないよ」
「口角上がってんだよ!」

あれま、笑ってないつもりだったけど顔に出ちゃってたみたい。

「ごめんごめん。他に補習の人いるの?」
「にやにや笑いやがって...俺1人だわ!」
「1人?!」

ぶはっと吹き出してケラケラと笑ってしまった。

「おう1人だよ」
人田は少し不機嫌そう。
怒っているような、恥ずかしがっているような、複雑な顔をしている。
「ひとっ...!あはは!1人かぁ!」
「笑いすぎだろ...」
「ははっ...まぁあの先生怖いから忘れるの人田くらいでしょうねぇ」
何とか笑いを落ち着けて話す。
「くそ...。んま、どうせプリント1枚だからな。1時間もあれば終わるだろ」
人田は はぁーっとため息をついた。

「そうだねー。頑張れぇーい」
お弁当のミートボールを頬張りながら言う。

「神野今日誰と帰るん?」
「んーとりあえず1人かなー。瞳も沙紀も彼氏と一緒に帰るって言ってたし」
「ほぉーん」
人田は少し考えるような素振りをしたあと、唐揚げを食べた。



____
______



そんなこんなで帰る時間。

瞳と沙紀は彼氏の元へさっさと行ってしまった。
人田は補習の教室へため息混じりに向かって行った。

クラスメートが数人残っている教室で、私はスマホを見ながら考え事をしていた。

(今日、帰るの1人だし...ちょっと先輩の方行ってみようかな)
一緒に帰りたいとかそういう訳じゃないけど、先輩っていつも誰と帰るのかなーっていうのが気になった。

そういう訳で私は荷物を持って3‐1の教室の方へと向かった。


(先輩、もう帰ったかな?)

帰りのSHRから少し時間が経ったから、もしかしたらもう帰っちゃっていないかもしれない。

(ていうか多分居ないよね)

それでも一応、覗いてみることにした。

(___あっ いた!)

意外にも先輩は教室にいた。多分男女2人と話してる...?
教室には3人だけだった。

「っだはは!まじでー?!」
(うわ声でかっ!)

一緒にいる男の先輩の声がすごい大きかった。

(...何の話してるんだろ?)

「誠お前やべーな!女子泣くぜー?」
「誠の彼女カワイソ~!でもあたしだったら気づくけどねぇ?」
「彼女に対しては別に悪いことしてないでしょ?男子として普通だよー」
「ぶはっ!誠ひっでぇー」
「普通じゃないわよ~!誠ほんっとあれねー」


(___あ、そりゃ...そうか。
...あんなにイケメンなんだもんね。)

びっくりして、その場で立ちつくしてしまった。
すっかり忘れてた。そっか。
バカみたいだ、そこは考えてなかった。



(...そりゃ彼女いるよね)

3人で色々話していたが、全然頭に入ってこなかった。

『彼女』

そうだ。なんで彼女がいるか考えてなかったんだろう。

彼女がいる人を好きでいるのは...神としてダメだと思う。

(...帰ろ)

と、帰ろうとしてスマホを取り出そうとしたら

(...?あれ、あれ?)

カバンをいくら漁ってもスマホがない。

(嘘落とした...?!どこ?)

必死で最後に見たところを思い出す。
えっと...3‐1の教室来るまでにはあったっけ...?

(...あっ。教室かも)

最後に見た記憶はそこしかないし...
ってあ、そういえば机の中だ。

(取りいかないと)


そうして教室へと歩き出そうとして____ふと立ち止まった。

「......」
ちらりと3‐1の教室を見る。
先輩たち3人は変わらず楽しそうに話していた。


...まぁ。
彼女持ちだったし。





...もういいや。

____
______



いつの間にか、空は黒い雲で覆われて


今にも雨が降り出しそうだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

雪と桜のその間

楠富 つかさ
青春
 地方都市、空の宮市に位置する中高一貫の女子校『星花女子学園』で繰り広げられる恋模様。 主人公、佐伯雪絵は美術部の部長を務める高校3年生。恋をするにはもう遅い、そんなことを考えつつ来る文化祭や受験に向けて日々を過ごしていた。そんな彼女に、思いを寄せる後輩の姿が……?  真面目な先輩と無邪気な後輩が織りなす美術部ガールズラブストーリー、開幕です! 第12回恋愛小説大賞にエントリーしました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

見上げた青に永遠を誓う~王子様はその瞳に甘く残酷な秘密を宿す~

結城ひなた
青春
高校のクラスメートの亜美と怜は、とある事情で恋人のふりをすることになる。 過去のとある経験がトラウマとなり人に対して壁を作ってしまう亜美だったが、真っ直ぐで夢に向かってひたむきに頑張る怜の姿を見て、徐々に惹かれ心を開いていく。 そして、紆余曲折を経てふたりは本当の恋人同士になる。だが、ふたりで出かけた先で交通事故に遭ってしまい、目を覚ますとなにか違和感があって……。 二重どんでん返しありの甘く切ない青春タイムリープストーリー。

きんのさじ 上巻

かつたけい
青春
時は西暦2023年。 佐治ケ江優(さじがえゆう)は、ベルメッカ札幌に所属し、現役日本代表の女子フットサル選手である。 FWリーグで優勝を果たした彼女は、マイクを突き付けられ頭を真っ白にしながらも過去を回想する。 内気で、陰湿ないじめを受け続け、人間を信じられなかった彼女が、 木村梨乃、 山野裕子、 遠山美奈子、 素晴らしい仲間たちと出会い、心のつぼみを開かせ、強くなっていく。 これは、そんな物語である。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

団地から見た夕日が綺麗だった

降矢めぐみ
青春
中学三年の夏、親の仕事の都合で転校することになった本郷太智。幼馴染みの新谷真人、大山こころと別れ、せっかく決めた志望校も変更。ふさぎこんでしまった太智の心を、新しいクラスメイトの横尾友行が少しずつ溶かしていく。明るくて太智とは正反対の彼だが、彼には誰にも言えない過去があった。お互いに悩みを抱えた二人の少年、その行方は。

ひょっとしてHEAVEN !?

シェリンカ
青春
【第13回ドリーム小説大賞奨励賞受賞】 三年つきあった彼氏に、ある日突然ふられた おかげで唯一の取り柄(?)だった成績がガタ落ち…… たいして面白味もない中途半端なこの進学校で、私の居場所っていったいどこだろう 手をさし伸べてくれたのは――学園一のイケメン王子だった! 「今すぐ俺と一緒に来て」って……どういうこと!? 恋と友情と青春の学園生徒会物語――開幕!

桜の下でさよならを

book bear
青春
高校3年になった幼馴染三人組は卒業したらそれぞれ違う道に進む事が決まっていた。 そんな中、一矢は愛弓と弦希とはあと一年でお別れになる寂しさを感じていた。 しかし、愛弓に対する寂しさは弦希との寂しさとは違っていることに気づく。 愛弓と離れたくない、それは友人としてではなく、想い人として離れたくなかったんだと知る一矢。 そんな一矢の気持ちに気づいていた弦希は気を利かせて、二人きりになれるようセッティングをしてくれた。 それを機に3人の関係はどんどん悪い方へと変わっていく・・・・・。

処理中です...