偽りの僕を君は求めて

くれと

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彼と過ごす夜 前編

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俺は今、彼に体を抱きしめられている。

SNSアプリで知り合ってついさっき初めて会って一緒に夕飯を食べて、そして今彼の部屋で抱きしめられている。

顔を見たことも会ったこともなかったのに、彼のことが好きだった。そんな彼と俺は体を寄せ合い抱き合っている。夢のような一時に、俺は蕩けるような心地だった。

初めて見た時の印象通り、彼の体は逞しく体を触れ合わせていると筋肉の存在を確かに感じさせてくる。彼は腕を俺の背中に回し俺をぎゅっと抱きしめ、優しく包んでくれている。彼の胸に顔を埋めて、彼の体の逞しさと優しさに浸った。

「落ち着く?」
「うん」

彼は俺の返事を聞くと笑い、大きな手で俺の背を優しく撫でる。優しい彼の愛撫は不快ではなく、触れられただけだというのにとても気持ちがいい。

目を閉じて彼に体を預けて彼の抱擁と愛撫に浸っていると、彼の手が俺の腰のベルトにかかる。

「え、なに・・・!?」
「なにって?」
「だって、手が・・・」
「風呂入るやろ?脱がせようと思って」
「そうだけど、でも・・・」

今、彼を目の前にして服を脱げということなのか・・・?それも下から・・・?む、無理だ。だって、彼に抱きしめられて体を触られて、直接触れられたわけでもないのに俺の下半身のそれはすっかり興奮して固くなっている。恥ずかしすぎて、脱ぐなんてとても無理だ。

俺のペニスは既にはちきれんばかりに固くなっていて、下半身に膨らみをつくっている。彼に気づかれているだろうか。体を寄せ合っているから、固くなっているそれにも気づいているかもしれない。彼はどうなんだろう。こういうことには慣れているようだし、現に今も余裕の表情だ。抱き合うくらいじゃ反応しないのかもしれない。俺だけが興奮していたら恥ずかしい・・・、恥ずかしすぎる。

「一緒に入ろ?」
「いや、でも・・・」

正直、彼と一緒にお風呂に入りたいという気持ちはある。彼の逞しい肉体を見てみたいし、この大きな手で体を洗ってもらったらどれだけ幸せだろうか。でも、自分の体を、それもこんな状態の体を明るいところで見せるのはやはり恥ずかしい。

「嫌?」
「ん、えっと・・・」

このままだと嫌がっていると思われてしまうだろうか。彼は俺の体を撫でながら俺の顔を覗き込み、反応を窺っている。俺が嫌がってるんじゃなくて緊張してるんだということは伝わっているだろうか。そうだといいのだが・・・。

「一人で入りたい?」
「・・・」

一人で入るか、勇気を出して一緒に入ると言うか俺は迷っていた。恥ずかしさと彼と過ごす幸せな時間を天秤にかけて。もう大分時間が経過しているが、まだ答えを告げられずにいる。彼に呆れられてはいないだろうか。

「どうする?」
「えっと・・・」
「一人で入る?」
「・・・うん」

言えなかった。でも、こういうことはこれが初めてなんだ。勇気が出せないのも仕方がない。正当化するわけではないが、今の俺には踏み出すのに必要な経験が不足しているのだ。

「いいよ。これ、タオルね」
「ありがとう。ごめんね」
「いいよ」

彼は優しい声でそう言うと俺から体を話し、タオルを取ってきてくれた。俺に風呂場を案内してからリビングに戻り、そのままベッドにもたれて座りテレビをつけた。

俺は彼から手渡されたタオルを持って脱衣所に入り服を脱ぐ。風呂場に入り温かいシャワーを浴びた。

一緒に入るのを拒んだこと、彼は気にしていないだろうか。もしかしたら怒っているかもしれない。いや、呆れているだろうか。

つくづくこういう時に踏み出せない自分には嫌になる。本当は一緒に入りたいという気持ちはあったというのに。

戻ったら彼のことが嫌ではないということ、彼のことが好きだということがちゃんと伝わるように接しよう。それが自然にできるかはわからないが、努力はしよう。

そう決意して俺は風呂場から出て体を拭いた。

リビングに戻ると彼がテレビから目を離して俺を見る。興味津々といった目で俺のことをじーっと眺めている。風呂上りだから俺も部屋着に着替えている。髪もセットしていない状態だ。どこか変だったりするだろうか。

「何?」
「いや、別に。風呂上りだなと思って」
「なにそれ」

俺も彼の横に座ってテレビに目を向ける。

「何でそんなに離れて座るの?」
「何でって・・・」

俺は彼の隣に少し間隔を空けて座っていた。確かに、隣にくっついて座った方が可愛気があったかもしれない。でも、そんなこと考えもしなかった。思いついていたとしてもそんなあざといことを自然にこなすテクなんて俺にはない。彼への接し方を改めようと思っていたのに、もう既に失敗してしまったのだろうか。

「まぁ、いいや。俺も風呂行ってくるね」
「うん」

彼はそう言ってリビングを後にする。




 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -




俺は彼が点けていたテレビを眺めて彼が戻るのを待っていた。

脱衣所の方から物音が聞こえ始めた。彼がシャワーを浴び終えたのだろう。

暫くバラエティ番組を眺めていると、彼が部屋に入ってきた。彼に話しかけようと彼がいるであろう方向に体を向けようとすると、いつの間にか彼の逞しい腕に包まれていた。

彼は部屋に入るなりすぐに俺に抱きついてきたらしい。

「風呂入ってきたよ」
「うん」

風呂上がりの温かい腕と体で後ろから包まれる。いきなりのことで驚きはしたが、彼が優しく触れてくれるからすごく落ち着く。

「ベッドの上、行こ?」

彼は俺をベッドの上に引き上げる。俺は彼の両足に挟まれて、後ろから彼に包まれた。そのまま二人で暫くテレビを眺めた。

そうして過ごしていると、不意に彼の手がそっと俺のTシャツの中に入り、腰に触れた。

「え、何!?」
「ん?ええやろ、別に」

それまで抱きしめられたりはしていたが穏やかに過ごせていた。しかし、彼を纏う雰囲気が落ち着いたものから淫靡なものへと変わってきているように感じる。今日は寝るだけと言っていた筈だが、どうなるのだろうか。

彼の手が腰から上がり、服の中に入っていく。それは俺の胸で止まった。

彼の手が胸の尖りに触れ、いやらしい手つきで弄ぶ。もう既に俺と彼を取り巻くそれは甘い淫靡な雰囲気に変わっていた。

「んっ・・・」
「ここ、弱いん?」
「弱いというか、くすぐったいよ・・・」

彼は俺の反応を楽しんでいるようだ。そのままもう片方の手も体に触れ、いやらしい手つきで俺の体を愛撫する。

「服、脱ごうね」
「え・・・?」

彼の手が俺のTシャツを取り去ろうと捲し上げる。

「何で脱ぐの・・・?」
「触りにくいやろ?」
「寝るだけじゃないの?」
「ちょっとだけ」
「ちょっとって・・・」
「無理やり犯したりせーへんから、ええやろ」

Tシャツが捲し上げられていき、俺の上半身が露になっていく。だが、胸の辺りまで上がったところで彼の腕を掴んでそれを阻止した。

「何?」
「何って、恥ずかしいよ・・・」
「電気消す?」

すぐさま彼はベッドから降りて、壁のスイッチで照明を消した。テレビの光だけで部屋が照らされる。

彼はすぐにベッドに戻り、再び俺の服を脱がしにかかる。俺も咄嗟に彼の腕を掴んで抵抗する。

「まだ恥ずかしい?」
「うん・・・」
「じゃあ、俺が先に脱ぐから」

そう言うと彼はTシャツに手をかけてさっと脱ぐ。風呂上がりの爽やかな香りが漂い、彼の若い肉体が眼前に広がった。

直に初めて見る彼の肉体はやはり逞しかった。腕は太く筋肉がしっかりとついていて胸筋は厚みが見て取れる。腹筋は締まっていて薄く割れ目が入っている。鍛えていると思われるが不快な筋肉の付き方ではない。

彼の瑞々しい体に見惚れていると彼の手が俺の服を脱がしにかかる。

「俺も脱いだよ。脱げるやろ?」

俺も覚悟を決めて抵抗を止める。彼にされるがままになり服を脱がされた。

彼と比べると貧相な体が露になる。恥ずかしい。もっと日頃から体を鍛えていればよかった。肥満でさえなく痩せ型ではあるが、筋肉もそれほど付いているわけではない。彼にどう思われるだろうか。

彼は目を僅かに細めて俺の体をじっくりと眺め、大きな手で俺の体を撫でる。太い武骨な手が俺の肌を伝う。

「な、何・・・?」
「いや、別に」

彼の手が俺の体から離れ、彼のズボンにかかる。下も彼が先に脱いでくれるらしい。

まずズボンが取り去られ、それからパンツを脱ぐ。パンツはペニスの先端が引っ掛からないように、ゆっくりと降ろしていく。

パンツが下へと降ろされていき彼の下半身が露になる。それが露になった瞬間から、俺の目は彼のそれに目を奪われていた。

大きい・・・。あまりにも大きすぎる。自分の物よりも倍以上の大きさはあるのではないだろうか。長く、太い。これが世に聞く巨根というものなのだろうか。

彼のペニスは既に固く勃起していたが、その重さから反り返りはしないようだ。その先は目の前にいる俺を向いている。

彼の凶暴なペニスに性的な魅力を感じていたのも確かだが、それよりも彼が俺と触れ合うということだけで興奮してくれていたということがすごく嬉しかった。一緒に風呂に入ろうと言われた時は自分だけが興奮しているものとばかり思っていた。もしかするとそれは要らぬ心配だったのかもしれない。

彼の昂りを見て、俺の心も少し大胆になってきていた。彼の勇ましいペニスを手で掴んでみる。

彼の物は俺の手の中に収まらない程に大きい。それは固く、太く、そして熱かった。とても逞しく触っているだけで興奮してくる。

「ほら、これで脱げるやろ」

彼が強引にさっと俺のズボンとパンツを取り去り、床に放った。俺の下半身も露になる。

俺のペニスは固く反り返っていて下腹部にぴったりとくっついている。彼も俺の物を手に触れて弄ぶ。大きな手でいやらしく触れるのだが触れる時は優しく、それが愛おしく思えた。

しばらく彼と裸で向き合ってお互いの性器を触り合った。彼の雄の色香を放つ肉体やペニスを眺めながら彼の手で優しく甘く昂りを慰められ、既に俺はたまらなくいやらしい気持ちになっていた。彼もそのようで、お互いのペニスからはくちゅくちゅと水音が聞こえるようになってきた。

「気持ちいい?」
「うん、気持ちいい」

彼は俺の秘部を慰めながら俺の反応を窺う。俺も既に蕩けてうっとりとした瞳で彼を見つめ返した。俺の反応を見てから彼は俺を慰める手を止めると俺をベッドの上に押し倒し、俺の上に覆い被さる。

彼は体を俺にぴったりと密着させて俺を抱きしめた。肌と肌が重なり合う。彼の滑らかな肌と触れ合うのが心地よくて、俺は目を閉じて彼に身を委ねた。

彼はしばらく余韻に浸るように、俺の上に覆いかぶさったまま動かなかった。少しすると俺から体を離し、自らのペニスを俺の物に重ねた。


そのまま彼は互いをこすり合わせた。互いの屹立した秘部を触れ合わせるという行為に俺は興奮を感じていた。

「はぁ・・・気持ちいい」

彼も性的な快感を得ているようだ。重なり合うペニスをうっとりとした表情で眺め、艶のあるため息を溢す。彼が俺の体で感じてくれているということが伝わってきてすごく嬉しい。

彼は性器に添える手を止めるともう一度俺に覆い被さり、体を重ねた。

彼の体の心地よい重みと温もりに包まれる。俺も彼の背に手を回し抱き返すことでより体を密接させた。そうしていると、不意に彼の顔が俺の顔に近づいた。

ち、近い・・・。

もしかするとこれは・・・と思っている間に、彼の唇が俺の唇に重ねられていた。

「んっ・・・」

彼の柔らかな温かい唇が上唇を優しく啄ばみ、舌は下唇を舐める。逞しい体で強引に俺を求めるのに、それに反してキスは優しく、それがたまらなく愛おしく感じられた。

「はぁ・・・んっ」

角度を変えて優しく何度も啄まれる。彼が与えてくれる甘く優しい一時に俺は浸っていた。

暫くして彼が唇を離す。二人の口から甘い吐息が漏れる。

唇を離すと彼は俺から体を離し、ベッドの上で膝立ちになった。俺の昂りを手に取り、見つめる。

「もしかして、こういうの初めて?」
「え、何で!?」

急な質問に驚きを隠せず聞き返す。やはり行為の中でたどたどしい部分があったのだろうか。恥ずかしい・・・。

「いや、何となく」

どうしよう。彼の質問に正直に答えるべきか、体裁を保つために適当にごまかすか。でも、こういうのは正直に答えた方がいいのかもしれない。

「初めて・・・だけど」
「へぇ・・・」

彼は俺のペニスを弄ぶ。俺のそれは彼からもたらされる快楽と彼に全てを曝け出しているという事実によって興奮し、先走りですっかり濡れていた。

それを見られているということにも俺は興奮していた。あれほど恥ずかしかったのにこんなに興奮しているなんて。俺は変態なのだろうか。

「ごめん、引いた?」
「いや、そうじゃなくて。俺が初めてなんだなと思って」

そう言うと彼は俺の股座に顔を近づけ、ぱくりと口に含んだ。

「え・・・!?」

何も言う間もなく、彼の口に俺の屹立が含まれる。彼は慣れた様子で器用に顔を上下に動かし、口内で俺のペニスを愛撫する。彼の温かい舌が俺のペニスの裏筋を這うのがとても心地いい。俺は初めての快楽に身を捩らせた。

「んっ・・・」

唾液が多く含まれた卑猥な愛撫が室内に水音を響かせる。俺のペニスは彼の愛撫やフェラでもたらされる快感に既に爆発寸前だった。

「ごめん、もう・・・」
「出そう?」
「うん・・・」
「いいよ」

彼は俺の性器から口を離すと、手でそれを上下に激しくしごき始める。

それまでの優しい愛撫とは違う激しい快楽。俺の絶頂を促そうとする激しい手淫に俺は何も考えられず、迫りくる快感に耐えながら俺はされるがままになっていた。

「もう・・・出る」

程無くして俺は絶頂を迎えた。固く反り返ったペニスから勢いよく白濁が迸り、俺の上半身を汚す。たまらなく興奮していたそれは大量の精液を吐き出し、下腹部に止まらず胸や首の辺りにまで達していた。

「・・・はぁ」
「たくさん出たね」
「うん」

彼は愛おしそうに絶頂に達した俺のペニスと汚れた体を眺めた。

彼の前で果ててしまった・・・。ここに来る前は一緒に寝るだけと言っていたのに。まさか、こんなことになるなんて。

人前で勃起した性器も曝け出したことはないし、射精だって他の誰かに見せたことはない。最初は本当に恥ずかしかった。次第に大胆になれたが、初めての行為に恥じらいは常にどこかで感じていた。

それでも彼との行為はとても甘く優しい一時で、俺はとても満たされていた。この世界にこんな悦びがあるなんてことを俺は初めて知った。

会う前は不安でいっぱいで会うべきかどうかということを悩んでいたというのに、そんなことがバカらしく思えるくらい彼との時間は最高だった。彼が俺を求めてくれていることが伝わり、不安なんて既になくなっていた。

彼に会いに来てよかったと、心の底から思えた。






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