偽りの僕を君は求めて

くれと

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田舎町のとある男

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俺の名前は君島俊輔。

二十五歳。新卒で就職して、今は社会人三年目だ。

地方の観光地でショップの経営をしている。

観光地のお土産屋さんというよりももう少しおしゃれなラインナップで商品を取り揃えているショップだ。俺はまだ若い方で経験も浅いわけだが、わけあってそこの店長をしている。

社会人といっても少し変わった職種であるため、普通の会社員とは少し生活のサイクルが異なる。閉店後にレジの〆作業や売上の管理をしなければならないが、開店時には出勤している必要がないため出勤時間は遅めだ。近年、残業や労働時間について問題視されているような世の中だ。基本的には8時間労働の定時勤務になっているため、労働時間が長くならないようにいなければならない時間に店舗にいるというようにしている。そうなると必然的に遅い時間帯の勤務になってしまうのだ。

地方の田舎町に住んでいるため、都会と違って車通勤が必須となる。電車は数分おきに発着するわけでもなく時間帯によっては一時間に一本ということもある。それに、駅直結のビルなんてものもなく、駅から職場までは数十分歩くことになる。車がないと忙しい社会人は地方では生きていけないのである。

今日も俺は寝ぼけ眼をこすりながら車を走らせる。帰りが遅い上に、俺はスマホをいじったりして夜更かしをするのが日課だ。そんなことをしなければもっと寝ていることができて眠くなることもないし健康的だということはわかっているのだが、どうしても止めることができないでいる。

そんな生活をしているから朝が苦手なのだが、田舎の風景は好きだ。心が洗われるというのだろうか。山や木、川を眺めていると心が和んでいく。特に朝や夕暮れの景色は好きだ。景色を眺めながら運転をするのは出勤時の僅かな楽しみの一つである。

ショップの従業員数は決して多くない。俺の仕事は経理処理や売上の管理、商品開発、コンプライアンス上の管理、それだけでなく商品の品出しや店舗の清掃など幅広い。従業員数を確保できていないため、一日中とにかく仕事に追われるのである。

経験の浅い俺は毎日勉強しながら必死に働いている。そうでもしなければとてもやってはいけない。

ショップの売上はあまり芳しくない。売上を高めていかなければ今後の運営も危うくなる。従業員が不満をもっていないかということも考えて行かなければならない。働き手がいなくなっても営業はできなくなる。ただでさえ人手不足で俺の仕事量も膨れ上がっていくばかりだ。決して規模は大きくないショップといっても経営者はあらゆる点に気を配らなければならない。

仕事は好きだ。やりがいもある。自分の仕事を全うしたいと思っている。だが、やはりストレスは溜まっていく。管理職を担っていくには俺は若すぎるのだ。

普段の俺はいろんなものを溜め込んでいる。

仕事で疲れ果てて休みの日は基本的に寝てばかりいる。プライベートは決して充実しているとは言い難い。誰かと会ったり遊んだりすることもない。一人であっても出かけたりすることも殆どない。気分転換をしたいという思いよりも、何をするにしても面倒だという気持ちの方が勝ってしまう。

そんなだから彼女だっていない。それどころか、俺は今まで一度たりともセックスというものをしたことがない。童貞なのだ。

いい歳をしてそれでいいのかとも思うのだが、卒業したくても体を重ねる相手もいない。相手を見つけようと努力することも億劫で、そもそも相手がいたとしても自らが童貞であるということを相手に知られることになる。。そう思うとすごく怖い。それに、俺はセックスに対して夢のようなものも抱いている。本当に好きな子とセックスがしたいという気持ちもあり、いかがわしいお店でささっと済ませるということもできないでいる。

そんな俺でもこれまで彼女がいなかったわけではない。中三の時に隣の席の子と初めて付き合った。その子はすごく積極的でそういうお誘いのようなものを受けたりもしていた。今思えば性的なことに関心が強いタイプの女の子だったのかもしれない。

だが、受験で忙しかったりセックスをするにしても家には親がいるし相手の家でも向こうの親に会ってしまったらどうしようとかそんなことを悩んでいたらいつの間にか機会を逃していた。そんなだから彼女は俺に飽きてしまったようで、そのまま自然消滅。中学を卒業してからは会っていない。高校に進学してから、その子はすぐに別の男と付き合ったという噂を聞いた。その時は不思議と何も感じなかった。

高二の時にもようやくできた彼女とはデートをしていても緊張して上手く話せなかったり、相手の家でそういう雰囲気になっても前戯はたどたどしく、いざ挿入となった時にはペニスが勃起せずに萎えたそれを彼女に冷たい目で見られた。そんなことがきっかけでその子ともすぐに別れてしまった。

それからというものの、俺は恋愛というものに大して自信がもてず大学では彼女を作ろうとしなかった。そのまま女の体を知らないまま大学を卒業し、社会人になった。

だが、そんな俺でも人並みに性欲はある。彼女がいた時も彼女に覆い被さることを想像しながら自慰行為に励んでいたりもした。彼女を作らなくなってからも毎日のように自らを慰めている。

今日も仕事が終わって家に帰ると、満たされない体は疼いて体は熱を持ち始めた。

ベッドの上に横たわってパンツをめくってみると、下腹部にへばりつくほどにペニスは硬直して反り返っていた。

二十代も半ばに差し掛かっているのに女の体を知らない。セックスの快楽も知らない。

そんな情けない体であるのに雄としての本能だけは沁みついているのか、射精の快楽を求めてペニスは昂っている。

それを恥じながらも俺はスマホを手に取った。

セックスに興じる相手もいない、性的なサービスを受けられるお店に行く勇気もない。そんな俺はSNSで画像や動画を見ながら自らを慰める。

特に最近ハマっているのはていっターというSNSアプリだ。

このアプリで俺は顔も知らない相手から体の画像を見せてもらっている。商業的なAVは金銭がないと体を交わらせる相手がいないことを俺に思い知らせているようであまり入り込めない。SNSで素人から個人的に体を見せて貰えた方が素直に興奮できるのだ。

俺は今日もていっターを開いて、ニ十歳の大学生「しゅんや」になる。
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