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自殺未遂の原因
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いつも通り家に帰ろうとポストを見たらやたらと薄いピンクの見慣れない便箋が入っていた。
それは、あの少女からの手紙だった。
僕は驚いた。本当に送ってくるとは。
勿論、嫌な訳ではなく、むしろ少女が生きているという実感がこの手紙から感じて安心した。
その手紙にはこう書いてあった。
『どうしても相談したいことがあります。10/4に来てくれませんか。
馨』
相談?なんだろう。
十月四日か。明日だ。
その他にも色々な事を考えてたけど、僕の心の中の決断は早かった。
行かない理由が無いということだ。
それがどんなに残酷なものの始まりでも。
彼女の要望通り、僕は自分の部屋の向かいの棟に足を運んだ。
そして彼女の部屋の前に着く。
少し戸惑いながらも彼女の部屋のインターホンを鳴らす。
高く細い音が緊張感を高まらせた。
五秒後くらいにガチャ、っていう音と、彼女のはーい、という声が重なった。
彼女は僕を見るなり、上がってください、と僕に言った。
僕は彼女の部屋に上がるのを一瞬躊躇したが、ここでは相談しにくいもんな、と心を落ち着かせて上がった。
彼女の部屋と僕の部屋の間取りは大体一緒だった。だからか、少し安堵感を感じた。
僕が席に座るなり、彼女はお茶を出してくれた。
その後静かに座って何かを決心したように顔をあげて僕に言った。
「私には両親がいません。」
どういう相談かと思っていたがあまりに突飛なことに普通に驚いた。
「ていううと?」
僕は浮かんだ質問をそのまま口に出した。
「あー、すみません。急で。話をどう切り出すか迷ったらこうなってしまいました。」
少しはにかみながら下を向いた。
「殺されたんですよ。」
そんなことを口にしているのに何故か、えへへと口角を上げて話した。
また、浮かんだ質問をそのまま言った。
「もしかして自殺未遂はそれが原因?」
「それは違いますよ!だって別にいなくても良かったんです。互いに、居ても居なくても別にいい。両親とはそういうカンケイでした。」
「寂しいとは思わない?」
今度は会話を繋ぐための繕った質問を言った。
「思いませんよ。私は母と父の互いの愛を証明するだけに生まれてきたんです。逆に二人で一緒に死ねて良かったんじゃあないでしょうか。」
軽く笑いながら彼女は続けた。
「それよりも私の自殺未遂の原因は別にあります。」
さっきとはがらりと表情が変わって少し寂しげだった。
「唯一の親友までも殺されました。」
きっと、思い出して辛いのだと思う。彼女は少し泣くのをこらえながら続けた。
「前提としてお察しの通り私は虐められています。そしてその親友は唯一私と仲良くしてくれていたかけがえの無い人でした。なのに、、、」
一回、泣くのをこらえてから言った。
「なのに、意味もなく殺されました。酷いですよね。こんなの。両親のような酷い奴等が復讐だのでも意味があって殺されて。恩人の素晴らしい人格者が意味もなく通り魔に殺された。そんなの意味わかん無いですよね!」
限界のようで、もうすでに泣いていた。
けれど。
僕にはある事が頭に浮かんだ。
そして、それがすぐに合っていると分かることになった。
「その人、楓ちゃんって言ううんですけどすぐそこのコンビニの角で殺されたんです。何でそんな近くだったのに助けてあげられ無かったんだろうっていう罪悪感でいっぱいで、、、」
僕には途中までしか頭に残らなかった。
数週間前のニュースの記憶。
美坂 楓というう少女が近所のコンビニの角でプラスチックナイフで殺されたと判明したあのニュース。
それは正真正銘クロの殺しであるのだ。
それは、あの少女からの手紙だった。
僕は驚いた。本当に送ってくるとは。
勿論、嫌な訳ではなく、むしろ少女が生きているという実感がこの手紙から感じて安心した。
その手紙にはこう書いてあった。
『どうしても相談したいことがあります。10/4に来てくれませんか。
馨』
相談?なんだろう。
十月四日か。明日だ。
その他にも色々な事を考えてたけど、僕の心の中の決断は早かった。
行かない理由が無いということだ。
それがどんなに残酷なものの始まりでも。
彼女の要望通り、僕は自分の部屋の向かいの棟に足を運んだ。
そして彼女の部屋の前に着く。
少し戸惑いながらも彼女の部屋のインターホンを鳴らす。
高く細い音が緊張感を高まらせた。
五秒後くらいにガチャ、っていう音と、彼女のはーい、という声が重なった。
彼女は僕を見るなり、上がってください、と僕に言った。
僕は彼女の部屋に上がるのを一瞬躊躇したが、ここでは相談しにくいもんな、と心を落ち着かせて上がった。
彼女の部屋と僕の部屋の間取りは大体一緒だった。だからか、少し安堵感を感じた。
僕が席に座るなり、彼女はお茶を出してくれた。
その後静かに座って何かを決心したように顔をあげて僕に言った。
「私には両親がいません。」
どういう相談かと思っていたがあまりに突飛なことに普通に驚いた。
「ていううと?」
僕は浮かんだ質問をそのまま口に出した。
「あー、すみません。急で。話をどう切り出すか迷ったらこうなってしまいました。」
少しはにかみながら下を向いた。
「殺されたんですよ。」
そんなことを口にしているのに何故か、えへへと口角を上げて話した。
また、浮かんだ質問をそのまま言った。
「もしかして自殺未遂はそれが原因?」
「それは違いますよ!だって別にいなくても良かったんです。互いに、居ても居なくても別にいい。両親とはそういうカンケイでした。」
「寂しいとは思わない?」
今度は会話を繋ぐための繕った質問を言った。
「思いませんよ。私は母と父の互いの愛を証明するだけに生まれてきたんです。逆に二人で一緒に死ねて良かったんじゃあないでしょうか。」
軽く笑いながら彼女は続けた。
「それよりも私の自殺未遂の原因は別にあります。」
さっきとはがらりと表情が変わって少し寂しげだった。
「唯一の親友までも殺されました。」
きっと、思い出して辛いのだと思う。彼女は少し泣くのをこらえながら続けた。
「前提としてお察しの通り私は虐められています。そしてその親友は唯一私と仲良くしてくれていたかけがえの無い人でした。なのに、、、」
一回、泣くのをこらえてから言った。
「なのに、意味もなく殺されました。酷いですよね。こんなの。両親のような酷い奴等が復讐だのでも意味があって殺されて。恩人の素晴らしい人格者が意味もなく通り魔に殺された。そんなの意味わかん無いですよね!」
限界のようで、もうすでに泣いていた。
けれど。
僕にはある事が頭に浮かんだ。
そして、それがすぐに合っていると分かることになった。
「その人、楓ちゃんって言ううんですけどすぐそこのコンビニの角で殺されたんです。何でそんな近くだったのに助けてあげられ無かったんだろうっていう罪悪感でいっぱいで、、、」
僕には途中までしか頭に残らなかった。
数週間前のニュースの記憶。
美坂 楓というう少女が近所のコンビニの角でプラスチックナイフで殺されたと判明したあのニュース。
それは正真正銘クロの殺しであるのだ。
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