愛される奇蹟

ゆあ

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「夕方のアレ、なんだったんだ...」
姉の部屋に大量に残された雑誌の切り抜きやポスターを見て何となく恥ずかしくなり目を背ける
「ナツ~、何やってんの?」
扉を見ると部屋の主である姉がおり
「え?出戻り早くね?」
言った瞬間に腹にいい一撃を貰った
世界、狙えるだろ...
「んぐっ...」
殴られた腹を抑えながら呻いているとゆる~い声が聞こえ
「あれ?夏樹くんもうノックアウトされた後だったか~」

結婚して家を出たとはいえ、めっちゃ近所のマンションに住んでるせいでこうやってしょっ中帰ってくる。
むしろ、姉貴の部屋はそのまま使用するから片付け禁止令まで出されていた
「げほっ、ゴホッ、春人さんも、今日は来てたんだ」
痛む腹を押さえながら咳き込む
少し胸が高鳴るが平常心を装い
「姉貴、どうせご飯食べてくんだろ?今日の当番オレの日なのに...」
「え?ナツの担当だから帰って来たんだよ?お姉ちゃんは今日、唐揚げが食べたい気分だから♪」
しれっと晩飯のリクエストをされ、ガックリと力が抜ける

ヴーヴーとスマホのバイブが鳴り、知らない番号が表示される
ん?誰だコレ...?
恐る恐る電話に出ると知らないはずの人の声が聞こえ
「夏樹?の番号で合ってるよね。オレのことわかる?」
誰からの番号かわかり目を見開く
「えっ...ちょっ、ちょっと待って...
あ、姉貴オレちょっと電話してくるから部屋に絶対入んなよっ!」
慌てて自室に入り、扉をバタンっと音を立てて閉める

「ナツにも春が来たのかなぁ~
お姉ちゃん、紹介されるのを心待ちにしていよう」




「あ、えっと、もしもし?冬弥、さん?」
「あ、よかった。ちゃんと繋がる番号だった
違ったらどうしようかと不安になっちゃった
さっき仕事も終わって帰ってきたところなんだけど、気になって急いで電話したんだ。今、しゃべれる?」
嘘だろ、なんで俺の番号?って教えたの俺だけど...でも、電話って!?
「えっと、は、はい。夕飯の支度があるから、長時間はムリだけど...って、そんな長くは話さないですよね」
クスクス笑う声になんだかゾワゾワする
姉貴の部屋のポスターとかテレビで見たことあるけど、こんな風に喋るんだ...

「...で、だから今度会えないかな?」
ん?しまった!?あまりにも予想外なことがあり過ぎて話し聞いてなかった
「えっ、あ、はい。わかりました!」
「そう、じゃあ、また予定わかったら連絡するね。
夏樹に会えるの楽しみにしてるから、またね」

ツーツーと電話の切れた音がする
ちょっ!?嘘だろっ!!なんかまた会う約束してるし!?ってか、話し聞いてなかったし!!
慌てて過ぎて棚にぶつかり、本がバサバサと落ちる
なんだ...、オレどうなってんだ...?

「ナツ~、お腹空いたよ~」
階下から姉貴の声が聞こえる。
なんとか平静を装って夕飯を作ったが、一部の唐揚げは黒焦げになってしまった...
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