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第1章
城内
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魔王城の扉は、俺の3倍くらいの背のある、透明なガラスで出来たものだった。
見たところ、門番はいない。
もしかすると、必要ないのだろうか。
魔王はその扉の前に立つ。
すると、勝手にガラスの扉が左右に開いた。
「なんですか、これ。初めて見た」
「自動扉だ」
と、魔王。
「自動扉?」
「魔族がこの扉に立てば、それに反応して勝手に扉が開く仕組みになっている。お前の分は後程登録しよう」
「へえ」
魔族しか入れない扉。
人間が簡単に入ることが出来ないから、門番が必要ないのか。
俺は魔王に続いて、城の中に入る。
城というよりか、建物というよりか、真っ白な箱と言った方がやっぱり合っている気がする。
外も真っ白なら、建物の中も真っ白だった。
外の光がちゃんと中に入るように、大きな窓がいくつもある。
綺麗に整えられた廊下に沿って、均等に白い扉が設置されている。
廊下の向こうに、他の扉とはまた違った引き戸があった。
それは金属で出来ているみたいだ。
「お前の仕事場は5階にある。階段では何かと不便だろうから、エレベーターを使えばよい」
「エ、エレベーター……?」
ここへ来てから、知らない単語ばかりが聞き取れる。
魔族は、人間とは全く違う文化を気づいているのかもしれない。
魔王は、1つだけ違う素材で出来た扉に向かい、その横に設置されているボタンを押した。
すると、静かに扉は開き、向こうに小さな長方形の部屋が見えた。
玄関と同じように、直接扉に触れずとも勝手に開く仕組みみたいだ。
俺は魔王とともにその部屋の中に入る。
魔王は壁につけられたボタンを操作して、扉を閉めた。
「ケントよ、よく見るがよい」
「はあ」
俺は魔王の手を覗き込む。
「さっき押したのは、この『閉める』のボタンだ。次に、この『⑤』と書かれたボタンを押すと――」
魔王は⑤のボタンを人差し指で押した。
すると――。
「うおっ」
少しの浮遊感を感じる。
部屋の窓を見ると、景色がだんだん下へ下へと目まぐるしく変わっていく。
「ど、どういうことだ……?」
俺の困惑ぶりを見て、魔王はにやにやしている。
「これ、もしかして――」
この部屋が上昇しているのか。
「これはな、ボタン1つで階段を使わず、簡単に昇り降り出来る優れものだ。便利だろう」
す、すげぇ……。
見たところ、門番はいない。
もしかすると、必要ないのだろうか。
魔王はその扉の前に立つ。
すると、勝手にガラスの扉が左右に開いた。
「なんですか、これ。初めて見た」
「自動扉だ」
と、魔王。
「自動扉?」
「魔族がこの扉に立てば、それに反応して勝手に扉が開く仕組みになっている。お前の分は後程登録しよう」
「へえ」
魔族しか入れない扉。
人間が簡単に入ることが出来ないから、門番が必要ないのか。
俺は魔王に続いて、城の中に入る。
城というよりか、建物というよりか、真っ白な箱と言った方がやっぱり合っている気がする。
外も真っ白なら、建物の中も真っ白だった。
外の光がちゃんと中に入るように、大きな窓がいくつもある。
綺麗に整えられた廊下に沿って、均等に白い扉が設置されている。
廊下の向こうに、他の扉とはまた違った引き戸があった。
それは金属で出来ているみたいだ。
「お前の仕事場は5階にある。階段では何かと不便だろうから、エレベーターを使えばよい」
「エ、エレベーター……?」
ここへ来てから、知らない単語ばかりが聞き取れる。
魔族は、人間とは全く違う文化を気づいているのかもしれない。
魔王は、1つだけ違う素材で出来た扉に向かい、その横に設置されているボタンを押した。
すると、静かに扉は開き、向こうに小さな長方形の部屋が見えた。
玄関と同じように、直接扉に触れずとも勝手に開く仕組みみたいだ。
俺は魔王とともにその部屋の中に入る。
魔王は壁につけられたボタンを操作して、扉を閉めた。
「ケントよ、よく見るがよい」
「はあ」
俺は魔王の手を覗き込む。
「さっき押したのは、この『閉める』のボタンだ。次に、この『⑤』と書かれたボタンを押すと――」
魔王は⑤のボタンを人差し指で押した。
すると――。
「うおっ」
少しの浮遊感を感じる。
部屋の窓を見ると、景色がだんだん下へ下へと目まぐるしく変わっていく。
「ど、どういうことだ……?」
俺の困惑ぶりを見て、魔王はにやにやしている。
「これ、もしかして――」
この部屋が上昇しているのか。
「これはな、ボタン1つで階段を使わず、簡単に昇り降り出来る優れものだ。便利だろう」
す、すげぇ……。
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