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話①

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 まああの感じだと、2人が付き合っているのは事実なのだろう。


 一体モーリスは、アビゲイルのどこが気に入ったのか。

 全くもって、見当がつかない。


 確かに彼女は、可愛らしい容姿をしていた。

 アイドルってレベルでもないけど、だいたい中の上程度。


 まあ言わば、「雰囲気美少女」である。


 普通にしていれば、そこそこモテる感じの。

 学園のマドンナにはなれないけど、彼女の取り巻きとして甘い蜜を吸っていそうな、そんな顔立ちだった。


 ただし、あの性格はかなりヤバい。

 ほんのちょっとしか顔を合わせたことがないけれど、あれはヤバい。
 

 恋って、あそこまで人を狂わせるのか。

 それとももともと、彼女自身の性格がちょっとアレなのか。


 少なくとも、自分の行いを思いっきり棚に上げた挙句、全く見当違いのことを邪推して被害者を罵るような人間に、公爵の妻は務まらない。


 しかし、それをわざわざ指摘してあげるほど、私は心優しくない。

 自ら望んで滅びを選択している者に、抗弁を垂れる気もさらさらない。


 だからと言って、この状況を放置するわけにはいかなかった。


 ギルバートの言う通り、私は将来、モーリスと結婚する手筈となっている。

 もしこのまま何事もなく結婚に漕ぎつけられれば、私には不遇な未来が待っている。


 眠ることが出来れば、正直どうなろうが知ったこっちゃない。

 だけど、段ボールで作ったベッドよりも、ふかふかの高級ベッドで眠る方が断然良いのは確かだ。


 私は重い腰を上げて、両親に告げた。


 私の婚約者である公爵子息モーリスが、何やら不穏な動きをしていると。
 
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