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爆弾
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あまりの爆弾に、私は思いっきり吹き出した。
それを見たギルバートは、ギョッとした顔をする。
「ちょ、ちょっ……!」
まさか、盛大に暴露されるとは思っていなかったらしい。
モーリスは、壊れた機械仕掛けのおもちゃみたいに、何度も「ちょっ」を繰り返していた。
私が笑ったのが不服だったのか、アビゲイルはムッとした表情を浮かべる。
「何がおかしいのですか?」
まるで、自分たちに全く非がないみたいな顔をしていた。
それを見て逆に不安になった私は、コホンと1つ咳ばらいをし、誰に言うともなく尋ねた。
「……あの。私の婚約者って確か、公爵子息モーリス様でしたわよね?」
「ああ、そうだな」
ギルバートは即答した。
「俺の知っている限りでは、そのはずだよ」
「そうよね。私、間違っていないわよね。良かったわ」
「なんで不安に感じてるんだよ……」
ギルバートの呆れたツッコミをスルーしつつ、今度はアビゲイル本人に尋ねる。
「それで、アビゲイルさん。そのことはご存じ?」
「ええ、もちろんです」
アビゲイルははっきりとそう言った。
それを聞いたモーリスが、さらに焦る。
「あなたは、モーリスの婚約者よ。一応」
まるで、私よりも自分の方が立場が上だみたいな話し方をしていた。
「だけど」
「だけど?」
「彼が愛しているのは、私。あなたは親に決められた婚約者だけど、本当は彼、私を生涯の伴侶にしたいって言ってたわ」
「ちょっ、馬鹿。馬鹿っ」
とうとう焦りに負けてしまったモーリスは、指でアビゲイルの横腹をつつく。
小声ではあったが、その必死さがあまりにもおかしくて、私は笑いを隠すことが出来なかった。
それを見たギルバートは、ギョッとした顔をする。
「ちょ、ちょっ……!」
まさか、盛大に暴露されるとは思っていなかったらしい。
モーリスは、壊れた機械仕掛けのおもちゃみたいに、何度も「ちょっ」を繰り返していた。
私が笑ったのが不服だったのか、アビゲイルはムッとした表情を浮かべる。
「何がおかしいのですか?」
まるで、自分たちに全く非がないみたいな顔をしていた。
それを見て逆に不安になった私は、コホンと1つ咳ばらいをし、誰に言うともなく尋ねた。
「……あの。私の婚約者って確か、公爵子息モーリス様でしたわよね?」
「ああ、そうだな」
ギルバートは即答した。
「俺の知っている限りでは、そのはずだよ」
「そうよね。私、間違っていないわよね。良かったわ」
「なんで不安に感じてるんだよ……」
ギルバートの呆れたツッコミをスルーしつつ、今度はアビゲイル本人に尋ねる。
「それで、アビゲイルさん。そのことはご存じ?」
「ええ、もちろんです」
アビゲイルははっきりとそう言った。
それを聞いたモーリスが、さらに焦る。
「あなたは、モーリスの婚約者よ。一応」
まるで、私よりも自分の方が立場が上だみたいな話し方をしていた。
「だけど」
「だけど?」
「彼が愛しているのは、私。あなたは親に決められた婚約者だけど、本当は彼、私を生涯の伴侶にしたいって言ってたわ」
「ちょっ、馬鹿。馬鹿っ」
とうとう焦りに負けてしまったモーリスは、指でアビゲイルの横腹をつつく。
小声ではあったが、その必死さがあまりにもおかしくて、私は笑いを隠すことが出来なかった。
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