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第1章
体育館裏
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私は放課後、言われた通りに体育館裏へ向かう。
にしても、本当に久しぶりだな。
体育館裏に呼び出されるの。
それにしても毎度思うんだけど、体育館裏ってめちゃくちゃ古風じゃない?
よくあるヤンキー漫画の鉄板みたいな。
ていうか、なんで体育館裏なんだろう。
別に空き教室とか学外とかでも呼び出して良いはずなのに。
なんで体育館裏をみんな選ぶんだろう。
そんなことを考えながら、体育館の裏を回る。
いた。
もう呼び出した本人が来ているらしい。
制服姿の女子生徒が、仁王立ちで落ち葉を踏んでいる。
でも前と違うのは、彼女が1人だということだ。
こういう場合、いつもは数人で私を攻撃にかかるのに。
今回はたったの1人。
結構あの子、殊勝なのかもしれない。
私は少し相手のことを見直しつつ、落ち葉の敷き詰められたふかふかの道なき道を進む。
「あの」
私は彼女に声をかけた。
「テレサ様、ですか……?」
私の方を見るなり、彼女はギロリと睨みつけた。
「ええ、そうですわ」
と、彼女――テレサは言う。
「あなたは、公爵令嬢のセレーナ様でお間違えないですか?」
「え、ええ」
私は頷き、彼女に近づいた。
……なんか、結構怒っているみたいだな。
「それで、話というのは」
私は早く帰りたいので、話を急かせる。
「なんなのでしょうか?」
「殿下と別れてください」
テレサは間髪入れずに言った。
ああ、やっぱり。
その辺の話だと思ったわよ。
どうせ、あなたは殿下の婚約者にふさわしくない、とか言い出すんでしょ?
だが次の瞬間、想像もしていなかった言葉が彼女の口から放たれた。
「私、殿下とお付き合いしておりますの。私たち、愛し合っているんです」
「――――――――――――えっ」
にしても、本当に久しぶりだな。
体育館裏に呼び出されるの。
それにしても毎度思うんだけど、体育館裏ってめちゃくちゃ古風じゃない?
よくあるヤンキー漫画の鉄板みたいな。
ていうか、なんで体育館裏なんだろう。
別に空き教室とか学外とかでも呼び出して良いはずなのに。
なんで体育館裏をみんな選ぶんだろう。
そんなことを考えながら、体育館の裏を回る。
いた。
もう呼び出した本人が来ているらしい。
制服姿の女子生徒が、仁王立ちで落ち葉を踏んでいる。
でも前と違うのは、彼女が1人だということだ。
こういう場合、いつもは数人で私を攻撃にかかるのに。
今回はたったの1人。
結構あの子、殊勝なのかもしれない。
私は少し相手のことを見直しつつ、落ち葉の敷き詰められたふかふかの道なき道を進む。
「あの」
私は彼女に声をかけた。
「テレサ様、ですか……?」
私の方を見るなり、彼女はギロリと睨みつけた。
「ええ、そうですわ」
と、彼女――テレサは言う。
「あなたは、公爵令嬢のセレーナ様でお間違えないですか?」
「え、ええ」
私は頷き、彼女に近づいた。
……なんか、結構怒っているみたいだな。
「それで、話というのは」
私は早く帰りたいので、話を急かせる。
「なんなのでしょうか?」
「殿下と別れてください」
テレサは間髪入れずに言った。
ああ、やっぱり。
その辺の話だと思ったわよ。
どうせ、あなたは殿下の婚約者にふさわしくない、とか言い出すんでしょ?
だが次の瞬間、想像もしていなかった言葉が彼女の口から放たれた。
「私、殿下とお付き合いしておりますの。私たち、愛し合っているんです」
「――――――――――――えっ」
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