婚約者のせいで友達が出来ないんですが

 公爵令嬢であるセレーナの悩みは、友達がいないことだった。


 幼稚舎からずっとエスカレーター式で同じ学園に通い続けている。

 それなのに、いくら何をしてもどうやっても友達が出来ない。


 17年間生きてくれば、さすがにその理由もわかりつつあった。


 婚約者である第一王子だ。


 眉目秀麗。

 才覚ある将来有望な次期国王。

 性格も良く、老若男女や身分問わず平等に接し、その慈愛深さは1級品。


 誰もが彼を敬愛してやまない。


 そんな男の婚約者として、強大な重圧を抱えて生きてきた彼女。


 24時間、四六時中行われる未来の王子妃としての修行や周囲の目線で、気の休まらない日々。

 異常なまでのハイスペック婚約者がモテないはずもなく、嫉妬したその他の令嬢たちからは虐められ、嫌われ、それ以外の子息子女にも遠巻きに見られている。


 正直、我慢の限界だった。


 友達が欲しい。

 いい加減、仲の良い人を作りたい。


 そんなある日、見知らぬ男爵令嬢から、

「私、殿下とお付き合いしていますの」

 と言い放たれる。


 その瞬間、雷に落ちたように素晴らしいアイデアが降ってきた。

「……そうだわ。婚約破棄すれば良いのよ!」



 
 


 
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