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話②
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フィルは続ける。
「あんた、放って置くと俺の話全部なかったことにするだろ?」
「い、いえ、そんなことは……」
否定しようとしたが、言葉が途中で止まる。
「お嬢様は馬鹿だから、ちゃんと俺の方から催促しないと忘れるだろ?」
そんなことはあるかもしれない。
お嬢様は馬鹿だと決めつけられるのは癪に障るが。
「で、どう? 少しは俺のこと考えた?」
「……はい」
私は頷く。
「どう思った?」
「……」
なんて言えば良いかわからなかった。
正直、まだ答えは出ていないのだ。
ちゃんとティファニーに相談したとはいえ、彼女にもアドバイスを貰ったのにも関わらず、私の中でスッとあるべき場所に落とし込めるような、しっくりくる解は見つかっていない。
ただ。
これが分岐点なのだろうということは、鈍感な私でもわかった。
ここを間違えれば、きっとフィルは私の知らない遠くへ行ってしまうのだろう。
それだけはどうしても避けたかった。
「……正直言うと」
私は言った。
「私の中で、かつての殿下への想いとフィルに対する感情が同じかどうかはわかってないの。多分違うと思う」
フィルは真剣な表情で私の話を聞いている。
「私は、フィルを男の人として好きかどうかわからない。だけど」
私は唾を飲み込む。
「私はね、フィルが他の人と――新しく入ってきたメイドたちと楽しそうに話をしているのが嫌だった。フィルが取られたみたいで。それは本当に嫌だったの。多分嫉妬だと思う」
「……つまり」
フィルは話をまとめた。
「俺のことは男として見ているかどうかわからない。だが嫉妬はしていると?」
私は無言で頷いた。
「俺の気持ちには答えられるかわからないけど、他の女とは話してほしくない? どこにも行ってほしくないだって?」
「ええ」
「そうか……」
私は嘘がつけなかった。
フィルに対して失礼だというのもそうだし、彼と私は長い付き合いだ。
小細工をしたところで、どうせバレてしまう。
だから私は、正直な気持ちを打ち明けるしかなかったのだ。
「なるほどね」
フィルは腕を組んだ。
私は身を縮こませる。
きっと罵られるのだろう。
怒られるのだろう。
そう覚悟していたが。
聞こえてきたのは、フィルの大きな笑い声だった。
「あんた、放って置くと俺の話全部なかったことにするだろ?」
「い、いえ、そんなことは……」
否定しようとしたが、言葉が途中で止まる。
「お嬢様は馬鹿だから、ちゃんと俺の方から催促しないと忘れるだろ?」
そんなことはあるかもしれない。
お嬢様は馬鹿だと決めつけられるのは癪に障るが。
「で、どう? 少しは俺のこと考えた?」
「……はい」
私は頷く。
「どう思った?」
「……」
なんて言えば良いかわからなかった。
正直、まだ答えは出ていないのだ。
ちゃんとティファニーに相談したとはいえ、彼女にもアドバイスを貰ったのにも関わらず、私の中でスッとあるべき場所に落とし込めるような、しっくりくる解は見つかっていない。
ただ。
これが分岐点なのだろうということは、鈍感な私でもわかった。
ここを間違えれば、きっとフィルは私の知らない遠くへ行ってしまうのだろう。
それだけはどうしても避けたかった。
「……正直言うと」
私は言った。
「私の中で、かつての殿下への想いとフィルに対する感情が同じかどうかはわかってないの。多分違うと思う」
フィルは真剣な表情で私の話を聞いている。
「私は、フィルを男の人として好きかどうかわからない。だけど」
私は唾を飲み込む。
「私はね、フィルが他の人と――新しく入ってきたメイドたちと楽しそうに話をしているのが嫌だった。フィルが取られたみたいで。それは本当に嫌だったの。多分嫉妬だと思う」
「……つまり」
フィルは話をまとめた。
「俺のことは男として見ているかどうかわからない。だが嫉妬はしていると?」
私は無言で頷いた。
「俺の気持ちには答えられるかわからないけど、他の女とは話してほしくない? どこにも行ってほしくないだって?」
「ええ」
「そうか……」
私は嘘がつけなかった。
フィルに対して失礼だというのもそうだし、彼と私は長い付き合いだ。
小細工をしたところで、どうせバレてしまう。
だから私は、正直な気持ちを打ち明けるしかなかったのだ。
「なるほどね」
フィルは腕を組んだ。
私は身を縮こませる。
きっと罵られるのだろう。
怒られるのだろう。
そう覚悟していたが。
聞こえてきたのは、フィルの大きな笑い声だった。
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