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青天の霹靂② ~レナ視点~
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私は、恐る恐る客室に入る。
奥のソファの方には、確かに見知った顔が1人座っていた。
名前は憶えていないが、数ヵ月前までは私つきのメイドだったはずだ。
「お久しぶりです」
メイドは立ち上がり、私の方を向く。
相変わらず他所でもメイドをしているらしい。
しかし男爵家のときとは違って、随分と質の良い使用人服を着ているようだ。
よほどの身分の家で働いているのか、それともたかが使用人ごときにも金を使うお人好しな連中のところなのか。
つまるところ、この女は私のように娼館で働くという選択をしなくても良い人間だったのだ。
「久しぶりね」
私は、私の中に巣食う小さな惨めさを払拭するべく、大きな声を出して挨拶した。
「名前、誰だっけ? ごめんなさいね。私、人の名前覚えるの苦手なの」
メイドは私に煽られても、顔色1つ変えなかった。
「お久しぶりです。レナ様」
メイドは貴族の使用人らしく、張りついた笑みを浮かべたままです。
「お元気そうで何よりです」
「……」
イラっとした。
いや、当然私はこの仕事を天職だと思っている。
繊細で、ちょっとしたことですぐに落ち込んでしまう私にとってはとても気楽な環境。
だがなぜだろう。
このメイドにそう言われて、私は至極ムッとした。
馬鹿にされたような気持ちになった。
「何あんた。私を馬鹿にしに来たわけ?」
「いいえ」
メイドは首を振る。
「じゃあ何? 暇なの? それなら帰ってくれない? 私暇じゃないんだけど」
「違います。レナ様にご用があって参りました」
「じゃあ早く言ってよ」
私は面倒になって髪の毛を触り始めた。
早くこの場を切り上げて部屋に戻りたい。
なんで仕事でもないのにどうでも良い人間と会話しなければならないのだろう。
「男爵は逮捕されました」
メイドは言った。
私は髪を触る手を止める。
「は?」
「公爵令嬢殺害未遂容疑で現行犯逮捕されました」
公爵令嬢殺害未遂?
ってことは……。
「あっはははははは!」
私は声高らかに笑った。
「ざまあみろ。せいせいするわ」
あの女も、父親も。
私の邪魔をする連中は、ことごとく酷い目にあったというわけだ。
奥のソファの方には、確かに見知った顔が1人座っていた。
名前は憶えていないが、数ヵ月前までは私つきのメイドだったはずだ。
「お久しぶりです」
メイドは立ち上がり、私の方を向く。
相変わらず他所でもメイドをしているらしい。
しかし男爵家のときとは違って、随分と質の良い使用人服を着ているようだ。
よほどの身分の家で働いているのか、それともたかが使用人ごときにも金を使うお人好しな連中のところなのか。
つまるところ、この女は私のように娼館で働くという選択をしなくても良い人間だったのだ。
「久しぶりね」
私は、私の中に巣食う小さな惨めさを払拭するべく、大きな声を出して挨拶した。
「名前、誰だっけ? ごめんなさいね。私、人の名前覚えるの苦手なの」
メイドは私に煽られても、顔色1つ変えなかった。
「お久しぶりです。レナ様」
メイドは貴族の使用人らしく、張りついた笑みを浮かべたままです。
「お元気そうで何よりです」
「……」
イラっとした。
いや、当然私はこの仕事を天職だと思っている。
繊細で、ちょっとしたことですぐに落ち込んでしまう私にとってはとても気楽な環境。
だがなぜだろう。
このメイドにそう言われて、私は至極ムッとした。
馬鹿にされたような気持ちになった。
「何あんた。私を馬鹿にしに来たわけ?」
「いいえ」
メイドは首を振る。
「じゃあ何? 暇なの? それなら帰ってくれない? 私暇じゃないんだけど」
「違います。レナ様にご用があって参りました」
「じゃあ早く言ってよ」
私は面倒になって髪の毛を触り始めた。
早くこの場を切り上げて部屋に戻りたい。
なんで仕事でもないのにどうでも良い人間と会話しなければならないのだろう。
「男爵は逮捕されました」
メイドは言った。
私は髪を触る手を止める。
「は?」
「公爵令嬢殺害未遂容疑で現行犯逮捕されました」
公爵令嬢殺害未遂?
ってことは……。
「あっはははははは!」
私は声高らかに笑った。
「ざまあみろ。せいせいするわ」
あの女も、父親も。
私の邪魔をする連中は、ことごとく酷い目にあったというわけだ。
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