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間違い③ ~レナの父親視点~

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 その手紙を受け取り、あろうことか開いて中身を確認したのは妻だった。


 怒り心頭の彼女は、私に向かってその紙切れを投げつけてきた。


「なんですかこれは!」


 鬼のような形相で、私を怒鳴る妻。

「夫に対して、なんだとはなんだ!」


 私が黙らせるために怒鳴りつけても、妻は全く動じない。


 それどころか、離婚届を突き出してくる。


「は? 離婚なんて――」

「あなたねぇ。良くもやってくれましたわね」


 震える声で、妻は手紙の内容を告げた。

「公爵家から、あなたとレナのやったことに対して慰謝料を請求するという通達がありました。もしこれに応じない場合、直接王家に爵位剥奪の請求を行うと」

「は?」


 私は慌てて手紙を受け取り、中身を確認する。


 そこには、今の男爵家のすべての財を投げうっても払え切れるかどうかわからない慰謝料が記載されていた。


「こんなの、無視すれば――」

「無視すれば爵位剥奪ですよ。私たちは路頭に迷うのです」

「書かれているのは、爵位剥奪の請求だけだ。爵位が剥奪されるとはまだ決まったわけでは――」

「相手は公爵家ですよ? あなた何を言っているのですか? だいたい、私の知らないところで国のトップ層にいる公爵家と揉めていただなんて――」


 妻にはきちんと説明していなかったのが仇になった。

 公爵家と揉めたなどと知られてしまえば、不都合極まりない。


 ただでさえ妻との仲は険悪だというのに。


「あなたとレナのせいで路頭に迷うなんて、私は耐えられません。実家に帰らせていただきます」


 妻はそう言い、くるりと背中を向けた。

「ちょっ――」

「それと、実家から仕送りしていた分も今後は辞めさせていただきますね。いい加減自分の給金で生活したらどうですか?」

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