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自覚 ~セシル視点~

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 どのくらいの時間が経ったのだろうか。

 俺が牢屋に入れられて。


 俺を四六時中交代制で監視している看守曰く、

「また半日しか経っていません」

 だそうだ。


 なるほど。

 俺はもう、半日こんな気分の悪い狭い場所に押し込まれているらしい。


 正直耐えられない。

 飯は不味いし、何よりここは王族が長期間過ごせるように作られてはいない。


 こんな豚小屋みたいなところは、一刻も早く出て行きたい。


 しかし出て行ったところで、俺はもうあの両親の元に戻る気はない。


 父と母の言った、

「セシルを公爵家に突き出して、肉なり焼くなり好きにしろと言うのはどうだろうか」

 という言葉。


 俺はあの一言で、完全に目が覚めた。


 俺は今まで、ずっと被害者だったのだ。

 あの、息子を息子だとも思わないような両親の元で俺は今までずっと生きてきた。


 国王となるために必死に生き、見捨てられないように、褒めてもらえるように。


 しかし俺が何をやってもあいつらは俺を認めることはなく、現状このありさまだ。

 親は子どもを見捨てず愛するべきだというのに、あいつらは簡単に俺を捨てようとする。


 ゴミ箱にゴミを捨てるかのように。


 俺の目から、思わず涙が溢れ出てくる。


 だからか。

 だから俺はこんなに歪んでいるんだ。


 あの両親のせいで、俺はこんな目にあった。


 スカーレットから邪険にされるのも、レナのようなクズ女を引き取ってしまったのも。
 
 レナやティファニー嬢に暴力を振るったのも。


 本当は全部、あの国王夫妻のせいだったのだ。


 俺は殴りたくて殴ったわけじゃない。

 襲おうとして襲ったわけでもない。


 両親の育て方が酷くて、俺はまともな振る舞いが身についていなかった。

 
 ――そうだ。

 父上と母上がすべて悪いんだ。


 それなのに。

 俺は何も悪くないのに。


 あいつらは全部自分のことを棚に上げて俺を糾弾し、あの女どもは俺の不幸をちっともわかってはくれなかったのだ。


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