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お礼
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悲劇のヒロインぶることで、フィルに構ってもらいたがっているレナ。
それを無下にすることも出来ず、機嫌の悪いフィル。
ややこしい事態を避けるためにレナを止めることも出来ず、ただおろおろする私。
私のせいで、フィルに迷惑がかかっているのがなんだか申し訳なくなってきた。
が、
「そんなの今更だろ」
と、フィルは言った。
「あんたのために男爵になって、あんたのために学園通ってんだから。俺は」
「だけど」
「そう申し訳なさそうな顔すんなよ。俺、今機嫌悪いんだけど」
「ご、ごめんなさい……」
「はぁ」
フィルは深くため息をついた。
「謝罪じゃなくて、別の言葉が欲しいんですけどねー。ちゃんと頑張ってる使用人に労いの言葉は?」
「別の言葉?」
私は一瞬考え込み、使用人の彼が何を欲しているかに気づいた。
「……あ、ありがとう。フィル」
「そう、それで良い」
フィルは私からお礼の言葉を引き出して、満足そうに頷く。
「それより、あんたはティファニー様と対策に動いた方が良いぜ」
「対策?」
「そろそろ、あの人が動きだす頃合いじゃねぇの?」
「頃合い……」
あの人、というのは。
もうここまでくると、だいたい察する。
「俺がレナを足止めしておくから、お嬢様はティファニー様と一緒に動いてくれ。あと、俺をさっさと解放してくれ。この地獄から」
「わ、わかったわ」
私は頷く。
元はと言えば、レナの件はフィルの失態が招いた事態ではあるが。
忠誠心の高い使用人の災難を放置するほど、私は酷い主人ではない。
「待っててね、フィル。私がなんとかしてくるから」
「頼んだ、お嬢様」
フィルは青白い顔でそう言った。
それを無下にすることも出来ず、機嫌の悪いフィル。
ややこしい事態を避けるためにレナを止めることも出来ず、ただおろおろする私。
私のせいで、フィルに迷惑がかかっているのがなんだか申し訳なくなってきた。
が、
「そんなの今更だろ」
と、フィルは言った。
「あんたのために男爵になって、あんたのために学園通ってんだから。俺は」
「だけど」
「そう申し訳なさそうな顔すんなよ。俺、今機嫌悪いんだけど」
「ご、ごめんなさい……」
「はぁ」
フィルは深くため息をついた。
「謝罪じゃなくて、別の言葉が欲しいんですけどねー。ちゃんと頑張ってる使用人に労いの言葉は?」
「別の言葉?」
私は一瞬考え込み、使用人の彼が何を欲しているかに気づいた。
「……あ、ありがとう。フィル」
「そう、それで良い」
フィルは私からお礼の言葉を引き出して、満足そうに頷く。
「それより、あんたはティファニー様と対策に動いた方が良いぜ」
「対策?」
「そろそろ、あの人が動きだす頃合いじゃねぇの?」
「頃合い……」
あの人、というのは。
もうここまでくると、だいたい察する。
「俺がレナを足止めしておくから、お嬢様はティファニー様と一緒に動いてくれ。あと、俺をさっさと解放してくれ。この地獄から」
「わ、わかったわ」
私は頷く。
元はと言えば、レナの件はフィルの失態が招いた事態ではあるが。
忠誠心の高い使用人の災難を放置するほど、私は酷い主人ではない。
「待っててね、フィル。私がなんとかしてくるから」
「頼んだ、お嬢様」
フィルは青白い顔でそう言った。
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