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休学

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 男爵は硬直する。


 顔は青白く、額はうっすらテカっていた。


「ご存じですか?」

 父はもう一度繰り返した。

「スカーレットが学園を休まざるを得なかった理由を」


「ええっと、あの……」

 男爵は、苦虫を嚙み潰したような顔を下に向ける。


「そ、そうだったのですか……。それは存じ上げませんでした」

 彼は早口でそう言った。


「へぇ。そうですか」

 お父様は目を細める。

「では、お話いたしましょう――実はレナという少女が、学園の掲示板を用いてスカーレットを侮辱する言葉や絵を公然の場に晒したそうです。その場で彼女は自分が犯人であること、王家もこれに関わっていることを認めたと、スカーレット並びに目撃者複数人が証言しています」

「……」

「レナという少女は庶民だそうですが、先ほどの話を聞くに、あなたの1人娘だそうですね」

「……」

「私がなぜ、この事件についてあなたに責任を追及しなかったか、ご説明いたしましょうか?」


 男爵の顔に、隠しようがないほどの脂汗が流れていた。


「あなたは彼女を自分の娘として扱っていなかった。あくまで彼女は自分の親類であり、貴族子女ではない。そういう立場を取られていた。だからこそ、赤の他人であるところのあなたには何も言わなかったわけです」

「……」

「娘の話を聞く限り、あなたはレナという少女が自分の娘だとお認めになられたということですよね? それなら話は早い」


 お父様はにっこりと微笑んだ。


「王家にしたのと同様、男爵殿にもしっかり責任を取っていただきますよ。誠意ある行動、期待しております」

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