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味方
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私は早速、ティファニーのアイデアを借りて周囲に相談した。
まずはクラスメイトたちを集め、各々にお願いしていく。
「本当に申し訳ないんだけど、もし殿下が教室にやってきて私を呼んだり連れ去ろうとしたら、止めてくださらない? お礼はもちろんきちんとするわ」
そう言うと、
「ええ、良いわ」
「もちろんよ」
と、快く返事をしてくれる者もいれば、
「まあ、良いですけど」
「うーん」
と、渋い返事をする者もいる。
そう言う場合はたいてい、
「自分たちに見返りがない」
であったり、
「クラスメイトのいざこざに巻き込まれたくない」
なんていう理由だ。
そういう場合には仕方がない。
彼らにも当然取捨選択の自由はある。
もしこれで私たちが無理やりにでも味方につけようとしたら、やっていることはセシル殿下と同じだ。
とりあえず、仲間にならずとも私が被害者側であるということを知ってもらうだけでも良い。
陛下たちにも、再度こちら側から、
「婚約破棄の件、よろしくお願いいたします」
と、念を押す手紙を送った。
具体的な日付や準備、これからの我が家の立ち位置についての相談を盛り込むことで、こちら側は婚約破棄に本気であるという姿勢を見せた。
セシル殿下の、
「婚約破棄はせず、向こうの勘違いだ」
みたいな言葉を全否定するわけには、もちろんいかない。
あくまで向こうは王子であり、私たちよりも立場が上だ。
苦肉の策ではあるが、これで陛下たちに私の気持ちをわかっていただければと思う。
まずはクラスメイトたちを集め、各々にお願いしていく。
「本当に申し訳ないんだけど、もし殿下が教室にやってきて私を呼んだり連れ去ろうとしたら、止めてくださらない? お礼はもちろんきちんとするわ」
そう言うと、
「ええ、良いわ」
「もちろんよ」
と、快く返事をしてくれる者もいれば、
「まあ、良いですけど」
「うーん」
と、渋い返事をする者もいる。
そう言う場合はたいてい、
「自分たちに見返りがない」
であったり、
「クラスメイトのいざこざに巻き込まれたくない」
なんていう理由だ。
そういう場合には仕方がない。
彼らにも当然取捨選択の自由はある。
もしこれで私たちが無理やりにでも味方につけようとしたら、やっていることはセシル殿下と同じだ。
とりあえず、仲間にならずとも私が被害者側であるということを知ってもらうだけでも良い。
陛下たちにも、再度こちら側から、
「婚約破棄の件、よろしくお願いいたします」
と、念を押す手紙を送った。
具体的な日付や準備、これからの我が家の立ち位置についての相談を盛り込むことで、こちら側は婚約破棄に本気であるという姿勢を見せた。
セシル殿下の、
「婚約破棄はせず、向こうの勘違いだ」
みたいな言葉を全否定するわけには、もちろんいかない。
あくまで向こうは王子であり、私たちよりも立場が上だ。
苦肉の策ではあるが、これで陛下たちに私の気持ちをわかっていただければと思う。
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