前世でこっぴどく振られた相手に、今世ではなぜか求婚されています ~番とか、急にそんなこと言われても困るんですが~

 小さな村に住む16歳の少女、エミリーの前世は、なんともしがないものであった。


 公爵令嬢であった彼女は、幼年期、1人の男の子に恋をする。


 相手は、同じく公爵家の御子息。

 原始の龍の血が流れる、神話時代から続く古い家柄出身の彼。


 その血が最も色濃く出た彼は、誰よりも美しかった。


 そんな彼に一目ぼれをした彼女は、自分の家の力を最大限に利用して、彼に猛アタックする。


 しかし彼はそんな彼女を嫌い、邪険に扱う。


「君と付き合うつもりはない」

「もう二度と、近づかないでくれ」

「鬱陶しい」


 そこまで言われてなお、彼女は盲目だった。

 ほかの男性には目もくれず、彼だけを追いかけ続けた。


 しかし、その恋心を利用した悪しき連中によって、彼女は命を落とすこととなる。


 死に際、彼女は我に返った。


 どうして、そこまであの人のことが好きだったんだろうか。


 そうして生まれ変わった今、恋に盲目過ぎた前世を深く反省し、堅実に生きようと決意する彼女。


 そんな彼女の元に、突然「彼」が現れ、こう言った。


「君は俺の番なんだ。俺と共に来てくれ」


 ……いやあの、急にそんなこと言われても困ります。

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