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惨状
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結婚記念パーティはもうめちゃくちゃだった。
突然現れた王子妃の親族によって、お祝いムードは一転して阿鼻叫喚と化す。
自粛中であるはずの父親は、
「自分の娘の結婚記念パーティに出席するのは当然のことだ」
と、宣い、自分の愛人2名を連れて強引に参加しようとする。
前代未聞。
未曾有の事態。
本当、この日は誰にとっても最悪の1日だった。
しかし一番ショックなのは、どう考えてもヘレナ殿下だろう。
自分と血の繋がりのある弟が婚約者に散々迷惑をかけた挙句、恋人と共に牢屋に入れられた。
さらに父親は、国王裁判で嘘を言いまくって国王陛下に罰せられた。
さらにそれでは飽き足らず、実の母親を捨てて愛人たちと3人で自分たちの開いたパーティに直撃する。
彼女の気持ちなど、私のような人間が想像出来るはずもない。
あまりある恥ずかしさ。
この世の全ての不快なものをつぎ込んだごとく最悪な状況。
ショックで夫にもたれかかっていたヘレナ様はついに、近くにあったテーブルナイフを首元に当てた。
「きゃぁぁぁあ!」
「王子妃殿下!」
貴族たちが悲鳴をあげる。
「ヘレナ! 何を!」
「近づかないで。来たら死にます」
ジョシュア殿下が近づこうとするが、それを彼女は阻止する。
「ヘレナ様!」
ライナーには大人しくしろと言われていたが、いてもたってもいられず、私は飛び出した。
「ごめんなさい、グレース」
ヘレナ様は、ボロボロと涙を零している。
「あなたには本当に、迷惑をかけて……」
「ヘレナ様が悪いわけではありません! ヘレナ様、すぐにその手を降ろしてーー」
「もう、無理なのです」
彼女は言った。
「もうこんな恥、耐えきれません! 今すぐに死んでしまいたい!」
「ヘレナ姉さん、落ち着いて!」
ライナーが叫ぶ。
「僕たちは誰もあなたが悪いとは思ってない!」
「ですが、私が私を許せないのです! ーー家族がこんなので、私、私……!」
「あっ」
「きゃぁぁぁあ!」
「ヘレナ!」
突然、ヘレナ殿下が倒れた。
その瞬間、私はライナーに庇われたためはっきりとは見えなかったが。
人々の悲鳴だけは、この耳に焼きついている。
突然現れた王子妃の親族によって、お祝いムードは一転して阿鼻叫喚と化す。
自粛中であるはずの父親は、
「自分の娘の結婚記念パーティに出席するのは当然のことだ」
と、宣い、自分の愛人2名を連れて強引に参加しようとする。
前代未聞。
未曾有の事態。
本当、この日は誰にとっても最悪の1日だった。
しかし一番ショックなのは、どう考えてもヘレナ殿下だろう。
自分と血の繋がりのある弟が婚約者に散々迷惑をかけた挙句、恋人と共に牢屋に入れられた。
さらに父親は、国王裁判で嘘を言いまくって国王陛下に罰せられた。
さらにそれでは飽き足らず、実の母親を捨てて愛人たちと3人で自分たちの開いたパーティに直撃する。
彼女の気持ちなど、私のような人間が想像出来るはずもない。
あまりある恥ずかしさ。
この世の全ての不快なものをつぎ込んだごとく最悪な状況。
ショックで夫にもたれかかっていたヘレナ様はついに、近くにあったテーブルナイフを首元に当てた。
「きゃぁぁぁあ!」
「王子妃殿下!」
貴族たちが悲鳴をあげる。
「ヘレナ! 何を!」
「近づかないで。来たら死にます」
ジョシュア殿下が近づこうとするが、それを彼女は阻止する。
「ヘレナ様!」
ライナーには大人しくしろと言われていたが、いてもたってもいられず、私は飛び出した。
「ごめんなさい、グレース」
ヘレナ様は、ボロボロと涙を零している。
「あなたには本当に、迷惑をかけて……」
「ヘレナ様が悪いわけではありません! ヘレナ様、すぐにその手を降ろしてーー」
「もう、無理なのです」
彼女は言った。
「もうこんな恥、耐えきれません! 今すぐに死んでしまいたい!」
「ヘレナ姉さん、落ち着いて!」
ライナーが叫ぶ。
「僕たちは誰もあなたが悪いとは思ってない!」
「ですが、私が私を許せないのです! ーー家族がこんなので、私、私……!」
「あっ」
「きゃぁぁぁあ!」
「ヘレナ!」
突然、ヘレナ殿下が倒れた。
その瞬間、私はライナーに庇われたためはっきりとは見えなかったが。
人々の悲鳴だけは、この耳に焼きついている。
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