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王族
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「……っ」
突如として現れたライナーに、絶句する貴族男性たち。
「あ、あなたは……」
「ラ、ライナー公爵子息殿」
「どうも」
ライナーはにこやかな表情だ。
「初めまして。ライナーと申します。どうぞよろしく」
貴族たちは顔を見合わせる。
初めまして。
その言葉から、彼らの中で誰がどの程度、ライナーの意思を察することが出来るだろうか。
まだ挨拶も交わしたことのない、初対面の貴族の相手にちょっかいをかける。
それがどれほど、無礼かつ最低極まりない行為であるかということを。
ライナーはそう、暗に言いたいのだろう。
「彼女は」
それとは対照的に、至って平然とした様子の彼が言葉を重ねる。
「宰相の娘だ。それをわかったうえでの、それなのかな?」
それ、とライナーが指し示すのは、私の腕をむんずと掴んで離さない男の手だった。
「こ、これは、あの……」
しどろもどろになる男。
私はその隙に男の手を払いのけ、ライナーの腕に自分のを絡ませた。
「こ、これはこれは……。大変失礼いたしました」
私の腕を掴んだ者とは、また別の男が言う。
男の顔は、土気色だった。
当然だろう。
父親が臣籍降下したとはいえ、ライナーは公爵子息であり、かつ王家の血を引く者でもある。
私の周りを取り囲む者と、地位は雲泥の差だ。
「ま、まさか、ライナー殿がグレース嬢の」
「ご、ご無礼を……」
彼らは、今にも死にそうな顔で私たちの傍からそそくさと離れていく。
「はあ……」
文句の1つさえいう気になれず、私はため息をつくだけだった。
面倒くさい。
あの2人からようやく逃れられたと思ったのに、今度は違う人間がまた私を悩ませるのね。
「ごめんね、グレース」
ライナーはその綺麗な目を伏せ、もう一度私に謝った。
「いいえ、大丈夫よ」
私の声は、少し頑なだった。
「私は大丈夫」
突如として現れたライナーに、絶句する貴族男性たち。
「あ、あなたは……」
「ラ、ライナー公爵子息殿」
「どうも」
ライナーはにこやかな表情だ。
「初めまして。ライナーと申します。どうぞよろしく」
貴族たちは顔を見合わせる。
初めまして。
その言葉から、彼らの中で誰がどの程度、ライナーの意思を察することが出来るだろうか。
まだ挨拶も交わしたことのない、初対面の貴族の相手にちょっかいをかける。
それがどれほど、無礼かつ最低極まりない行為であるかということを。
ライナーはそう、暗に言いたいのだろう。
「彼女は」
それとは対照的に、至って平然とした様子の彼が言葉を重ねる。
「宰相の娘だ。それをわかったうえでの、それなのかな?」
それ、とライナーが指し示すのは、私の腕をむんずと掴んで離さない男の手だった。
「こ、これは、あの……」
しどろもどろになる男。
私はその隙に男の手を払いのけ、ライナーの腕に自分のを絡ませた。
「こ、これはこれは……。大変失礼いたしました」
私の腕を掴んだ者とは、また別の男が言う。
男の顔は、土気色だった。
当然だろう。
父親が臣籍降下したとはいえ、ライナーは公爵子息であり、かつ王家の血を引く者でもある。
私の周りを取り囲む者と、地位は雲泥の差だ。
「ま、まさか、ライナー殿がグレース嬢の」
「ご、ご無礼を……」
彼らは、今にも死にそうな顔で私たちの傍からそそくさと離れていく。
「はあ……」
文句の1つさえいう気になれず、私はため息をつくだけだった。
面倒くさい。
あの2人からようやく逃れられたと思ったのに、今度は違う人間がまた私を悩ませるのね。
「ごめんね、グレース」
ライナーはその綺麗な目を伏せ、もう一度私に謝った。
「いいえ、大丈夫よ」
私の声は、少し頑なだった。
「私は大丈夫」
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