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3回目

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 私がライナーと3回目のデートの約束をしたことを伝えると、お父様は至極きまり悪そうな顔で、

「そうか」

 と言った。

「ええ、そうですわ」

「ならば、そうだな、その、やはり一度、ライナー君には我が屋敷に招待しなければならない」

「そんなに気にしなくても良いのに」

「いや、気にする。大いに気にする。その話を、ちゃんとライナー君とするように」

「お父様がそうおっしゃるなら。わかりましたわ」


 そして次の日、私の屋敷にライナーが迎えに来た。

「やあ」

「ごきげんよう」


 私たちは挨拶をし合う。

「君のご両親は?」

「お父様とお母様?」

「うん。せっかくだから軽く挨拶をしようと思って」

「わかったわ。少し待ってて。呼んでくる」


 私は階段を急いで上がり、両親の部屋をノックした。

「お父様、お母様、ライナーが来てるんです。挨拶がしたいって。ちょっと下へ降りてきてくれないですか?」


 だが、返事はない。

「お父様、お母様。いらっしゃらないのですか?」

 ややあって、

「いや、いる」

 というお父様の声が聞こえてきた。

「良かった。では、下に降りてきてくださらない? 私もうそろそろ家を出るのですけれど」

「いや、私は」

「熱でもあるんですか?」

「熱はないんだが」


 なんというか、歯切れの悪い返事だ。

「きょうはちょっと」

「……わかりました。では行ってきます」

「ああ」


 私は両親の部屋から離れる。


 昨日は挨拶しに来いとかなんとか行ってたのに、いざとなったらなぜ逃げるのだろうか。


 不思議だ。


「ごめんね、ライナー」

 私は彼に謝る。

「お父様、なぜだかわからないけど今日は嫌なんですって」

「そうなんだ。……それは残念」


 ライナーは含み笑いをした。

「それじゃあ、行こうかーー中央美術館だね」

「うん、そう」

「今日は僕の家の馬車を用意したから、それに乗っていこうか」
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