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反撃②
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私はさらに話を続ける、
「イヴァンとジェシーが不適切な関係というのがわかったところで、こちらをご覧ください」
私は1枚の写真を取り出して陛下に見せる。
「これは……」
陛下の表情が曇った。
「これはどこだ?」
「言葉にするのもおぞましい場所です」
「繁華街ですね」
お父様が私の代わりに説明してくれた。
「男女のカップルが、その、なんて言えば良いんでしょうか……。つまりは関係を持つために訪れるホテル街とでも言いましょうか」
「下品な」
国王陛下の表情は、さらに悪化した。
「その写真の中央をご覧ください」
私は写真を指差す。
「イヴァンとジェシーの姿があるでしょう」
この写真は、ライナーとデートへ行ったときに2人と遭遇したものだ。
怒りのあまりに気の済むまで2人のデート写真を撮りまくった。
このシーンだけで100枚はある。
「この写真から、彼らはこのような場所に2人で行くような関係であることがわかります」
イヴァンの父親は、立っているだけで精一杯の様子だ。
もう反論する気はないらしい。
ただぼそぼそと、
「聞いていない。そんな話聞いていないぞ」
という呟きだけが聞こえてくる。
「あまりにも証拠が多すぎるのでここで辞めにしますが、陛下、最後にこれをお聞きください」
私はボイスレコーダーを操作し、別れを決意するきっかけとなった彼らの会話をこの場で流した。
『なーにビビってんのよ!』
ジェシーはイヴァンの肩をバンバンと叩く。
『ビビってないよ』
イヴァンはけたけたと笑った。
『どう、この道わくわくしない?』
『この道知ってるってことは、ジェシーって実はビッチなんじゃないのか?』
『はぁ? さいってー!』
2人はキャッキャと騒いでいる。
『グレースと来なよぉ』
『馬鹿、来るわけないだろ』
イヴァンは笑った。
『グレースはお固いんだ。こんな場所に連れて行ったら、発狂するよ』
イヴァンは続ける。
『ていうかさ、俺、グレースちょっと苦手なんだよね』
『ええ、何それ。イヴァンってばグレースが可哀想だよぉ』
『固すぎるんだよ。俺だってもうちょっと遊びたいのに。どう考えても俺の方が可哀想だろ』
『ていうかさ』
ジェシーは言った。
『結局イヴァンって、グレースと仲良いわけ?』
『そう思ってるなら、ジェシーの目は腐ってるね』
『うわぁ、ひっど!』
ジェシーは声高らかに笑う。
そして――。
『じゃあさ、私たちが婚約すれば良かったのにね』
『婚約?』
『そう。だって、私たちこんなに仲良いし』
『確かに』
私は無言でテープを切り、言った。
「以上が、2人が不適切な関係にあるのではないかという証拠です」
「イヴァンとジェシーが不適切な関係というのがわかったところで、こちらをご覧ください」
私は1枚の写真を取り出して陛下に見せる。
「これは……」
陛下の表情が曇った。
「これはどこだ?」
「言葉にするのもおぞましい場所です」
「繁華街ですね」
お父様が私の代わりに説明してくれた。
「男女のカップルが、その、なんて言えば良いんでしょうか……。つまりは関係を持つために訪れるホテル街とでも言いましょうか」
「下品な」
国王陛下の表情は、さらに悪化した。
「その写真の中央をご覧ください」
私は写真を指差す。
「イヴァンとジェシーの姿があるでしょう」
この写真は、ライナーとデートへ行ったときに2人と遭遇したものだ。
怒りのあまりに気の済むまで2人のデート写真を撮りまくった。
このシーンだけで100枚はある。
「この写真から、彼らはこのような場所に2人で行くような関係であることがわかります」
イヴァンの父親は、立っているだけで精一杯の様子だ。
もう反論する気はないらしい。
ただぼそぼそと、
「聞いていない。そんな話聞いていないぞ」
という呟きだけが聞こえてくる。
「あまりにも証拠が多すぎるのでここで辞めにしますが、陛下、最後にこれをお聞きください」
私はボイスレコーダーを操作し、別れを決意するきっかけとなった彼らの会話をこの場で流した。
『なーにビビってんのよ!』
ジェシーはイヴァンの肩をバンバンと叩く。
『ビビってないよ』
イヴァンはけたけたと笑った。
『どう、この道わくわくしない?』
『この道知ってるってことは、ジェシーって実はビッチなんじゃないのか?』
『はぁ? さいってー!』
2人はキャッキャと騒いでいる。
『グレースと来なよぉ』
『馬鹿、来るわけないだろ』
イヴァンは笑った。
『グレースはお固いんだ。こんな場所に連れて行ったら、発狂するよ』
イヴァンは続ける。
『ていうかさ、俺、グレースちょっと苦手なんだよね』
『ええ、何それ。イヴァンってばグレースが可哀想だよぉ』
『固すぎるんだよ。俺だってもうちょっと遊びたいのに。どう考えても俺の方が可哀想だろ』
『ていうかさ』
ジェシーは言った。
『結局イヴァンって、グレースと仲良いわけ?』
『そう思ってるなら、ジェシーの目は腐ってるね』
『うわぁ、ひっど!』
ジェシーは声高らかに笑う。
そして――。
『じゃあさ、私たちが婚約すれば良かったのにね』
『婚約?』
『そう。だって、私たちこんなに仲良いし』
『確かに』
私は無言でテープを切り、言った。
「以上が、2人が不適切な関係にあるのではないかという証拠です」
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