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「……これは本当なのか?」
ライナーが録音してくれた音声を聞いたお父様は、顔を真っ青にさせていた。
「本当よ」
私は怒り心頭で答える。
「聞いた通りです」
私はあの後、あまりの怒りに我を忘れ、ランスから半ば強引にそのテープレコーダーを借りたあと、そのまま直ぐに家に帰った。
「グレース、デートはどうするの?」
私が背中を向けて走り出したとき、後ろからライナーが声をかけてきた。
「来週!」
「来週のいつ?」
「来週の日曜日! 詳しくはオズワルドに伝えてもらうわ!」
その場のテンションで即次の約束を取りつけてしまったが、まあ良いだろう。
別に嫌じゃなかったし。
「そ、それで……」
話を戻して、お父様はこの世の終わりみたいな顔をしていた。
当然だろう。
私たちが幼馴染であるのと同じく、両親たちも仲が良かった。
だから、必然的にお父様はイヴァンやジェシーと顔を合わせる機会があったわけで。
まさかそんなことをする人間だったとは、とショックを受けているのだ。
「お前はどうするつもりなんだ?」
「当然、お父様もおわかりでしょう」
私は答える。
「婚約破棄をお願いしたいと考えております」
「……わかった。仕方がない、イヴァンの両親にはそう伝えておく」
「ありがとうございます」
私は頭を下げ、さらに続けた。
「それで、慰謝料についてなのですが」
「ああ、わかってる」
お父様は頭を抱えた。
「それはもちろん、お前の言い値で」
「ありがとうございます」
私はもう一度お父様に頭を下げ、彼の自室から出ようとすると、
「待て」
と、引き留められた。
「はい、なんでしょうか?」
「この2人は、お前に隠れて付き合っていた、という認識でいいのだな?」
「私はそう思っています」
この2人が付き合っている、という認識でいた方が私にとって何かと有利なので、私は否定しなかった。
「で、お前はいつから気づいていた?」
「具体的な年数はわかりませんが、少なくとも」
私は記憶を思い起こす。
「確か、数年前ほどから怪しかったのを覚えています」
その辺から、急にジェシーから「仲良しマウント」を取られるようになったのだ。
「なるほどな。それで、お前は今の今までずっと我慢してきたわけだ」
「はい……」
私は目を伏せ、出来るだけ被害者アピールする。
「もちろん、私はイヴァンとジェシーのことは知っている。多少の情もある。だが、一番可愛いのはやはり自分の子どもだ。だから、お前は何も気にせずに私に任せておくんだ」
お父様は真っ直ぐな目を私に向けて、そう言った。
「だから、何も心配するな」
「ありがとうございます、お父様」
ライナーが録音してくれた音声を聞いたお父様は、顔を真っ青にさせていた。
「本当よ」
私は怒り心頭で答える。
「聞いた通りです」
私はあの後、あまりの怒りに我を忘れ、ランスから半ば強引にそのテープレコーダーを借りたあと、そのまま直ぐに家に帰った。
「グレース、デートはどうするの?」
私が背中を向けて走り出したとき、後ろからライナーが声をかけてきた。
「来週!」
「来週のいつ?」
「来週の日曜日! 詳しくはオズワルドに伝えてもらうわ!」
その場のテンションで即次の約束を取りつけてしまったが、まあ良いだろう。
別に嫌じゃなかったし。
「そ、それで……」
話を戻して、お父様はこの世の終わりみたいな顔をしていた。
当然だろう。
私たちが幼馴染であるのと同じく、両親たちも仲が良かった。
だから、必然的にお父様はイヴァンやジェシーと顔を合わせる機会があったわけで。
まさかそんなことをする人間だったとは、とショックを受けているのだ。
「お前はどうするつもりなんだ?」
「当然、お父様もおわかりでしょう」
私は答える。
「婚約破棄をお願いしたいと考えております」
「……わかった。仕方がない、イヴァンの両親にはそう伝えておく」
「ありがとうございます」
私は頭を下げ、さらに続けた。
「それで、慰謝料についてなのですが」
「ああ、わかってる」
お父様は頭を抱えた。
「それはもちろん、お前の言い値で」
「ありがとうございます」
私はもう一度お父様に頭を下げ、彼の自室から出ようとすると、
「待て」
と、引き留められた。
「はい、なんでしょうか?」
「この2人は、お前に隠れて付き合っていた、という認識でいいのだな?」
「私はそう思っています」
この2人が付き合っている、という認識でいた方が私にとって何かと有利なので、私は否定しなかった。
「で、お前はいつから気づいていた?」
「具体的な年数はわかりませんが、少なくとも」
私は記憶を思い起こす。
「確か、数年前ほどから怪しかったのを覚えています」
その辺から、急にジェシーから「仲良しマウント」を取られるようになったのだ。
「なるほどな。それで、お前は今の今までずっと我慢してきたわけだ」
「はい……」
私は目を伏せ、出来るだけ被害者アピールする。
「もちろん、私はイヴァンとジェシーのことは知っている。多少の情もある。だが、一番可愛いのはやはり自分の子どもだ。だから、お前は何も気にせずに私に任せておくんだ」
お父様は真っ直ぐな目を私に向けて、そう言った。
「だから、何も心配するな」
「ありがとうございます、お父様」
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