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お見合い
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私が選んだ相手は、伯爵家の三男だった。
大人しそうな見た目で、その見た目通りの性格。
「あ、あの。初めまして……」
彼は顔を赤らめて挨拶した。
「伯爵家の三男、ダレルです」
「こちらこそ初めまして」
私はにこやかに微笑む。
「シエラと申します。本日は、よろしくお願いします」
「よろしくお願いいたします……」
彼は、彼自身が望んで私に縁談を持ち込んだわけではないらしかった。
「あの、もちろんシエラ様が嫌だったとかそういうわけじゃないんですけど」
「はい」
「僕の両親が、勝手に縁談を申し込んでいて……。すみません、ご迷惑を」
ダレルは申し訳なさそうに頭を下げた。
「いえいえ、そんな」
私は首を振る。
「こうしてダレル様と会えて、とても嬉しいですわ」
「本当ですか? ……それは良かった」
彼は顔を真っ赤にしている。
恥ずかしいのだろうか。
それとも、照れているのだろうか。
ちょっと可愛いかもしれない。
「あっ、でも」
ダレルは言った。
「両親が勝手に送ったって言いましたけど。僕、シエラ様のことをずっと素敵だなと思っていて」
「あら」
「あの、それで……。消極的な感じでお見合いを申し込むことになってしまったんですけど。でも、僕はもともとシエラ様が、その」
彼はもう、ゆでだこみたいになっていた。
顔を真っ赤にして、頑張って自分の言葉を使おうとしている。
「あなたとお話ししたかったので、良かったです」
ちょっとじゃないな。
私は思った。
これはかなり可愛い。
1発目で、大当たりを引いたのかもしれない。
大人しそうな見た目で、その見た目通りの性格。
「あ、あの。初めまして……」
彼は顔を赤らめて挨拶した。
「伯爵家の三男、ダレルです」
「こちらこそ初めまして」
私はにこやかに微笑む。
「シエラと申します。本日は、よろしくお願いします」
「よろしくお願いいたします……」
彼は、彼自身が望んで私に縁談を持ち込んだわけではないらしかった。
「あの、もちろんシエラ様が嫌だったとかそういうわけじゃないんですけど」
「はい」
「僕の両親が、勝手に縁談を申し込んでいて……。すみません、ご迷惑を」
ダレルは申し訳なさそうに頭を下げた。
「いえいえ、そんな」
私は首を振る。
「こうしてダレル様と会えて、とても嬉しいですわ」
「本当ですか? ……それは良かった」
彼は顔を真っ赤にしている。
恥ずかしいのだろうか。
それとも、照れているのだろうか。
ちょっと可愛いかもしれない。
「あっ、でも」
ダレルは言った。
「両親が勝手に送ったって言いましたけど。僕、シエラ様のことをずっと素敵だなと思っていて」
「あら」
「あの、それで……。消極的な感じでお見合いを申し込むことになってしまったんですけど。でも、僕はもともとシエラ様が、その」
彼はもう、ゆでだこみたいになっていた。
顔を真っ赤にして、頑張って自分の言葉を使おうとしている。
「あなたとお話ししたかったので、良かったです」
ちょっとじゃないな。
私は思った。
これはかなり可愛い。
1発目で、大当たりを引いたのかもしれない。
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