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調査内容
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探偵は、本当に凄いと思う。
確かに私の執事も、きちんとハワードの浮気の証拠を集めて来てくれた。
もちろん、彼が優秀だからこその結果だったのだけれど。
今回は、探偵にとってもかなり厳しい条件だったのではないかと思っている。
私たちが頼んだとき、既にハワードの浮気についての話し合いが終わった後だった。
つまり普通に考えれば、ハワードとその浮気相手は警戒しているはずだ。
もしかすると、関係者に口止め料なんかも払っているかもしれない。
それに、過去の出来事をどうやって証拠として集められるのかという懸念点もあった。
――が。
彼らはものの2週間で、その業務を終えたのだ。
辞書のような太さにまとめられたファイルを見ると、彼らの優秀ぶりが目に浮かぶようだ。
2人の行動スケジュールや様子、会話などを目撃者たちから聞き出したり、監視カメラに写っていた映像があったりなど、これ以上ないほどハワードの不貞が赤裸々に示されていた。
中でも衝撃だったのは、あの話し合いの件でハワードが嘘をついていたということだ。
2人は3年前から、週2日会っていたという話だったが。
調査内容によると、平日の昼間は毎日顔を合わせていたそう。
酒場の常連客によると、
「2人はまるで本物の夫婦のような振る舞いをしていた」
らしい。
平日の昼間ということは、仕事中にも会っていたということだ。
かなり悪質でショックを受けたが、これなら職場に責任を追及することも出来そうだ。
さらに問題なのは、会話内容。
2人は常日頃手紙でのやりとりや、酒場の裏での情事を行っていたらしく、監視カメラにもその一部始終がばっちりと映っていた。
その中で、信じられないくらい酷いものがいくつか。
「……妊娠したの」
「えっ……! そう。でも俺――」
「大丈夫。堕ろしてくるから。……それより」
「ああ、わかってる。妻の座のことだろう」
「よろしくね」
「ああ」
という会話。
「ほら、これ。いつもの」
「ありがとう――ほら、うちの旦那って薄給だからさ」
「気にするな。どうせ、妻の実家から送られてきたものだし」
など。
妊娠や堕胎、金銭のやり取り。
さらにダブル不倫で会ったことも判明した。
加えて、
「さっさと奥さん追放してよ」
「わかってるって……。ああ、邪魔だなあ」
「身分の低い平民なんでしょ? それに私に妻の座をくれるって」
「ああ、もちろんだ」
「いっそのこと、殺しちゃえば? 貴族なんだから、平民1人くらい殺したって問題ないでしょ?」
確かに私の執事も、きちんとハワードの浮気の証拠を集めて来てくれた。
もちろん、彼が優秀だからこその結果だったのだけれど。
今回は、探偵にとってもかなり厳しい条件だったのではないかと思っている。
私たちが頼んだとき、既にハワードの浮気についての話し合いが終わった後だった。
つまり普通に考えれば、ハワードとその浮気相手は警戒しているはずだ。
もしかすると、関係者に口止め料なんかも払っているかもしれない。
それに、過去の出来事をどうやって証拠として集められるのかという懸念点もあった。
――が。
彼らはものの2週間で、その業務を終えたのだ。
辞書のような太さにまとめられたファイルを見ると、彼らの優秀ぶりが目に浮かぶようだ。
2人の行動スケジュールや様子、会話などを目撃者たちから聞き出したり、監視カメラに写っていた映像があったりなど、これ以上ないほどハワードの不貞が赤裸々に示されていた。
中でも衝撃だったのは、あの話し合いの件でハワードが嘘をついていたということだ。
2人は3年前から、週2日会っていたという話だったが。
調査内容によると、平日の昼間は毎日顔を合わせていたそう。
酒場の常連客によると、
「2人はまるで本物の夫婦のような振る舞いをしていた」
らしい。
平日の昼間ということは、仕事中にも会っていたということだ。
かなり悪質でショックを受けたが、これなら職場に責任を追及することも出来そうだ。
さらに問題なのは、会話内容。
2人は常日頃手紙でのやりとりや、酒場の裏での情事を行っていたらしく、監視カメラにもその一部始終がばっちりと映っていた。
その中で、信じられないくらい酷いものがいくつか。
「……妊娠したの」
「えっ……! そう。でも俺――」
「大丈夫。堕ろしてくるから。……それより」
「ああ、わかってる。妻の座のことだろう」
「よろしくね」
「ああ」
という会話。
「ほら、これ。いつもの」
「ありがとう――ほら、うちの旦那って薄給だからさ」
「気にするな。どうせ、妻の実家から送られてきたものだし」
など。
妊娠や堕胎、金銭のやり取り。
さらにダブル不倫で会ったことも判明した。
加えて、
「さっさと奥さん追放してよ」
「わかってるって……。ああ、邪魔だなあ」
「身分の低い平民なんでしょ? それに私に妻の座をくれるって」
「ああ、もちろんだ」
「いっそのこと、殺しちゃえば? 貴族なんだから、平民1人くらい殺したって問題ないでしょ?」
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