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プロローグ
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私――第一王女リリアンヌは、転生者だ。
頭がおかしくなったのでも、気が狂ったのでもなく。
本当に私には、前世がある。
前世の私は、至って普通の女性だった。
平均平凡を地で行くタイプで、そこそこ勉強してそれなりの大学に入り、苦労して就職し、そこの企業でのんびり働いていた。
彼氏イコール年齢で友達も少ない私の趣味は、ゲーム。
その中でも特に、「乙女ゲーム」と呼ばれるジャンルが好きだった。
ファンタジックで煌びやかな世界。
たくさんのイケメンたちと恋愛が出来るシミュレーションゲーム。
恋愛要素だけじゃなく、意外とストーリーも良いこのジャンルに私はドハマりしていた。
そんなある日、遅刻して慌てていた私は大型トラックに轢かれ、命を落とす。
幸か不幸か、即死だったらしい。
痛みはそんなに覚えていない。
ただ気づけば、私はこの煌びやかな世界で生まれ変わっていた。
生前よく好んでいた乙女ゲームのキャラクター、リリアンヌ王女に。
――ショックだった。
正直、王女という立場は憧れていた。
お金持ちのみんなに愛されている美少女に転生だなんて、心底嬉しい。
だけど、どうせだったらネット小説みたいに主人公や悪役令嬢に転生したかった。
イケメンたちのハーレムを作ってみたかった。
しかし、現実は非情だ。
私は王女に転生し、きっとどこかのわけわからんモブと結婚させられる人生を送るのだろう。
でもまあ、転生してしばらく経った今、この生活は意外と気に入っていた。
前世では見ることさえ出来なかった美しいアクセサリーは山ほど持っているし、この可愛い顔のおかげでファッションに困ることはない。
両親も良い人たちだし、何より兄がイケメン。
第一王子はゲームの攻略対象で、かつゲーム内で一番人気のキャラクターだった。
そんな相手と恋愛出来ないのは残念だけど、それでも国宝級イケメンは妹にも優しかった。
私は両親や兄に可愛がられ、それはそれは幸せな日々を送っていた。
――が。
突然、その生活に暗雲が立ち込めてしまう。
そう。
あの女が兄の前に現れたのだ。
乙女ゲームの主人公が。
頭がおかしくなったのでも、気が狂ったのでもなく。
本当に私には、前世がある。
前世の私は、至って普通の女性だった。
平均平凡を地で行くタイプで、そこそこ勉強してそれなりの大学に入り、苦労して就職し、そこの企業でのんびり働いていた。
彼氏イコール年齢で友達も少ない私の趣味は、ゲーム。
その中でも特に、「乙女ゲーム」と呼ばれるジャンルが好きだった。
ファンタジックで煌びやかな世界。
たくさんのイケメンたちと恋愛が出来るシミュレーションゲーム。
恋愛要素だけじゃなく、意外とストーリーも良いこのジャンルに私はドハマりしていた。
そんなある日、遅刻して慌てていた私は大型トラックに轢かれ、命を落とす。
幸か不幸か、即死だったらしい。
痛みはそんなに覚えていない。
ただ気づけば、私はこの煌びやかな世界で生まれ変わっていた。
生前よく好んでいた乙女ゲームのキャラクター、リリアンヌ王女に。
――ショックだった。
正直、王女という立場は憧れていた。
お金持ちのみんなに愛されている美少女に転生だなんて、心底嬉しい。
だけど、どうせだったらネット小説みたいに主人公や悪役令嬢に転生したかった。
イケメンたちのハーレムを作ってみたかった。
しかし、現実は非情だ。
私は王女に転生し、きっとどこかのわけわからんモブと結婚させられる人生を送るのだろう。
でもまあ、転生してしばらく経った今、この生活は意外と気に入っていた。
前世では見ることさえ出来なかった美しいアクセサリーは山ほど持っているし、この可愛い顔のおかげでファッションに困ることはない。
両親も良い人たちだし、何より兄がイケメン。
第一王子はゲームの攻略対象で、かつゲーム内で一番人気のキャラクターだった。
そんな相手と恋愛出来ないのは残念だけど、それでも国宝級イケメンは妹にも優しかった。
私は両親や兄に可愛がられ、それはそれは幸せな日々を送っていた。
――が。
突然、その生活に暗雲が立ち込めてしまう。
そう。
あの女が兄の前に現れたのだ。
乙女ゲームの主人公が。
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