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第3章
絶句
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砂埃が落ち着くと、廃屋の全貌が見えてくる。
天井と壁が綺麗に取り払われた形だ。
古い床と辛うじて残っている古い家具。
その中心に、唖然とこちらを見つめる男女数人がいた。
この世界のことはいまいちまだ良くわかっていないけど、ぱっと見山賊みたいな見た目をしていた。
「ちょっと失礼」
私は彼らに一応声をかけ、床に土足で侵入する。
想像通り狭い部屋の中に、どうやらパーシーはいないらしい。
あれ?
なんでだろう。
2号は確かにここへ案内してくれたんだけど。
「いないじゃねぇか」
後からついてきたゼロが言う。
「そいつ、不良品じゃねぇの? 捨てられてたし」
「辞めてよ、ゼロ」
私は抗議した。
「この子は私が修理したのよ。ちゃんと犬として優秀なの」
「はいはいそうですか」
「な、な、な、な」
「あ、あんたら」
ここにいた連中が、次々に私たちに向かって指を差す。
「何しやがんだ!」
「何しやがるって……。不法に家占拠してるあなたたちに言われたくないんですけど」
私はため息をついた。
「ちょっとどいてくれない? 今人探し中なの」
「人探しって……! あっ」
「馬鹿!」
口を押える男に向かって、女は頭を叩いた。
「やっぱりいるのね……。2号! パーシーを探してちょうだい」
「ワンワンッ」
2号は廃屋に飛び込み、真っすぐにとある床を目指した。
2号がぐるぐる回って指し示すそこは一見ただの床だが、よく見ると不自然な正方形の線が見える。
「ここか」
床下とは、用心深いことだ。
私はゼロと協力して床下の扉を開け、飛び降りた。
天井と壁が綺麗に取り払われた形だ。
古い床と辛うじて残っている古い家具。
その中心に、唖然とこちらを見つめる男女数人がいた。
この世界のことはいまいちまだ良くわかっていないけど、ぱっと見山賊みたいな見た目をしていた。
「ちょっと失礼」
私は彼らに一応声をかけ、床に土足で侵入する。
想像通り狭い部屋の中に、どうやらパーシーはいないらしい。
あれ?
なんでだろう。
2号は確かにここへ案内してくれたんだけど。
「いないじゃねぇか」
後からついてきたゼロが言う。
「そいつ、不良品じゃねぇの? 捨てられてたし」
「辞めてよ、ゼロ」
私は抗議した。
「この子は私が修理したのよ。ちゃんと犬として優秀なの」
「はいはいそうですか」
「な、な、な、な」
「あ、あんたら」
ここにいた連中が、次々に私たちに向かって指を差す。
「何しやがんだ!」
「何しやがるって……。不法に家占拠してるあなたたちに言われたくないんですけど」
私はため息をついた。
「ちょっとどいてくれない? 今人探し中なの」
「人探しって……! あっ」
「馬鹿!」
口を押える男に向かって、女は頭を叩いた。
「やっぱりいるのね……。2号! パーシーを探してちょうだい」
「ワンワンッ」
2号は廃屋に飛び込み、真っすぐにとある床を目指した。
2号がぐるぐる回って指し示すそこは一見ただの床だが、よく見ると不自然な正方形の線が見える。
「ここか」
床下とは、用心深いことだ。
私はゼロと協力して床下の扉を開け、飛び降りた。
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