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第3章
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私は全力でダッシュし、ゼロを探す。
町は広く、どこへ行っても彼は見つからないーーなんてことはなかった。
ゼロは、はっきり言ってめちゃくちゃ目立つ。
背が高くてイケメンで、黒い服を着ている男は彼ぐらいしかいない。
私は道行く人に彼の居場所を尋ね、大体3人目くらいで、彼が今裏通りを歩いていることを知った。
私は走って、彼の元へ向かう。
「ゼ、ゼロ! ゼロ!」
「うわっ、えっ、なんだ……?」
私の必死の形相に驚き、ゼロはドン引きしていた。
「なんだ? どうしたんだ?」
私は全速力で走ったせいで、しばらくまともに息が出来なかった。
ぜぇぜぇとしばらく喘ぎ、心臓を早く落ち着かせるために大きく息を吸って吐いた。
久しぶりだ。
こんなに走ったの。
10代という若々しい身体を手に入れたけど、明日確実に筋肉痛になってそうだ。
「どうしたんだ?」
「それがね……」
私は説明した
「実は、貴族時代から私を殺そうとしてた人に会っちゃって」
「は?」
「お店でね。そこ、魔法具の店だったんだけど。そこで会っちゃって。本人気づいてんのか気づいてないのかわかんなかったんだけど」
「は??」
「で、怖くなってここまで逃げてきちゃった。どうしよう。ここにずっといるの、ヤバいかも……」
「はあ???」
ゼロは唖然とする。
「お、お前」
「狙われ過ぎじゃないのかって?」
「ああ……」
ゼロは頷く。
「お前、なんかやったのか?」
「やってないわよ。追放されるきっかけになったやつは全部濡れ衣だし、本当に何もしてない」
ただ、元公爵令嬢っていう肩書きはあるんだけど。
「いや、もう」
私は頭を抱えた。
「本当に怖かったっ。マジで。死ぬかと思った」
「そうか」
「めちゃくちゃ怖かったのよ! だって相手は、私の家に忍び込んだりなんなりしてたし。もうアサシンよ、アサシン」
「で、その相手ってのが後ろの奴か?」
「えっ……」
私は硬直する。
「……う、後ろ?」
「ああ」
ゼロは私の背中側を指差す。
私はまるで油の差していないロボットのように、ゆっくりと振り返った。
ーーそこには。
「……」
無表情のシルヴェスターが佇んでいた。
町は広く、どこへ行っても彼は見つからないーーなんてことはなかった。
ゼロは、はっきり言ってめちゃくちゃ目立つ。
背が高くてイケメンで、黒い服を着ている男は彼ぐらいしかいない。
私は道行く人に彼の居場所を尋ね、大体3人目くらいで、彼が今裏通りを歩いていることを知った。
私は走って、彼の元へ向かう。
「ゼ、ゼロ! ゼロ!」
「うわっ、えっ、なんだ……?」
私の必死の形相に驚き、ゼロはドン引きしていた。
「なんだ? どうしたんだ?」
私は全速力で走ったせいで、しばらくまともに息が出来なかった。
ぜぇぜぇとしばらく喘ぎ、心臓を早く落ち着かせるために大きく息を吸って吐いた。
久しぶりだ。
こんなに走ったの。
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「どうしたんだ?」
「それがね……」
私は説明した
「実は、貴族時代から私を殺そうとしてた人に会っちゃって」
「は?」
「お店でね。そこ、魔法具の店だったんだけど。そこで会っちゃって。本人気づいてんのか気づいてないのかわかんなかったんだけど」
「は??」
「で、怖くなってここまで逃げてきちゃった。どうしよう。ここにずっといるの、ヤバいかも……」
「はあ???」
ゼロは唖然とする。
「お、お前」
「狙われ過ぎじゃないのかって?」
「ああ……」
ゼロは頷く。
「お前、なんかやったのか?」
「やってないわよ。追放されるきっかけになったやつは全部濡れ衣だし、本当に何もしてない」
ただ、元公爵令嬢っていう肩書きはあるんだけど。
「いや、もう」
私は頭を抱えた。
「本当に怖かったっ。マジで。死ぬかと思った」
「そうか」
「めちゃくちゃ怖かったのよ! だって相手は、私の家に忍び込んだりなんなりしてたし。もうアサシンよ、アサシン」
「で、その相手ってのが後ろの奴か?」
「えっ……」
私は硬直する。
「……う、後ろ?」
「ああ」
ゼロは私の背中側を指差す。
私はまるで油の差していないロボットのように、ゆっくりと振り返った。
ーーそこには。
「……」
無表情のシルヴェスターが佇んでいた。
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