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第3章

ようやく

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 ようやく私たちはこの王都を出ることになった。


 素早く準備をして、店長にお礼を言い、私たちは酒場を出る。


 私たちと同様泊まったのか、この近所に住んでいるのか、それにしても朝からガバガバとお酒を飲んでいる連中がいるのは驚きだ。

「じゃあ、またね」


 今日もシフトが入っているらしい、美人のお姉さんは私たちに手を振る。

「しばらく戻ってこないんでしょ?」

「ああ」

「それは残念――また戻ってきたら、ぜひ会いに来てね」




 幸いにも、近くに近衛兵はいなかった。

 前にも述べたように、近衛兵は下位貴族の子息が務めている。


 腐っても貴族、あくまでも貴族なので、他の貴族と同様、甘ったれた連中だ。


 現在彼らが王都にいないということは、朝行動するのが苦手ということなのだろう。


 王族の手前、彼らの視界の範囲にいる間はきちんと行動するが、どうやらかなりサボり癖があるらしい。


 国としては厄介だが、私にとっては非常に有難い。


 昨日とは違い、私たちは堂々と王都を歩いてここから脱出することが出来た。


「で、どこへ行くの?」

 私はゼロに尋ねる。

「ひとまず、ここから数km離れた町へ行こう」

「数km?」


 そんなに王都に近くて大丈夫なのだろうかと、少し心配になる。

 近衛兵が気づいて追いかけてくるのも、時間の問題の気がする。


「すぐに出れば問題ない。寝泊まりするだけだ。女のいるパーティで、さすがに野宿は出来ないだろ」

「今から行く町は拠点ではなく、通り道にするってことですね」

 と、パーシーがゼロの説明の補足をした。

「変な連中のいない安全な町の情報を収集するためにも、まずはその町へ行くぞ。路銀も稼ぐ必要があるしな」

「そう、わかったわ」


 私は頷いた。

「じゃあ、早速次の町に行きましょう」


 なんだか、RPGをやっているみたいな気分になる。

 ここの世界は乙女ゲームなのに。

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