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第3章
料理
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イメージ的には、この酒場はチェーン店のファミリーレストランみたいな感じだと思う。
ご飯もたくさん食べることが出来て、お酒もそこそこ飲める。
酒場と聞いて居酒屋みたいなものを想像していたけど、どうやら違うみたいだ。
居酒屋はお酒とおつまみしか置いていない飲食店だと思っている。
まあ、私の場合未成年って言うのもあって、今まで一度も居酒屋に行ったことないからわかんないんだけど。
そう言えばあのゲーム、確かCERO Cだったはず。
CERO C が15歳以上ということは、思春期の子どもがするゲーム。
その規制が、この世界に何らかの影響を与えているのかもしれない。
しかしファミレスとは違い、料理が出てくるのがそれなりに遅かった。
ちゃんと最初から作っているのかもしれない。
私の目の前に、ナポリタンとコーラが並んだ。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
さっきのお姉さんが配膳してくれたナポリタンを、フォークで食べる。
うん。
普通に美味しい。
そう言えば何も考えてなかったけど、ナポリタンとコーラって合うんだろうか。
まあ、良いや。
「あんた、食べ方あんまり綺麗じゃねぇよな。貴族のくせに」
ほら飛び散ってると、ゼロはテーブルの赤い染みを指さす。
「貴族でも色々でしょ」
「そうかもしれんが。あんた仮にも王子の婚約者だっただろ? そんな食べ方でよく今まで生きてこれたな」
「こんな食べ方だから、もしかすると追放されたのかもしれないわね」
私は口元をナプキンで拭う。
「不思議だったんですが」
パーシーは口を開いた。
「どうしてヴァイオレットさんは、貴族を辞めたんですか?」
「あら」
私は目を丸くする。
「知らないの?」
「結構有名な話だぜ」
と、ゼロ。
「この辺じゃもう全員が知ってる」
「へぇ。僕は田舎なんで、まだその話は来ていないですけど。差し支えなければ、聞いても大丈夫ですか?」
「もちろん」
私は飲んでいたコーラをコースターの上に置いた。
「婚約者の殿下が浮気した挙句、私がその人を虐めたと濡れ衣を着せたの。それを信じた人たちが私を糾弾して、そのまま貴族籍を剥奪されて追放。で、今に至るわけ」
「……お、おぉう」
パーシーは戸惑いの声をあげる。
「そんな冷静に言える内容じゃないでしょ」
「だってもう興味ないんだもの」
私は口いっぱいにナポリタンを頬張った。
「興味ないって」
「こいつはそういう女だ。他人にほとんど興味がない。せいぜい覚えておくんだな」
ゼロはパーシーに言った。
ご飯もたくさん食べることが出来て、お酒もそこそこ飲める。
酒場と聞いて居酒屋みたいなものを想像していたけど、どうやら違うみたいだ。
居酒屋はお酒とおつまみしか置いていない飲食店だと思っている。
まあ、私の場合未成年って言うのもあって、今まで一度も居酒屋に行ったことないからわかんないんだけど。
そう言えばあのゲーム、確かCERO Cだったはず。
CERO C が15歳以上ということは、思春期の子どもがするゲーム。
その規制が、この世界に何らかの影響を与えているのかもしれない。
しかしファミレスとは違い、料理が出てくるのがそれなりに遅かった。
ちゃんと最初から作っているのかもしれない。
私の目の前に、ナポリタンとコーラが並んだ。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
さっきのお姉さんが配膳してくれたナポリタンを、フォークで食べる。
うん。
普通に美味しい。
そう言えば何も考えてなかったけど、ナポリタンとコーラって合うんだろうか。
まあ、良いや。
「あんた、食べ方あんまり綺麗じゃねぇよな。貴族のくせに」
ほら飛び散ってると、ゼロはテーブルの赤い染みを指さす。
「貴族でも色々でしょ」
「そうかもしれんが。あんた仮にも王子の婚約者だっただろ? そんな食べ方でよく今まで生きてこれたな」
「こんな食べ方だから、もしかすると追放されたのかもしれないわね」
私は口元をナプキンで拭う。
「不思議だったんですが」
パーシーは口を開いた。
「どうしてヴァイオレットさんは、貴族を辞めたんですか?」
「あら」
私は目を丸くする。
「知らないの?」
「結構有名な話だぜ」
と、ゼロ。
「この辺じゃもう全員が知ってる」
「へぇ。僕は田舎なんで、まだその話は来ていないですけど。差し支えなければ、聞いても大丈夫ですか?」
「もちろん」
私は飲んでいたコーラをコースターの上に置いた。
「婚約者の殿下が浮気した挙句、私がその人を虐めたと濡れ衣を着せたの。それを信じた人たちが私を糾弾して、そのまま貴族籍を剥奪されて追放。で、今に至るわけ」
「……お、おぉう」
パーシーは戸惑いの声をあげる。
「そんな冷静に言える内容じゃないでしょ」
「だってもう興味ないんだもの」
私は口いっぱいにナポリタンを頬張った。
「興味ないって」
「こいつはそういう女だ。他人にほとんど興味がない。せいぜい覚えておくんだな」
ゼロはパーシーに言った。
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