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第2章
本体
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ドラゴンの姿が見えなくなって、俺はようやく安堵する。
勝ったのか。
俺はようやく、龍に勝てたのか。
安堵も束の間、俺の身体は再び急降下した。
「うわあっ」
俺はそのまま地面に激突し、腰を強かに打った。
「痛ってえ!」
「ああ!」
エスタが悲鳴を上げた。
「どうしよう、龍の心臓が!」
「あっ」
俺たちの目的であった龍の心臓は、龍の本体と共にマグマの中にボトンと沈んだ。
「クソッ」
師匠は吐き捨てた。
「人間が取りに行ける場所じゃねぇ」
「あれじゃ、魔法でも無理でしょうね」
と、俺は返事をする。
「いや、やってみます」
エスタは崖の付近にまで足を運び、杖を取り出した。
「はぁぁぁぁぁああああ!」
杖を下から上へ、思いっきり振る。
すると、燃え盛るドラゴンの身体が、頭上に浮かび上がった。
「うおっ」
「避けてください!」
俺たちは全速力で走り、ドラゴンから離れた。
火だるまになった肉塊は、冷たい岩の上に着地する。
「えい!」
エスタはもう一度杖を振り、巨大な水球を作り出した。
その水球をドラゴンに向かって、投げつける。
バシャッ。
ジュー。
水によって、炎が消える。
焼けた肉の強烈な臭いで、俺は酷く咳き込んだ。
「ゲホッ、ゲホッ」
師匠は顔をゆがませている。
「……なんつう臭さだ。鼻がもげるぜ」
だが、エスタは異臭を気に留める様子はなく、高温の水蒸気で真っ白になった世界に飛び込んでいった。
「ちょっと、エスタさん!」
いくら亜人だといっても、火傷するくらいに熱いはずの湯気の中に入っていって、無事でいられるはずがない。
「カイはそこにいろ!」
俺が行動するよりも先に、エスタの後を師匠が追った。
しばらくして汗だくになった師匠が、エスタを抱きかかえたまま現れた。
「こいつ、馬鹿だ」
師匠は苦々しげに言う。
「クソ熱いドラゴンの身体を、素手で触りやがったんだ。熱さのあまり気絶してやがる」
俺は師匠の元に駆け寄った。
「エスタさん、大丈夫ですか……?」
エスタの表情は苦悶に満ちている。
彼女の両腕は、真っ赤に爛れていた。
皮が捲れて、痛々しい。
よく見ると、彼女は1本の骨を持っている。
真っ白いそれは、胃液でテカテカと光っていた。
「もしかして、それを取るために?」
「だろうな。無茶しやがって、この女」
師匠はため息をついた。
とりあえず、エスタの怪我を治さなければならない。
俺は地面に置いていたリュックを拾った。
勝ったのか。
俺はようやく、龍に勝てたのか。
安堵も束の間、俺の身体は再び急降下した。
「うわあっ」
俺はそのまま地面に激突し、腰を強かに打った。
「痛ってえ!」
「ああ!」
エスタが悲鳴を上げた。
「どうしよう、龍の心臓が!」
「あっ」
俺たちの目的であった龍の心臓は、龍の本体と共にマグマの中にボトンと沈んだ。
「クソッ」
師匠は吐き捨てた。
「人間が取りに行ける場所じゃねぇ」
「あれじゃ、魔法でも無理でしょうね」
と、俺は返事をする。
「いや、やってみます」
エスタは崖の付近にまで足を運び、杖を取り出した。
「はぁぁぁぁぁああああ!」
杖を下から上へ、思いっきり振る。
すると、燃え盛るドラゴンの身体が、頭上に浮かび上がった。
「うおっ」
「避けてください!」
俺たちは全速力で走り、ドラゴンから離れた。
火だるまになった肉塊は、冷たい岩の上に着地する。
「えい!」
エスタはもう一度杖を振り、巨大な水球を作り出した。
その水球をドラゴンに向かって、投げつける。
バシャッ。
ジュー。
水によって、炎が消える。
焼けた肉の強烈な臭いで、俺は酷く咳き込んだ。
「ゲホッ、ゲホッ」
師匠は顔をゆがませている。
「……なんつう臭さだ。鼻がもげるぜ」
だが、エスタは異臭を気に留める様子はなく、高温の水蒸気で真っ白になった世界に飛び込んでいった。
「ちょっと、エスタさん!」
いくら亜人だといっても、火傷するくらいに熱いはずの湯気の中に入っていって、無事でいられるはずがない。
「カイはそこにいろ!」
俺が行動するよりも先に、エスタの後を師匠が追った。
しばらくして汗だくになった師匠が、エスタを抱きかかえたまま現れた。
「こいつ、馬鹿だ」
師匠は苦々しげに言う。
「クソ熱いドラゴンの身体を、素手で触りやがったんだ。熱さのあまり気絶してやがる」
俺は師匠の元に駆け寄った。
「エスタさん、大丈夫ですか……?」
エスタの表情は苦悶に満ちている。
彼女の両腕は、真っ赤に爛れていた。
皮が捲れて、痛々しい。
よく見ると、彼女は1本の骨を持っている。
真っ白いそれは、胃液でテカテカと光っていた。
「もしかして、それを取るために?」
「だろうな。無茶しやがって、この女」
師匠はため息をついた。
とりあえず、エスタの怪我を治さなければならない。
俺は地面に置いていたリュックを拾った。
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