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第2章
戦闘
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俺はぱっと駆け出した。
地面を蹴り、思いっきり剣をドラゴンに向かって振り下ろした。
が、俺の剣は龍の固い鱗に当たり、火花を散らす。
俺は弾き飛ばされた。
「うわあ!」
「何やっているんですか!?」
俺は宙を舞い、そのまま地面に叩きつけられると思いきや、その最中に身体がふわりと浮いた。
「むやみに攻撃しても、ドラゴンの装甲に人間の生み出した武器が勝てるはずありません!」
斜め下を見ると、エスタが俺に向かって杖の先を向けている。
風魔法で俺の身体を浮かせているのだろう。
「すみません、ありがとうございます」
「ドラゴンの鱗は固い。鱗の間を縫って攻撃しろ」
師匠が言った。
「はい!」
まるで子どものころに戻ったみたいだ。
師匠の目の前で、魔物退治をする。
……まあ、相手は人喰い龍だが。
さて、どうしようか。
師匠は鱗の間を狙えと言うけれど、まずその至近距離まで近づいたら、俺の何十倍もある龍にまた吹っ飛ばされるだろう。
そんなことを繰り返しても、勝算は見えない。
俺と師匠の体力も、エスタの魔力も削られていく一方だ。
俺のスキルかなんかでどうにか出来ないだろうか。
でも俺、Sランクっつっても家事スキル高いだけだからなあ。
「カイ! ぼおっとすんな!」
師匠にどやされる。
「ちょっと待ってください! 考え中なんですよ」
「考えてる暇あったら、行動しろ、馬鹿!」
『クックックックッ……』
ドラゴンは意地悪く笑う。
『人間ごときが、我に対して歯向かうとは。エスタ、お前は愚かだ。大人しく我の餌の運び屋を務めておけばよかったものを』
「まだ早いですよ。勝った気になるのは」
彼女は反論した。
『クックックックッ』
ドラゴンは大口を開けて笑った。
身体を大きく回転させる。
龍の尻尾が鞭のようにしなり、俺たちのいる地面に直撃する。
「うわっ」
俺たちは飛び退いた。
足元に衝撃が走る。
ドガッ。
轟音とともに、細かな石の欠片が飛び散る。
龍の尻尾が離れる。
その跡地に、大きな穴が開いているのがわかった。
下から、オレンジ色のマグマがちらりと見え、俺はゾッとした。
「このままだと、この足場も駄目になりそうですね」
と、エスタ。
「早いところ、ケリをつけましょう」
『所詮亜人であるお前には無理だ、エスタ』
ケラケラと龍は笑った。
『我からすれば、お前らなど、ちっぽけな虫けらでしかない。さっさと矛先を収めて諦めろ。そして、我の餌となるのだ』
なるほど。
この龍は、とりあえず俺たちを食いたいらしい。
となると、少なくとも俺たちをぐちゃぐちゃに潰したりなんてことはしないはずだ。
木っ端微塵にして、食えない状態にすることはないはず。
『ほれ』
龍はもう一度、尻尾を振り下ろす。
俺たちはそれをまた避けた。
また地面に大穴が開くが、俺は気にせずにそっちに向かって走った。
「カイ、何してんだ!」
師匠は怒鳴るが、俺は気にせずに、尻尾の上に飛び乗る。
その上を走って、ドラゴンの背中に回った。
鱗に手をかけて、龍の頭に登りつめた。
『何をする気だ?』
目だ。
唯一鱗で覆われていないところ。
目を狙えば、俺たちに勝算はある。
俺は飛んで、剣先をドラゴンの左目に突き刺した。
ブシュッ。
緑色の体液が吹き出し、俺の全身に降りかかる。
龍は痛みに耐えかねて雄たけびを上げ、身体をくねらせた。
「うわあ!」
「カイさん!」
エスタの悲鳴が聞こえる。
俺は左目に突き立てた剣から手を放してしまった。
ドラゴンの動きに振り回され、俺はまた宙に舞う。
エスタの魔法は間に合わない。
俺の小さな身体は、そのまままっすぐに落下する。
――その先は、ドラゴンの口の中だった。
地面を蹴り、思いっきり剣をドラゴンに向かって振り下ろした。
が、俺の剣は龍の固い鱗に当たり、火花を散らす。
俺は弾き飛ばされた。
「うわあ!」
「何やっているんですか!?」
俺は宙を舞い、そのまま地面に叩きつけられると思いきや、その最中に身体がふわりと浮いた。
「むやみに攻撃しても、ドラゴンの装甲に人間の生み出した武器が勝てるはずありません!」
斜め下を見ると、エスタが俺に向かって杖の先を向けている。
風魔法で俺の身体を浮かせているのだろう。
「すみません、ありがとうございます」
「ドラゴンの鱗は固い。鱗の間を縫って攻撃しろ」
師匠が言った。
「はい!」
まるで子どものころに戻ったみたいだ。
師匠の目の前で、魔物退治をする。
……まあ、相手は人喰い龍だが。
さて、どうしようか。
師匠は鱗の間を狙えと言うけれど、まずその至近距離まで近づいたら、俺の何十倍もある龍にまた吹っ飛ばされるだろう。
そんなことを繰り返しても、勝算は見えない。
俺と師匠の体力も、エスタの魔力も削られていく一方だ。
俺のスキルかなんかでどうにか出来ないだろうか。
でも俺、Sランクっつっても家事スキル高いだけだからなあ。
「カイ! ぼおっとすんな!」
師匠にどやされる。
「ちょっと待ってください! 考え中なんですよ」
「考えてる暇あったら、行動しろ、馬鹿!」
『クックックックッ……』
ドラゴンは意地悪く笑う。
『人間ごときが、我に対して歯向かうとは。エスタ、お前は愚かだ。大人しく我の餌の運び屋を務めておけばよかったものを』
「まだ早いですよ。勝った気になるのは」
彼女は反論した。
『クックックックッ』
ドラゴンは大口を開けて笑った。
身体を大きく回転させる。
龍の尻尾が鞭のようにしなり、俺たちのいる地面に直撃する。
「うわっ」
俺たちは飛び退いた。
足元に衝撃が走る。
ドガッ。
轟音とともに、細かな石の欠片が飛び散る。
龍の尻尾が離れる。
その跡地に、大きな穴が開いているのがわかった。
下から、オレンジ色のマグマがちらりと見え、俺はゾッとした。
「このままだと、この足場も駄目になりそうですね」
と、エスタ。
「早いところ、ケリをつけましょう」
『所詮亜人であるお前には無理だ、エスタ』
ケラケラと龍は笑った。
『我からすれば、お前らなど、ちっぽけな虫けらでしかない。さっさと矛先を収めて諦めろ。そして、我の餌となるのだ』
なるほど。
この龍は、とりあえず俺たちを食いたいらしい。
となると、少なくとも俺たちをぐちゃぐちゃに潰したりなんてことはしないはずだ。
木っ端微塵にして、食えない状態にすることはないはず。
『ほれ』
龍はもう一度、尻尾を振り下ろす。
俺たちはそれをまた避けた。
また地面に大穴が開くが、俺は気にせずにそっちに向かって走った。
「カイ、何してんだ!」
師匠は怒鳴るが、俺は気にせずに、尻尾の上に飛び乗る。
その上を走って、ドラゴンの背中に回った。
鱗に手をかけて、龍の頭に登りつめた。
『何をする気だ?』
目だ。
唯一鱗で覆われていないところ。
目を狙えば、俺たちに勝算はある。
俺は飛んで、剣先をドラゴンの左目に突き刺した。
ブシュッ。
緑色の体液が吹き出し、俺の全身に降りかかる。
龍は痛みに耐えかねて雄たけびを上げ、身体をくねらせた。
「うわあ!」
「カイさん!」
エスタの悲鳴が聞こえる。
俺は左目に突き立てた剣から手を放してしまった。
ドラゴンの動きに振り回され、俺はまた宙に舞う。
エスタの魔法は間に合わない。
俺の小さな身体は、そのまままっすぐに落下する。
――その先は、ドラゴンの口の中だった。
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