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来客

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 私が休学を決めてからしばらくして、2人の客が公爵家の屋敷を訪れた。


 元婚約者のユーリと男爵令嬢ヒメナが、牢屋を抜け出して私を殺しに――なんてことはもちろんなく。


 友人のマーサとパトリックが、私を心配して遊びに来てくれたのだ。


「久しぶりね、2人とも」

 私は明るい声を出して2人を迎え入れた。

「元気にしてた?」


「ええ」

 と、マーサ。

「私は元気よ」

「僕はそこそこかな。君は? ウェンディ」

「私はまあまあね」


 私はソファから立ち上がった。


「何か飲む? 紅茶なら、私得意だけど」

「ありがとう」

「飲ませていただくよ」


 私たちは久しぶりの再会で、会話に花を咲かせた。


 主に2人が話題を提供してくれる。


 授業の内容や、クラスメイトたちの話。

 学園で起こった事件や周囲の話題など、どんな些細なこともたくさん聞かせてくれた。


「あそこの店あるじゃない。前にクレープ食べに行ったところ」

 マーサは言う。

「ええ」

「新作出たらしいの。また食べに行かない?」

「僕もついていっていいかな?」

「もちろんよ。3人で行きましょう」

「そうね」


 私は微笑む

「あそこのお店、凄く美味しいものね。食べに行きたいわ」


「「……」」


 2人は顔を見合わせる。


「? どうしたの?」


「あのさ」

 マーサが口を開いた。

「担任の先生からお聞きしたんだけど」

「何?」

「復学せずに、隣国へ留学に行くって……。本当?」


 

 
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