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誤算③ ~ユーリ視点~

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 最悪の気分だ。


 ウェンディのせいで、俺の人生計画はめちゃくちゃだ。


 ウェンディが約束を破ったせいで、俺は両親から死ぬほど叱られた。

 父は俺の顔をぶん殴り、母は俺を蔑んだ目で見つめる。


 両親からそうされる筋合いはない。

 俺はもう、一人前だ。


 自分のことは自分で決定する。

 いちいち父と母の許可を取る必要はない。


 それなのに、勝手に怒った挙句子どもに怪我を負わせた。


 色々終わったら、両親を虐待で訴えようかな。


 ウェンディの発言で影響が出たのは、両親との関係だけじゃなかった。


 学園でも、問題が起こる。


 両親にチクったウェンディに、俺は文句を言いに行った。

 それに聞き耳を立てた生徒たちが、一方的に俺とヒメナが悪いと決めつけたのだ。


 信じられない。


 なぜあの連中は、他人のプライベートにまで介入しようとするのだろうか。


 あいつらには、全く関係ないのに。

 俺とウェンディの中だけで解決すべき問題なのに。


 下品な野次馬根性で、俺たちの間で起こった問題に首を突っ込み、その挙句勝手に善悪を決めやがった。


 ウェンディは良い。

 あいつは悲劇のヒロインでいられるからだ。


 まるで自分が被害者のように、周囲から同情を寄せられるから。


 だけど、俺とヒメナにとっては最悪だった。


 俺とヒメナは、周囲からだんだんと孤立していったのだ。


 今まではそれなりに仲良くしていたクラスメイト達も、友人も、俺から離れていった。


 ――俺の親友である、パトリックでさえ。


 なんと、パトリックは俺を裏切り、ウェンディ側についたと聞く。


 信じられないことだ。


 親友の俺を信じずに、今までそんなに仲良くしてこなかったウェンディに肩入れするとは。


 あいつだけは、ほかの生徒とは一味違うと思っていたが。

 結局パトリックも、表面上の情報だけを都合の良いように受け取り、真実から目を背けるような、浅はかな人間だった。


 俺は、苛立ちを募らせる。


 何もかも、ウェンディのせいだ。

 ウェンディのせいで、俺たちは散々な目に遭った。


 ……なんとかしないと。


 


 
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