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第4章

貿易

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 この世界には、世界貿易条例というものが存在する。


 そのままの意味で、世界の各国が貿易をするうえで批准しなければならない世界の法律のことだ。

 これと言った細かな取り決めではなく、主に貿易における全体的な意識を記載している。


 平等な取引、相互利益を追求、一方的に不利になるような貿易はしない、など――。


 当たり前のことが多く書いてある。

 細かなところはそれぞれの国がそれぞれに提携し、決めているのだ。


 世界貿易条例は、世界規模の憲法的意味を担っていると言える。


 その条例には、もちろん問題が数多くあるのだが――。


 それはひとまず置いておいて、その世界貿易条例に違反したとみなされた国について、説明しよう。


 もしその条例から著しく逸脱した行動を取った国は、当然その条例違反として厳しく処罰されることになる。


 現状、その処罰をする上で話し合いの場を設ける必要があるのだが、その会場がブローディアであり、さらに言えば、別にすべての国がその議会に参加する必要はない。


 つまり、その条文の内容を過大解釈するとすればーー。


 その処罰対象国や、他の国の許可なしに、すなわちブローディアただ1国の意見のみで、その国を世界貿易の枠組みから追い出すことが出来るというわけだ。


 だからこそ、ブローディアはそれを最大限に使って、いとも簡単にマハナ国を世界から追い出した。


 こっちからすれば、パイナップルを他国に売ったことに関して、なんの問題も起こしていないという姿勢なのだが。


 こっちはあくまで、付加価値をつけたパイナップルを売っただけだ。

 脅したわけでも、嘘をついたわけでもない。


 しかし向こうの意見では、大量のパイナップルを他国に売りつけるという行為が、相互利益に反するとお考えのようだ。


 まあ追放に関する具体的な理由については、あの国が教えてくれるはずもなく、今のは全部私の推測なのだが。


 で、その世界貿易の枠組みから除外されるということはーー。


 貿易が出来ない。

 他の国と取引ができない。


 これ以上、パイナップルを売ることが出来ないということだ。
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