1 / 15
プロローグ
しおりを挟む
羽柴 浩輔(はしば こうすけ)。
26歳男、独身。
俺は今、人生の崖っぷちに立たされていた。
10で神童、15で才子、20過ぎれば只の人。
なんていうことわざがあるが、よく言ったものだと常々思う。
俺も、かつては「神童」ともてはやされていた。
小学校・中学校時代。
その年齢にしては勉強も出来、運動も出来た俺は、そりゃもうモテモテだった。
学年で一番にモテる男として扱われ、同性にも、
「まあ、羽柴なら仕方ねぇよな」
みたいなふうに思われており、あのころは俺の天下だった。
同級生女子にライバルがいて、いつも俺はそいつと切磋琢磨しながら生きていたんだ。
本当に毎日がキラキラしていた。
このままずっとそう生きていくと、未来は明るいと、漠然とした希望的観測を抱いていた。
あの時代が、俺にとっての人生の絶頂期だったのだ。
しかし色々あって落ちるところまで落ちた俺は、なんとか引っかかった3流大学に進学し、悪友たちと遊んで暮らす。
バイトに明け暮れ、その金で飲み歩き、金を湯水のように使う。
出席日数は常にギリギリ。
両親からは、
「クズ」
と罵られる。
そう思われても、平気だった。
大学時代の俺は、ずっと自暴自棄だったのだ。
その後人一倍遅い段階で就職活動を行った俺は、なんとか引っかかった中小企業に就職。
そこは、とんでもない超絶ブラックな職場だった。
ワンマン社長にパワハラ上司。
毎日毎日怒鳴られ全否定され、仕事終わりは上司に飲みにつれていかれる。
そこでも、くどくど説教を受けること数時間。
同期は皆辞めた。
残ったのは、俺だけ。
「仕事遅いんだよ」
「このぼんくら!」
「早くしろよ。それしか能のない癖に!」
たまの休みは、スーパーで買った安酒とつまみ。
昼から飲んで、ごろ寝する。
友人と遊びに行く暇もない。
当然、彼女もいないし、そもそもそんな相手もいない。
「本当、クソだ」
俺はボロアパートの中で、独り言ちる。
「クソみてぇな人生だよ」
1人、過去を振り返っては嘆き続ける。
これからも、そしてずっとその先も――。
俺は死ぬまで、無駄なことで時間を消費していくんだと、そう感じた。
26歳男、独身。
俺は今、人生の崖っぷちに立たされていた。
10で神童、15で才子、20過ぎれば只の人。
なんていうことわざがあるが、よく言ったものだと常々思う。
俺も、かつては「神童」ともてはやされていた。
小学校・中学校時代。
その年齢にしては勉強も出来、運動も出来た俺は、そりゃもうモテモテだった。
学年で一番にモテる男として扱われ、同性にも、
「まあ、羽柴なら仕方ねぇよな」
みたいなふうに思われており、あのころは俺の天下だった。
同級生女子にライバルがいて、いつも俺はそいつと切磋琢磨しながら生きていたんだ。
本当に毎日がキラキラしていた。
このままずっとそう生きていくと、未来は明るいと、漠然とした希望的観測を抱いていた。
あの時代が、俺にとっての人生の絶頂期だったのだ。
しかし色々あって落ちるところまで落ちた俺は、なんとか引っかかった3流大学に進学し、悪友たちと遊んで暮らす。
バイトに明け暮れ、その金で飲み歩き、金を湯水のように使う。
出席日数は常にギリギリ。
両親からは、
「クズ」
と罵られる。
そう思われても、平気だった。
大学時代の俺は、ずっと自暴自棄だったのだ。
その後人一倍遅い段階で就職活動を行った俺は、なんとか引っかかった中小企業に就職。
そこは、とんでもない超絶ブラックな職場だった。
ワンマン社長にパワハラ上司。
毎日毎日怒鳴られ全否定され、仕事終わりは上司に飲みにつれていかれる。
そこでも、くどくど説教を受けること数時間。
同期は皆辞めた。
残ったのは、俺だけ。
「仕事遅いんだよ」
「このぼんくら!」
「早くしろよ。それしか能のない癖に!」
たまの休みは、スーパーで買った安酒とつまみ。
昼から飲んで、ごろ寝する。
友人と遊びに行く暇もない。
当然、彼女もいないし、そもそもそんな相手もいない。
「本当、クソだ」
俺はボロアパートの中で、独り言ちる。
「クソみてぇな人生だよ」
1人、過去を振り返っては嘆き続ける。
これからも、そしてずっとその先も――。
俺は死ぬまで、無駄なことで時間を消費していくんだと、そう感じた。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
『元』魔法少女デガラシ
SoftCareer
キャラ文芸
ごく普通のサラリーマン、田中良男の元にある日、昔魔法少女だったと言うかえでが転がり込んで来た。彼女は自分が魔法少女チームのマジノ・リベルテを卒業したマジノ・ダンケルクだと主張し、自分が失ってしまった大切な何かを探すのを手伝ってほしいと田中に頼んだ。最初は彼女を疑っていた田中であったが、子供の時からリベルテの信者だった事もあって、かえでと意気投合し、彼女を魔法少女のデガラシと呼び、その大切なもの探しを手伝う事となった。
そして、まずはリベルテの昔の仲間に会おうとするのですが・・・・・・はたして探し物は見つかるのか?
卒業した魔法少女達のアフターストーリーです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
地球は滅亡しますが僕らは今日も登校します
柚鳥柚
キャラ文芸
僕こと渡部倫太郎は、迫り来る小惑星により地球が滅亡すると知りつつ未だ高校に登校している。
それはなぜか。気になるクラスメイトの、本間日向子さんが登校しているからだ。
彼女に会いたいが為、僕はヘルメットを被り、時に拾った武器を手に、学校への危険な道のりを歩く。それだけの苦労をしてもなお、僕は本間さんに話しかけることができずにいた。
しかしある日、暴漢に襲われている彼女を助けて以来、僕の残りわずかな青春が始まった。
根暗で卑屈で内気な主人公が、好きな子のために頑張ったりピンチを救ったりと足掻きながら青春を掴み取る話。この話はpixivと小説家になろうにも同作家名同タイトルで投稿しています。
琵琶湖の神さまは二人乗りをご所望です?
ちくわぱん
キャラ文芸
高2の冬、東京から琵琶湖の西岸に住む祖父のもとに単身引っ越してきた人見知りの少年梅松虎斑(うめまつとらふ)。趣味はバイクでお独り様ツーリング。琵琶湖一周を楽しみにしていたが、配達業者の手違いでバイク到着が2週間も先に。手持ちぶたさに歩いて近所を散策していると、琵琶湖畔で小さなカメに出会った。それをきっかけに世に言う【怪異】と遭遇する体質になってしまう。虎斑は自分を襲う【怪異】から身を守るためにカメと一緒に暮らすことになった。
人間でさえ怖くて近寄りたくないと思っていた虎斑だったが、怪異やらなんやらに巻き込まれて、これまでの生活が一変した。
のんびりおひとり様田舎暮らしを堪能しようと思っていた人見知り少年とカメの姿をした琵琶湖の神さまの、のんびりまったりしたい、けどそうもいかないかも?的な田舎タンデムライフな話です。
(タンデムは二人乗りの意味です)
*作品内の画像はすべて自分で撮ったものを使用しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる