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反対
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両親には、事前に女勇者の恋人に会いに行くとは言っていたが。
まさか、その人との結婚を漕ぎつけてきたとは思わなかったらしい。
まあ、それはそう。
だってあの人、貴族様だし。
「「……」」
私から男爵との結婚の報告がなされたとき、両親は絶句した。
「えっ……。結婚って」
「バーン男爵って?」
「貴族の方よ」
私は平然と答えた。
「前に話した、あのエブリンとかいう女勇者の恋人」
「「……」」
2人は黙って、顔を見合わせた。
「結婚式関係の色んな準備は、フランのせいでぶち壊しになった結婚式の方でもう終わっているし、結婚式の費用はバーン男爵が全額出してくれるって」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
お父さんは、頭を抱えて首を横に振る。
「ほ、本気なのか……?」
「ええ、もちろんよ」
私ははっきりと言った。
「私は、あの人と結婚するわ」
だが、2人は色よい返事をくれることはなかった。
「あのねえ、ジュリアナ」
と、お母さん。
「あなたの苛立ちはよくわかる。私たちだって、可愛がって育てた自分の娘をあんなふうに邪険にされて、腸が煮えくり返るほど腹が立ってるわ」
「だが、その」
お父さんは言いにくそうに口を挟んだ。
「結婚というのは、そんなふうに適当に決めるものではない」
「でも」
「でも、じゃないわ」
お母さんは厳しい声を出した。
「あの2人に対して仕返しをしてやりたいっていう気持ちだけで動いているなら、今すぐに辞めなさい。確実に苦労するわ」
「でも」
私は文句を言う。
「でも、バーン男爵は良い方よ。それに貴族だし。きっと結婚すれば、それなりに幸せな――」
「お前な」
と、お父さん。
「自分のかつての恋人を振り返ってみろ。自分に、男を見る目があると本気で思っているのか?」
「そうよ。それに、あの奔放な女勇者を放置していた人間よ。そんな人が、あなたを幸せにしてくれる相手なわけないじゃないの」
両親にそう言われて。
確かにそうだ、と思ってしまった。
まさか、その人との結婚を漕ぎつけてきたとは思わなかったらしい。
まあ、それはそう。
だってあの人、貴族様だし。
「「……」」
私から男爵との結婚の報告がなされたとき、両親は絶句した。
「えっ……。結婚って」
「バーン男爵って?」
「貴族の方よ」
私は平然と答えた。
「前に話した、あのエブリンとかいう女勇者の恋人」
「「……」」
2人は黙って、顔を見合わせた。
「結婚式関係の色んな準備は、フランのせいでぶち壊しになった結婚式の方でもう終わっているし、結婚式の費用はバーン男爵が全額出してくれるって」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
お父さんは、頭を抱えて首を横に振る。
「ほ、本気なのか……?」
「ええ、もちろんよ」
私ははっきりと言った。
「私は、あの人と結婚するわ」
だが、2人は色よい返事をくれることはなかった。
「あのねえ、ジュリアナ」
と、お母さん。
「あなたの苛立ちはよくわかる。私たちだって、可愛がって育てた自分の娘をあんなふうに邪険にされて、腸が煮えくり返るほど腹が立ってるわ」
「だが、その」
お父さんは言いにくそうに口を挟んだ。
「結婚というのは、そんなふうに適当に決めるものではない」
「でも」
「でも、じゃないわ」
お母さんは厳しい声を出した。
「あの2人に対して仕返しをしてやりたいっていう気持ちだけで動いているなら、今すぐに辞めなさい。確実に苦労するわ」
「でも」
私は文句を言う。
「でも、バーン男爵は良い方よ。それに貴族だし。きっと結婚すれば、それなりに幸せな――」
「お前な」
と、お父さん。
「自分のかつての恋人を振り返ってみろ。自分に、男を見る目があると本気で思っているのか?」
「そうよ。それに、あの奔放な女勇者を放置していた人間よ。そんな人が、あなたを幸せにしてくれる相手なわけないじゃないの」
両親にそう言われて。
確かにそうだ、と思ってしまった。
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