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第2章
天災 ~国王視点~
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「天災……?」
わしは一瞬絶句したが、直ぐに口から笑い声が漏れ始めた。
「……ハハハ、ハハハハハ!」
突然爆笑し始めるわしを見て、さらに焦る兵士。
「な、なぜ笑っておられるのですか!?」
「ハハハハハッ! つまらない冗談は止せ!」
わしの言葉を皮切りに、周囲にいた大臣たちも次々に笑い出す。
「何を言い出すのかと思ったら」
「馬鹿馬鹿しい」
「そんな嘘、誰が信じるものか」
「国王陛下、この嘘つきをどういたしましょうか」
「いいえ、いいえ!」
兵士は慌てている。
「嘘ではありません! 各地から緊急要請が来ております。今すぐに助けをと!」
兵士の叫び声。
最初はそれなりに面白い冗談かと思っていたが。
その声はあまりにも大きく、人を不快にさせるものとなっていった。
「わかった、わかった」
鬱陶しくなり、わしは片手で兵士をしっしと追い払う仕草をする。
「陛下!」
声をあげる兵士。
「お願い出来ますか?」
「わかったと言っただろう!」
わしは、軽く兵士を怒鳴りつける。
兵士はビクリと身体を強張らせた。
「お前の言いたいことはわかった。さっさと出ていけ!」
「は、はい! ……お願いしますね」
「うるさいな。わかったと言っただろう。目障りだ」
「し、失礼します……!」
わしは兵士をどうにかして玉座の間から追い出す。
あの男の声が、まだ耳にこびりついていた。
ああ、嫌だ。
今はそれどころではないというのに。
虫けらのくせに、何度もわしに「お願い」しようとしやがって。
「大臣」
近くにいた大臣を呼びつける。
「はっ」
「大臣よ」
わしは小声で、耳打ちした。
「あの大嘘つきを処刑しろ。またここに来られては適わん。うるさくて仕方がない」
「承知いたしました」
わしは一瞬絶句したが、直ぐに口から笑い声が漏れ始めた。
「……ハハハ、ハハハハハ!」
突然爆笑し始めるわしを見て、さらに焦る兵士。
「な、なぜ笑っておられるのですか!?」
「ハハハハハッ! つまらない冗談は止せ!」
わしの言葉を皮切りに、周囲にいた大臣たちも次々に笑い出す。
「何を言い出すのかと思ったら」
「馬鹿馬鹿しい」
「そんな嘘、誰が信じるものか」
「国王陛下、この嘘つきをどういたしましょうか」
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兵士は慌てている。
「嘘ではありません! 各地から緊急要請が来ております。今すぐに助けをと!」
兵士の叫び声。
最初はそれなりに面白い冗談かと思っていたが。
その声はあまりにも大きく、人を不快にさせるものとなっていった。
「わかった、わかった」
鬱陶しくなり、わしは片手で兵士をしっしと追い払う仕草をする。
「陛下!」
声をあげる兵士。
「お願い出来ますか?」
「わかったと言っただろう!」
わしは、軽く兵士を怒鳴りつける。
兵士はビクリと身体を強張らせた。
「お前の言いたいことはわかった。さっさと出ていけ!」
「は、はい! ……お願いしますね」
「うるさいな。わかったと言っただろう。目障りだ」
「し、失礼します……!」
わしは兵士をどうにかして玉座の間から追い出す。
あの男の声が、まだ耳にこびりついていた。
ああ、嫌だ。
今はそれどころではないというのに。
虫けらのくせに、何度もわしに「お願い」しようとしやがって。
「大臣」
近くにいた大臣を呼びつける。
「はっ」
「大臣よ」
わしは小声で、耳打ちした。
「あの大嘘つきを処刑しろ。またここに来られては適わん。うるさくて仕方がない」
「承知いたしました」
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