48 / 65
第3章
連携
しおりを挟む
「手を組む?」
一体どういうことでしょうか、とレイモンドは尋ねた。
「私たち地方貴族だけで、1つの経済圏を作るんです」
私は説明する。
「言わば、1つの領地を1国としたカウントするんです」
「国?」
「はい――例えば、A領地とアンダーソン領地という2つが存在したとして」
図面に描き起こす。
「アンダーソン領地では食料が主に、A領地では鉄鉱石が主に取れるとします」
「はい」
「お互い足りない部分を補うため、アンダーソン領地ではA領地へ、A領地へはアンダーソン領地へ輸出入するんですよ。そうすれば、お金が循環します。経済が滞ることはありません」
「しかし」
レイモンドは、私の描いた汚い絵を見ながら言う。
「今回は食料限定で王都への輸送を禁止されています。ほかの資材などは問題ないはずです」
「今は、ですけどね」
私は、取り寄せた他国の新聞の切り抜きを見せる。
「隣国だけではありません。どうやらほかの国も結構困っているみたいですよ」
「……時間の問題と言うわけですか」
「ええ。隣国と同様、これらの国も最恵国待遇を受けていますし」
最恵国待遇とは。
とある国に対して、最も有利な待遇を受けさせること。
つまり、いくつもの国とで最恵国待遇を結んでいれば。
1国が必ずほかの国より有利になることはなく、隣国を支援すれば、必ず条約を結ぶ他国も同じように支援しなければならないということ。
ほかの資源が輸送禁止になるのも、時間の問題だ。
「わかりました」
レイモンドは頷く。
「良い考えですね――早速ほかの領地にかけ合ってみましょう。うまくいくかどうか、試してみます」
一体どういうことでしょうか、とレイモンドは尋ねた。
「私たち地方貴族だけで、1つの経済圏を作るんです」
私は説明する。
「言わば、1つの領地を1国としたカウントするんです」
「国?」
「はい――例えば、A領地とアンダーソン領地という2つが存在したとして」
図面に描き起こす。
「アンダーソン領地では食料が主に、A領地では鉄鉱石が主に取れるとします」
「はい」
「お互い足りない部分を補うため、アンダーソン領地ではA領地へ、A領地へはアンダーソン領地へ輸出入するんですよ。そうすれば、お金が循環します。経済が滞ることはありません」
「しかし」
レイモンドは、私の描いた汚い絵を見ながら言う。
「今回は食料限定で王都への輸送を禁止されています。ほかの資材などは問題ないはずです」
「今は、ですけどね」
私は、取り寄せた他国の新聞の切り抜きを見せる。
「隣国だけではありません。どうやらほかの国も結構困っているみたいですよ」
「……時間の問題と言うわけですか」
「ええ。隣国と同様、これらの国も最恵国待遇を受けていますし」
最恵国待遇とは。
とある国に対して、最も有利な待遇を受けさせること。
つまり、いくつもの国とで最恵国待遇を結んでいれば。
1国が必ずほかの国より有利になることはなく、隣国を支援すれば、必ず条約を結ぶ他国も同じように支援しなければならないということ。
ほかの資源が輸送禁止になるのも、時間の問題だ。
「わかりました」
レイモンドは頷く。
「良い考えですね――早速ほかの領地にかけ合ってみましょう。うまくいくかどうか、試してみます」
1
お気に入りに追加
608
あなたにおすすめの小説
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる