社畜系公爵令嬢は、婚約破棄なんてどうでも良い

小倉みち

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侵入者

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 私とエドワード殿下は、すぐに孤児院へと向かった。


 殿下には私1人で行くと言ったが、

「兄上が問題を起こしたのであれば、それを止めるのは弟である私の役目です。どうか、連れて行ってください」


 と言われてしまったので、私は公爵家の護衛を1人加えて、3人で孤児院に足を踏み入れた。


 孤児院の周囲には、警察官が集まっていた。

 それを遠巻きに見つめているのは、この近くに住んでいる人々だろう。


 私は警察官のうち、見知った人物に声をかけた。

「こんにちは」

「おお、これはこれは」


 警部は私に向かって敬礼する。

「クレアお嬢様。お越しいただき、誠にありがとうございます」


「お知り合いですか?」

 エドワード殿下に質問される。

「ええ。彼にはよく、安全訓練の件でお世話になっているんです」

「安全訓練?」

「ここ最近はどこも物騒ですからなあ。定期的に学校や孤児院を回って、身の守り方や撃退法なんかを教えているんですよ」


 警部は胸を張った。

「今回の侵入者も、私が教えた通りに子どもたちで撃退したそうで……。いやはや、事前に教えておいて本当に良かった」

「ありがとうございます」

 私は頭を下げた。

「子どもたちとシスターが無事だったのは、あなたのおかげですわ」

「いやいやいやいや。はは、美しいお嬢様に褒められると、さすがの私も照れます……」


「警部」


 孤児院から、1人の警官が出てくる。

「皆様には、とりあえず中に入って確認してもらった方が」

「ああ、確かにそうだな」


 彼は頷き、私たちに向かって言った。

「それではみなさん、どうぞお入りください。お話ししたいことがあるので」

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