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馬車
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私は全速力で屋敷に向かう。
私の姿を見て、学園で待機していた我が家の御者はぎょっとした顔をした。
「お、お嬢様? パーティはどうされたのですか?」
「婚約破棄されたわ」
私ははしたないとわかっていつつも、ドレスのまま片足を思い切りあげて馬車に乗り込む。
「は?」
御者は叫んだ。
「い、一体どういうことで?」
「そのままの意味よ」
私は鞄をソファに投げ捨てる。
「婚約破棄されたわ」
「だ、第一王子殿下にですか……?」
「ええ、そうよ。それ以外に一体誰がいると言うの?」
馬を走らせてちょうだい、と私は命令する。
「私――公爵令嬢クレアは、殿下の浮気発言&婚約破棄でいたく心を傷つけ、もはや立ってられない状況にまで陥りました。そのため、卒業パーティを卒業することになったの――というのが、私がパーティを抜け出した建前よ。さあ、屋敷へ戻って! 仕事があるの」
「しょ、承知いたしました」
御者はすぐに手綱を握った。
「すぐに戻りましょう。お嬢様の体調を鑑みて」
馬はヒヒーンと声をあげる。
「ハイヤッ」
御者の掛け声と同時に、馬車は全速力で走り始めた。
私の姿を見て、学園で待機していた我が家の御者はぎょっとした顔をした。
「お、お嬢様? パーティはどうされたのですか?」
「婚約破棄されたわ」
私ははしたないとわかっていつつも、ドレスのまま片足を思い切りあげて馬車に乗り込む。
「は?」
御者は叫んだ。
「い、一体どういうことで?」
「そのままの意味よ」
私は鞄をソファに投げ捨てる。
「婚約破棄されたわ」
「だ、第一王子殿下にですか……?」
「ええ、そうよ。それ以外に一体誰がいると言うの?」
馬を走らせてちょうだい、と私は命令する。
「私――公爵令嬢クレアは、殿下の浮気発言&婚約破棄でいたく心を傷つけ、もはや立ってられない状況にまで陥りました。そのため、卒業パーティを卒業することになったの――というのが、私がパーティを抜け出した建前よ。さあ、屋敷へ戻って! 仕事があるの」
「しょ、承知いたしました」
御者はすぐに手綱を握った。
「すぐに戻りましょう。お嬢様の体調を鑑みて」
馬はヒヒーンと声をあげる。
「ハイヤッ」
御者の掛け声と同時に、馬車は全速力で走り始めた。
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