社畜系公爵令嬢は、婚約破棄なんてどうでも良い

 公爵令嬢であるクレアは、周囲が驚くほど忙しかった。


 学園の勉強に続き、未来の王子妃、王妃としての教育、そして引き継ぐ予定の領地経営。


 さらには、その婚約者である第一王子の教育係にも任命されている。


 そのおびただしい仕事の数々で、彼女は限界に達していた。


 学生の身分で大量の仕事を押しつけられた彼女は、いわゆる「社畜」である。


 朝から晩までタスクがあり、休む暇もない彼女。


 そんな折、卒業パーティにて。


 第一王子が、彼女に向かって叫んだ。


「公爵令嬢クレア! 俺はお前と婚約破棄する!」


 彼の隣には、うら若き美少女の姿が。


 しかし、彼女はまったく落ち込まなかった。

 婚約者に裏切られたのにも関わらず、苛立ちもなく、かといって悲しくもない。


 まさに、無。


 仕事のことで頭がいっぱいだった。


「お前は、彼女を散々苛め抜いた。最低なことをしたんーー」

「あっ、はい。そうですか。わかりました。それでは失礼しますね」

「ちょっ、待て!」


 彼女はこれ幸いにとパーティを抜け出し、屋敷に向かう。


 ーー今日中にしなければならない仕事をするために。
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