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私にできることなら  ☆

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★・☆・★・☆・★・☆・★


 雷が落ちたのだと理解するまでに少し時間を要した。
 目が慣れないが物の場所は把握している。作業室の扉をゆっくりと開けると、人影があった。

「ナディア君、着替えは終わったかい?」
「明かりが消えてしまって、まだなんです」
「ああ……。ん、外が心配か?」
「落雷ですよね。魔術道具の明かりが消えたってことは、この工房を守っている魔術道具が壊れてやしないかって――」

 そこまで喋ると、ディオニージオス所長も察したのだろう。空気がピリッとした。魔術師としての彼は気合いを入れると周囲の空気が変わる。

「……そうだね。やられている可能性が高い」
「修理しますか?」

 服の場所は把握しているから、真っ暗でも身につけることはできるだろう。作業が必要なら私もやれる。
 すると彼は首を横に振った。

「外に出ないほうがいい」

 ディオニージオス所長は短く答えて、私を押すようにして作業室に滑り込んだ。戸を閉めて術を展開。直後にどこかの壁が壊れたような音が響いた。唸り声も聞こえてくる。

「彼らは夜行性だ。一晩凌げればいい」
「私にできることはありますか?」

 ディオニージオス所長は魔術師だから魔術を使える。戸を開かないようにして壁に偽装するのは容易くできるし、そこに強化の術を施して壊れにくくすることも一瞬でできる。
 だが私はあくまでも魔術道具職人だ。魔術の基礎は知っているけれど使えるわけではない。魔力は持っているので魔術道具の起動はできるし、魔術道具自体の寿命を延ばすことはできるがそれだけで、魔術師には及ばない。
 作業室の壁を強化しているディオニージオス所長に協力したくて尋ねれば、彼は私を見て困った顔をした。

「私にできることなら、なんでもしますよ」

 守られるだけの足手まといにはなりたくない。ディオニージオス所長が訪ねてきてくれなかったら、今頃は魔物に引き裂かれていただろう。だから、二人で助かるためなら、私は惜しまない。
 私が所長を見上げていると、ディオニージオス所長は大きく息を吐いた。

「本当に、なんでもかい?」
「はい」
「ならば、ひとつ頼みたい」
「なんでしょう?」

 私は期待に胸を膨らませて所長を見つめる。ディオニージオス所長の目に情慾の色が滲んだ。

「……ここ数日、徹夜が続いていただろう? だからか、魔力が足らないみたいでね」

 彼がネクタイを緩めた。片手でシャツのボタンを外している。

「えっと」

 色気だろうか。枕に残っていた媚薬よりもずっとクラクラしそうな香りが所長から漂っている。うっとりとした気分になっていると、胸元をはだけさせたディオニージオス所長に押し倒されていた。

「ナディア君の魔力が欲しい」

 唇が重なる。少しかさついた感触ののちに、ぬるりとしたものが口の中に入ってきた。舌だと理解するなり、私の舌が絡め取られた。

「んっ、うっ」

 毛布が剥ぎ取られ、ツンと勃った胸の先を指先で転がされる。ジンっと痺れて、秘所が濡れる気配がした。

「あっ、んっ」
「僕を受け入れて、ナディア」

 息継ぎのように大きく息を吸えたかと思えば、再び深い口づけに吸い込まれる。

 ――荒波に揉まれたみたい。

 魔力の交換は接触によるものが手軽だという知識は持っている。アカデミーで魔術の基礎を学んだ際に得た知識だ。魔術師は魔力を持っているものに触れることで、相手から魔力を奪うことができる。私は魔術師ではないので意図的に奪うことはできないのだが、ディオニージオス所長であれば簡単なのだろう。

 ――でも、接触って。

 手を握るだけではいけないのだろうか。これではまるで――

「こ、これ以上はっ、あっ」

 彼の太い指が蜜壺に差し込まれた。ゆるゆると抜き挿しされるだけで腰が揺れてしまう。

「なんでもするんだろう?」
「そ、そう言いました、けどっ、やっ、挿れたらっ……ああっ」

 内側の心地のいい場所を引っ掻かれると視界が明滅した。頭がきぃんと痛むが、不快なものではない。体が痙攣する。

「ナディア君はここが好きかな?」
「す、好き、かもしれな、ひぃ、です、んっ、けっどっ」
「魔力が溢れ出ているよ」

 指が引き抜かれた。安堵して力が抜けたところを、膝を左右に大きく開かれた。

「しょ、ちょっ?」

 彼の頭が股間に近づく。その直後、ぬるりとした感触。淫芽を丁寧に舐められると腰がガクガクとした。

「ああああっ?」
「想像していたよりもずっと美味しいよ」
「でぃ、ディオ……これ以上は」

 身体が刺激についていけない。魔力を吸われていることによる甘美な倦怠感もひどくて抵抗できないのだ。
 シャツを脱ぎ捨てて、ディオニージオスは上半身を裸にすると私の体に重ねる。あたたかい体温に強張った体は少しずつ解された。

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