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1:魔導師として宮廷入りしたので、そのお仕事はお引き受けしかねます!

事件の真相と師匠の秘密 3 ※1章完結

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「師匠はどうしてあたしを選んだんです?」

 疑問はすぐ言葉になった。するとメルヒオールはニコッと微笑む。

「いじめ甲斐のあるオモチャを取られたくないという気持ちが一番なんですが……ああ、君は忘れているんですね」

「はい?」

 なにを忘れているというのだろうか。

 アルフォンシーヌは首を傾げ、メルヒオールの言葉を待つ。

「俺は、君が宮廷魔導師採用試験を受けるずっと前から君のことを知っているのです。最初にお会いしたときは、俺はこの身分ではありませんでしたから、思い出せないのも理解できるのですが」

「え? お会いしていたって……いつ?」

「君が五歳になった頃ですかね。そのときに君と話をし、宮廷魔導師になる道に進むことを決意したのです」

「五歳……え、あの、物心がついていないとは言いませんけど……ん?」

 さらりと聞き流せないことを言われた気がして、メルヒオールの言葉を反芻する。そして目を瞬かせた。

「え、なんか、あたし、師匠の人生の転機に関わってるってこと? 待って、思い出しますから!」

「忘れたままでいいですよ」

 頬に手を伸ばされると口づけをする。せっかく身体を起こしたのに、再び寝かされた。

「んんっ……」

 メルヒオールの手が肩を撫でて、胸に触れると揉みしだく。快感が引き出され、胸の先が硬くなるのがわかる。

「あ、ああんっ……」

 身悶えすると、首筋を舐め上げられた。ゾクゾクする。

「やっ、待って、師匠」

「抱かれるときは名前で呼びなさい、アル」

「待ってほしいから、ああっ、師匠って、んっ、呼ぶんじゃないですかっ」

 必死に抵抗しているつもりだが、メルヒオールにはまったく邪魔になっていないようだ。彼は片手でアルフォンシーヌの両手首を押さえ込むと、空いてる方の手で自身の上着をくつろげる。

「待つって、なにをですか? 今回の事件についての種明かしは終わりました。ですので、次は魔力補給の処置をします。そのためには肌を重ねる必要がありましてね」

「う、うそ……」

 昨夜処女を失ったばかりだというのに、なんということだろうか。刺激が強すぎる。

 絶句していると、メルヒオールが愉快げに笑った。

「俺の魔力がアルの中に入りますので、安定するまではこの部屋にいてくださいね。そのうちに俺の魔力を自身の魔力へと速やかに変換する方法も伝授しますから、身につけるまでは俺に抱かれて軟禁されてください」

「はいっ⁉︎」

 不穏な単語のオンパレードに抗議の声を上げるも、情熱的な口づけの中に告げたかった言葉たちが飲み込まれていく。

 メルヒオールに触れてみたい触れられてみたいと思っていたのは確かだ。だけどもこんなことになると想像できただろうか。

 ああ、まずいと思っているのに拒めない……。

 肌の重なる温もりに、意識が持っていかれて正常な判断ができない。

 身体中のいたるところに口づけを受け、そこから流される彼の魔力に酔わされる。幸せな余韻に浸りながら、アルフォンシーヌはメルヒオールに身体を委ねた。

《第1章 完》
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