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1:魔導師として宮廷入りしたので、そのお仕事はお引き受けしかねます!

予期せぬ報せ 3

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「――でも、自分の身がピンチになったときの回避方法なら伝授できるわよ」

「へ?」

 ウインクして告げるモニックを見て、アルフォンシーヌは彼女が何の魔法の専門家なのかを思い出す。人の心に作用する魔法が彼女は誰よりも得意だ。

「とっておきのを教えてあげる。リシャール殿下に会う前に魔法を使っておくといいわ。欲情するのを抑えるヤツだから」

 そういうことならありがたいと、藁にもすがる気持ちでアルフォンシーヌは彼女の手を取った。

「お、お願いします! あたしにそれを伝授してください!」

 自分が苦手なカテゴリーの魔法であるが何の対策も立てないよりはマシだ――とこのときはそう思っていた。




「メルヒオールさま、あたし……あんっ」

 身体が甘く震えた。メルヒオールの指先が胸の先端を優しくつまむ刺激に反応したのだ。

「お願い……話を聞い……んんっ」

 言葉での説得も難しくなってきていた。身悶えしているうちにすっかり胸元がはだけてしまった。そこに彼は唇を寄せる。

「なかなかに敏感ですね。魔法が効いているのか……いや、それとも元々のものなのでしょうかね?」

 指でいじっていないほうの胸の先端を、メルヒオールは大きな口を開けて含んだ。勃ち上がった乳頭に舌がねっとりと這わされると、アルフォンシーヌの背が快感で反った。

「あぁっ、いやぁ」

 どうしてこんなことになっているのか、混乱する。ここにいるべきなのはメルヒオールではなくリシャール殿下であるはずなのに。

 部屋を間違えた、とか? だとしても、メルヒオールさまが来るはずがない。

 メルヒオールの甘い責めが続く。首に口づけられながら小さな胸を揉まれると、より快感が引き出された。

「やっ……待って……あたし、規律を破るつもりなんて……」

 どうしようもなく気持ちがいい。愛しい相手からの愛撫が心と身体を震わせている。
 しかし、アルフォンシーヌの理性が拒絶をしなければと何度も告げる。恋人になれれば幸せだが、そのためには師弟関係を解消せねばならない。それだけでなく、状況によっては宮廷魔導師を辞めることになるだろう。

「心配しなくても黙っていますよ。今日のことは二人だけの秘密にしましょう」

 耳元で囁かれると、そういうことにしてこのまま気持ちよいことを続けてほしくなる。
 優しくしてくれるだろうか――そう考えたとき、彼の意地悪な性格を思い出す。

「そ、そんなことを言って、あたしを厄介払いするんじゃ……」

 メルヒオールと師弟関係を結んで早一年。これほど長くメルヒオールの下で学んでいた魔導師はいないと聞いているが、だからこそこの辺で追い出される可能性はある。

 メルヒオールさまはあたしが迫ったのだと思っているみたいだし……。

 どうしてそんな誤解をされているのかわからない。魔法を使ってまで、とも言っていた。何かがおかしい。

「しませんよ。厄介払いなんて」

 目を合わせた上で、メルヒオールは告げる。熱を帯びた視線に胸が高鳴った。

「たっぷりと愛してあげます、アル。きっと忘れられない夜になりますよ」

 唇が重なり、舌が絡み合うと理性がとろけた。
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