60 / 86
神さま(?)拾いました【本編完結】
14.前車の轍は踏まないよ
しおりを挟む
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
電話が鳴っている。取らなきゃと思っているうちに音が止んでしまった。
折り返すの面倒だな……
緊急であればもう一度電話が鳴るだろうからと微睡んでいると、話し声が耳に入った。誰だ?
「――あはっ、残念だったね。弓弦ちゃんはまだ眠っているよ。予期せず僕を呼び出してしまったから、身体に負担がかかっているんだろうね」
誰と話しているんだろう。この様子だと兄だろうか。
通話相手の声は聞こえそうで聞こえない塩梅だ。音の高さから察するには男性っぽいが。
会話は続く。
「……ああ、うん。僕は常に一緒だし、休暇中に全快できると思うよ。……うん、うん……だいじょうぶ大丈夫。そんなことはさせないから。うっかり消滅するのも勘弁してほしいし」
冗談めかして神様さんは笑う。ずいぶんと親しげなテンションだな。
「……ふふ。相変わらず心配性だね」
急に声色が変わった。声は低く、シリアスな雰囲気。その声に背筋がゾクっっとする。
「前車の轍は踏まないよ。ちゃんと彼女の意志で行動させるから。……ふふ。そんなに僕のことが信用できないなら、君が弓弦ちゃんを監視すればいいんじゃないかな」
挑発するように告げる。
……相変わらず? 轍は踏まないって、前にも同じことが?
回らない頭でぐるぐる考えていると、神様さんは声を立てて笑った。
「あははは。まあ、やれるだけのことはやっていこうよ、お互いに、ね。……うん、うん。じゃあ、またあとで」
ベッドに座って通話をしていた彼と、彼の布団の中で様子を窺っていた私の目が合ってしまった。なんか気まずい。
「ありゃ、起こしちゃったかな」
彼は何食わぬ顔で通話を切ってスマホをベッドに置いた。
「誰と話をしていたんです?」
「梓くんだよ」
チラッと時計を見やる。兄から電話がかかってくるにしてはいささか早い時間だ。
「なんの用事だったんですかね?」
「それはわからないけど、僕が出たから驚いていたよ」
「私はあなたが普通にスマホを使いこなしていることに驚きでしたけど」
「それはまあ……直感で?」
「直感……」
なんとなく現代知識に疎いんじゃないかと思っていたが、そういうものでもないらしい。よくよく思い返せば、この部屋にあるものは私が説明せずとも問題なく使えている。風呂にしても食事にしても、困っている様子はなかった。
「とにかく、他人の電話に勝手に出ないでください」
「梓くんの名前が表示されていたから、ついからかいたくなっちゃったんだよねえ。次は気をつけるよ」
「そうしてください」
ベッドに転がされたスマホを手に取って履歴を見る。確かに兄からの電話だったようだ。少ししたらメッセージでも送って何の用事だったのか聞いておこう。
「もう起きる? ゆっくり寝ていてもいいとは思うんだ。僕のお布団、気持ちがいいでしょ?」
時刻は八時前。充分に朝寝坊をしていると言える時間帯だ。だが、兄が電話をかけてくるには早い時間だなと思う。これからどこかに出掛けるつもりなのだろうか。
私は適当に頷いた。
「ええ。すごく寝心地がよかったです。夢も覚えていないくらいぐっすり眠れましたし」
「ほんと、ぐっすりだったねえ。僕が悪戯しても無反応だったから諦めて眠ることにしたよ」
悪戯?
さっと血の気がひく。
「何したんですか」
「マッサージ?」
「疑問形で返すな」
私が非難すると、彼はあっけらかんと笑った。全く反省していない。
「ふふ。怒らないでよ」
彼の手が私に伸びて頬に触れる。さわさわと撫でてくるので、私は彼の手を軽く払った。
「気安く触らないで」
「嫌じゃないくせに。――まあ、顔色がよくなってきたから安心したよ。疲れが溜まっている顔をしていたから、梓くんも気に掛けていたみたい」
「十八連勤してたら顔色だって悪くなりますよ」
栄養ドリンクの差し入れがなかったことを思うと、それほど心配しているとは思えなかったが。
「二日酔いが原因じゃないんだ?」
「私、お酒には強いんで」
「君と一緒に飲みたいなあ、お酒」
「嫌ですよ」
私が冷たく返すと、彼は目をぱちくりさせてとても不思議そうな顔をした。
「どうして? お酒、好きなんでしょう?」
「好きですけど、しばらくは禁酒したいので」
「記憶が跳んじゃったからかい?」
私は首を横に振る。記憶が跳んでしまった理由は別にあるような気がするのだ。
さっきの会話も、やっぱり引っかかるし。
私は彼に探られる前に言葉を続ける。
「違いますよ。単純に飲み過ぎたからです。過労状態で飲む量ではなかったと反省したので、肝臓を労わるためにも一週間は禁酒しようかと」
よくよく考えると、連勤中に栄養ドリンクにお世話になりまくっていたわけで、肝臓への負担は甚大だったのではないかと思い至る。禁酒は妥当だ。
彼は冷やかすように笑った。
「わあ、真面目だねえ。じゃあ、禁酒期間が明けたら、一緒に飲もうよ」
「アニキが同席してもいいなら、考えておきます」
「ふふふ。前向きに検討してよ?」
「神様相手に約束はしない主義です」
「それは確かに賢明な判断だ」
残念そうに肩をすくめる。これでこの話はおしまいだ。
「朝ごはん、準備しようか? 出すだけになるけど」
「自分でやりますよ。神様さんは一緒に食べます?」
「うん。同席しても構わないなら」
「了解です」
私が返事をすると、彼は指をパチンと鳴らして布団を片付けた。ほんと、便利だな、それ。
「朝ごはんのあと、何をするか決めようね。部屋から出られそうにないけどさ」
「そうですね……惰眠を貪るのも勿体無いですし」
天気は晴れ。外に出られないのはちょっともったいない気がする。
「男女が密室ですることと言ったら一つしかないよ!」
「はいはい」
隙あらばそういう方向に話を持っていこうとするなあ。
私は適当にあしらいながら、朝食の準備に取り掛かるのだった。
電話が鳴っている。取らなきゃと思っているうちに音が止んでしまった。
折り返すの面倒だな……
緊急であればもう一度電話が鳴るだろうからと微睡んでいると、話し声が耳に入った。誰だ?
「――あはっ、残念だったね。弓弦ちゃんはまだ眠っているよ。予期せず僕を呼び出してしまったから、身体に負担がかかっているんだろうね」
誰と話しているんだろう。この様子だと兄だろうか。
通話相手の声は聞こえそうで聞こえない塩梅だ。音の高さから察するには男性っぽいが。
会話は続く。
「……ああ、うん。僕は常に一緒だし、休暇中に全快できると思うよ。……うん、うん……だいじょうぶ大丈夫。そんなことはさせないから。うっかり消滅するのも勘弁してほしいし」
冗談めかして神様さんは笑う。ずいぶんと親しげなテンションだな。
「……ふふ。相変わらず心配性だね」
急に声色が変わった。声は低く、シリアスな雰囲気。その声に背筋がゾクっっとする。
「前車の轍は踏まないよ。ちゃんと彼女の意志で行動させるから。……ふふ。そんなに僕のことが信用できないなら、君が弓弦ちゃんを監視すればいいんじゃないかな」
挑発するように告げる。
……相変わらず? 轍は踏まないって、前にも同じことが?
回らない頭でぐるぐる考えていると、神様さんは声を立てて笑った。
「あははは。まあ、やれるだけのことはやっていこうよ、お互いに、ね。……うん、うん。じゃあ、またあとで」
ベッドに座って通話をしていた彼と、彼の布団の中で様子を窺っていた私の目が合ってしまった。なんか気まずい。
「ありゃ、起こしちゃったかな」
彼は何食わぬ顔で通話を切ってスマホをベッドに置いた。
「誰と話をしていたんです?」
「梓くんだよ」
チラッと時計を見やる。兄から電話がかかってくるにしてはいささか早い時間だ。
「なんの用事だったんですかね?」
「それはわからないけど、僕が出たから驚いていたよ」
「私はあなたが普通にスマホを使いこなしていることに驚きでしたけど」
「それはまあ……直感で?」
「直感……」
なんとなく現代知識に疎いんじゃないかと思っていたが、そういうものでもないらしい。よくよく思い返せば、この部屋にあるものは私が説明せずとも問題なく使えている。風呂にしても食事にしても、困っている様子はなかった。
「とにかく、他人の電話に勝手に出ないでください」
「梓くんの名前が表示されていたから、ついからかいたくなっちゃったんだよねえ。次は気をつけるよ」
「そうしてください」
ベッドに転がされたスマホを手に取って履歴を見る。確かに兄からの電話だったようだ。少ししたらメッセージでも送って何の用事だったのか聞いておこう。
「もう起きる? ゆっくり寝ていてもいいとは思うんだ。僕のお布団、気持ちがいいでしょ?」
時刻は八時前。充分に朝寝坊をしていると言える時間帯だ。だが、兄が電話をかけてくるには早い時間だなと思う。これからどこかに出掛けるつもりなのだろうか。
私は適当に頷いた。
「ええ。すごく寝心地がよかったです。夢も覚えていないくらいぐっすり眠れましたし」
「ほんと、ぐっすりだったねえ。僕が悪戯しても無反応だったから諦めて眠ることにしたよ」
悪戯?
さっと血の気がひく。
「何したんですか」
「マッサージ?」
「疑問形で返すな」
私が非難すると、彼はあっけらかんと笑った。全く反省していない。
「ふふ。怒らないでよ」
彼の手が私に伸びて頬に触れる。さわさわと撫でてくるので、私は彼の手を軽く払った。
「気安く触らないで」
「嫌じゃないくせに。――まあ、顔色がよくなってきたから安心したよ。疲れが溜まっている顔をしていたから、梓くんも気に掛けていたみたい」
「十八連勤してたら顔色だって悪くなりますよ」
栄養ドリンクの差し入れがなかったことを思うと、それほど心配しているとは思えなかったが。
「二日酔いが原因じゃないんだ?」
「私、お酒には強いんで」
「君と一緒に飲みたいなあ、お酒」
「嫌ですよ」
私が冷たく返すと、彼は目をぱちくりさせてとても不思議そうな顔をした。
「どうして? お酒、好きなんでしょう?」
「好きですけど、しばらくは禁酒したいので」
「記憶が跳んじゃったからかい?」
私は首を横に振る。記憶が跳んでしまった理由は別にあるような気がするのだ。
さっきの会話も、やっぱり引っかかるし。
私は彼に探られる前に言葉を続ける。
「違いますよ。単純に飲み過ぎたからです。過労状態で飲む量ではなかったと反省したので、肝臓を労わるためにも一週間は禁酒しようかと」
よくよく考えると、連勤中に栄養ドリンクにお世話になりまくっていたわけで、肝臓への負担は甚大だったのではないかと思い至る。禁酒は妥当だ。
彼は冷やかすように笑った。
「わあ、真面目だねえ。じゃあ、禁酒期間が明けたら、一緒に飲もうよ」
「アニキが同席してもいいなら、考えておきます」
「ふふふ。前向きに検討してよ?」
「神様相手に約束はしない主義です」
「それは確かに賢明な判断だ」
残念そうに肩をすくめる。これでこの話はおしまいだ。
「朝ごはん、準備しようか? 出すだけになるけど」
「自分でやりますよ。神様さんは一緒に食べます?」
「うん。同席しても構わないなら」
「了解です」
私が返事をすると、彼は指をパチンと鳴らして布団を片付けた。ほんと、便利だな、それ。
「朝ごはんのあと、何をするか決めようね。部屋から出られそうにないけどさ」
「そうですね……惰眠を貪るのも勿体無いですし」
天気は晴れ。外に出られないのはちょっともったいない気がする。
「男女が密室ですることと言ったら一つしかないよ!」
「はいはい」
隙あらばそういう方向に話を持っていこうとするなあ。
私は適当にあしらいながら、朝食の準備に取り掛かるのだった。
2
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
後宮の記録女官は真実を記す
悠井すみれ
キャラ文芸
【第7回キャラ文大賞参加作品です。お楽しみいただけましたら投票お願いいたします。】
中華後宮を舞台にしたライトな謎解きものです。全16話。
「──嫌、でございます」
男装の女官・碧燿《へきよう》は、皇帝・藍熾《らんし》の命令を即座に断った。
彼女は後宮の記録を司る彤史《とうし》。何ものにも屈さず真実を記すのが務めだというのに、藍熾はこともあろうに彼女に妃の夜伽の記録を偽れと命じたのだ。職務に忠実に真実を求め、かつ権力者を嫌う碧燿。どこまでも傲慢に強引に我が意を通そうとする藍熾。相性最悪のふたりは反発し合うが──
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる