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虫除け令嬢は薬学博士に捕われる

8.5 ※※

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「体を清めよう。疲れただろう? 僕に任せて休んで」
「でも」

 体が思うように動かせない。なんとか彼のほうを見やると、まだ元気を失っていない屹立が目に入った。ついじっと見つめてしまう。

「……あの」
「なにかね」
「吐精したら落ち着くものと聞いていたので」
「まだ出せるからね」

 近くに拭うものがなかったからだろう。自分が着ていたシャツで私のお腹を拭ってくれた。申し訳ない。

「出したほうがいいんですよね?」
「出してしまったほうが早くおさまるとは思うが」

 わずかだが、屹立にまとわりついた泡立ったものに赤いものが少し混じっている。破瓜によるものだろうか。身構えていたほど血は出なかったようだ。

「私の身体、気持ちがよかったですか?」
「想像以上だった」
「想像したことがあったんですか?」
「君だって、僕で夢想していたのだろう? それとも、僕以外の誰かで耽っていたのかな」

 探るように問われて、私は首を横に振った。

「まさか。フロランだけ、です、想像したのは」
「想像どおりだった?」
「えっと……ちょっと拍子抜けした、かも?」
「おや、僕は君を満足させることができなかったのかな」

 ぽいっと汚れたシャツをベッドの外に放り投げると、フロランは私に覆いかぶさってきた。そして顎を持ち上げられ、顔をそむけることを封じられる。

「そ、そういう意味ではないんです」
「では、その真意は?」
「なんか、こう、もっと行為に夢中にさせるつもりでいたので……」

 理性的なフロランの本能を刺激して、メチャクチャにされるところを私は常日頃妄想していた。この感じだと、いつものフロラン博士の延長であって、実験台と変わらないようなさみしさを感じてしまったという話である。
 ……優しくしてほしいと頼んだのは私なんだけど。
 大事に愛されるのは嫌ではない。だが自分本位に抱きたくないと告げたフロランに、理性を捨てて好きなように抱いてほしいと求めるのは酷だろう。
 視線を外して口籠ると、フロランに口づけられた。舌を絡める深くて丁寧な口吸い。

「んんん?」
「……煽るのは賢明ではないよ、シュザンヌ君」

 腰が動き、秘裂に熱が擦り付けられている。卑猥な水音がする。

「お、おしまいなんですよね?」
「気絶するほどの刺激がお望みなら、やぶさかではないんだが」
「ひゃっ」

 敏感な場所をぐりぐりと刺激された。蜜が溢れ出すのがわかる。

「君の身体は問題がなさそうだ」

 欲しいと言えと命じられているように錯覚してしまう強い視線。色気も感じる。眩暈を覚えた。

「わ、私」
「情熱的に抱くのは結婚してからがよいだろうと遠慮したんだが、君にその気があるなら試してみようか?」

 腰が持ち上げられたと思えば、あっさりと熱が隘路を押し拡げる。痛みがないことに驚いたし、抵抗なく彼を飲み込んでしまう自分の体にもっと驚いた。

「ええっ」
「身体の相性はいいようだ。君のことをもっと教えてくれないかな」
「に、二回目は、さすがに、ああんっ」

 ぐりぐりと奥のほうを擦られると視界がチカチカした。

「君のおかげで忌避感を払拭できそうだ。すまないが付き合ってくれ」

 こっちが本音だと直感する。耳元で切なく囁かれたら、もう拒む理由はない。
 私は力を抜いた。

「愛しています、フロラン。どうぞお望みのままに」

 体の負担を考えるのはやめよう。感じるままをフロランに返したい。
 私はフロランの広い背中に自身の腕をまわして抱き締めた。
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